フランクフルトに所属する日本代表MF鎌田大地は昨季、2列目のポジションを主戦場にする選手だった。しかし今季は同じポジションにドイツ代表MFマリオ・ゲッツェが加入したことや、選手層の問題もあり、主にボランチで起用されている。
このコンバートは成功していると言っていいだろう。鎌田は18試合で7得点4アシスト(2月13日時点)と、ブンデスリーガでのキャリアハイとなる得点数を記録中だ。とはいえ鎌田の能力を生かすには2列目の方が良いのではないかといった声も少なからず存在する。実際に日本代表での主戦場はトップ下だ。
はたして、鎌田の適正ポジションは一体どこなのだろうか。
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幅広い鎌田のプレースタイル
鎌田のストロングポイントでまず出てくるのが、広い視野と正確な足元の技術だろう。プレッシャーを苦にせず危険なエリアで前を向き、鋭いスルーパスやシュートを放つ。こうしたプレーを見ると鎌田は2列目の選手だと言いたくなる。
ただし今季の鎌田はこうした能力を、ボランチでより一層輝かせている。低い位置でビルドアップをサポートしつつ、長い距離のスルーパスで一気にチャンスを演出する。ポジションを下げることで前を向く回数が増え、鎌田の持つ攻撃能力をより発揮しやすくなったのは間違いない。
また鎌田自身にボランチに必要な能力が備わっていたのもポイントだ。タイミングよく駆け上がり、ゴール前に顔を出すプレーの質が高い。なのでポジションが低くてもゴール前で怖さを出せる。守備でも球際が際立って強いわけではないが、危機察知能力や攻守の切り替えの速さは一級品だ。ボールを取ったらすぐにカウンターの起点になれる部分も、チームの志向するアグレッシブなサッカーにマッチしている。
鎌田のボランチ起用で生きるチームメイト
鎌田のボランチ起用はチームメイトを生かすという部分でも効果的だ。昨季の鎌田のポジションではゲッツェがプレーしており、彼もチャンスメイク能力に優れている。ゲッツェと鎌田の片方がマークされれば片方が空きやすくなるため、どちらかがチャンスメイクやゲームメイクを安定してこなすことができる。場合によっては2人でのコンビネーションも可能だ。
パスの出し手が増えたことで前線のフランス代表FWランダル・コロ・ムアニやデンマーク代表FWイェスパー・リンドストロムが多くスルーパスを受けられるのもメリットだ。特にコロ・ムアニはポストプレーが上手く、鎌田が攻め上がる時間を作ってくれるという点でも相性が良い。
現状はボランチが適正か
鎌田自身がキャリアハイの活躍をしていることや、こうしたチームへのメリットを考えると現状、鎌田の適性ポジションはボランチなのではないだろうか。新境地を切り開いた鎌田がチームをどこまで躍進させるのか。今後も彼の活躍から目が離せない。
(ABEMA/ブンデスリーガ)
(C)Aflo