日本時間2月16日の早朝、アーセナルとマンチェスター・シティが激突する。この両クラブは今季のプレミアリーグで熾烈な優勝争いを繰り広げている。アーセナルは21試合消化時点で勝ち点51の首位に立っており、それを消化試合が1つ多い2位シティが勝ち点3差で追いかけているといった状況だ。
3位のマンチェスター・ユナイテッドも2位のシティと勝ち点差2と肉薄しており、両クラブとも油断できない。結果次第では暫定的に首位が入れ替わる可能性もあり、優勝を狙う両チームからすると絶対に落とせない重要な一戦となる。今季のプレミアリーグの趨勢を左右するビッグマッチは一体どのような試合になるのだろうか。
直近はやや不調も全体を通して見ると圧倒的な安定感を誇るアーセナル
クラブOBのスペイン人指揮官ミケル・アルテタが監督に就任して4シーズン目となる今季、アーセナルは開幕からハイペースで勝ち点を積み上げている。アルテタによって作り上げられたポゼッションサッカーの完成度は高く、試合によるパフォーマンスのぶれが非常に少ない。どの相手を前にしても練度の高いプレスでボールを奪い、華麗なパスワークや個人技を駆使して相手チームを攻略することが可能だ。イングランド代表FWブカヨ・サカやノルウェー代表MFマルティン・ウーデゴールら若手戦力の成長、昨夏に加入したウクライナ代表DFジンチェンコらの活躍も凄まじい。特にジンチェンコは古巣との対戦となるため、普段以上に気合が入っていると予想される。
また冬の移籍市場で加入した選手達にも注目だ。ベルギー代表FWレアンドロ・トロサールは先日のブレンドフォード戦で移籍後初ゴールを記録した。シティ戦でも恐らく出場機会を与えられるだろう。不安要素としては直近のエバートン戦、ブレンドフォード戦は勝ち点を落としていることが挙げられる。ただしどちらも自陣にブロックを引いてくる格下クラブとの対戦であったため、そうした戦術を採用しないシティとの試合に向けて不安を抱き過ぎる必要はない。
ハーランド加入で良くも悪くも変化したマンチェスターシティ
今季のシティはスペイン人指揮官ペップ・グアルディオラの手によって完成されたポゼッションサッカーをさらに進化させようとした。そのために昨夏、世界最高峰のストライカーであるノルウェー代表FWアーリン・ハーランドを獲得した。
ハーランドは直近のアストン・ヴィラ戦終了時点で21試合25ゴールという異次元のペースでゴールを量産しており、シティの改革は成功したかに見える。しかしハーランド頼みのロングボールの増加による問題点もある。これまで得意としていたパスワークによる崩しのクオリティの低下だ。それが顕著に表れたのは2月6日に行われたトッテナム戦である。ノルウェー代表FWはシュートを1度も撃てず、0-1のスコアでチームは敗北してしまった。
他にもビルドアップの部分で新たな試みを見せている。元々はアタッカーだったポルトガル代表MFベルナルド・シウヴァのボランチ起用だ。これによってこのポルトガル代表MFが中盤の位置でボールを捌くのに加え、状況に応じてDFラインに入ってビルドアップをサポートすることが可能となる。このシステムは非常に機能しており、2月13日に行われたアストン・ヴィラ戦ではシウヴァが立ち位置を変えることで相手の選手を幻惑する場面が何度も見られた。アーセナルのプレスに対する彼のプレーが試合の命運を握るかもしれない。
一方で大きな不安要素も存在する。先日、マンチェスター・シティは財政上の問題で100以上の規則違反を犯したとプレミアリーグから起訴されている。真偽は定かではないが、ピッチ外でのアクシデントが選手たちのコンディションに影響を及ぼすことも十分に考えられる。
予測不可能な展開 鍵はセットプレー?
両クラブの監督がライバルとして顔を合わせるようになって以降の対戦成績は、アーセナル側から見て公式戦8試合で1勝7敗と非常に相性が悪い。1月28日に行われたFAカップ4回戦で対戦したときもシティが1-0のスコアで勝利している。ただしアーセナルのスターティングメンバーが控え中心だったことや、ガーナ代表MFトーマス・パーティの負傷交代というエクスキューズがあったことを考慮すると、ベストメンバーでぶつかる今回の試合が同じようになるとは思えない。むしろ19季ぶりの優勝とシティへの雪辱を果たす機会を狙っているアーセナルは気合十分で試合に臨むだろう。
過去にアルテタはグアルディオラの下でコーチをしており、お互いの手の内はよく知っている。両者ともポゼッションを重視するスタイルなため、どちらがボールを握るのかは試合の大勢を左右するトピックだ。またアーセナルが直近2試合でセットプレーから失点していること、シティが直近のヴィラ戦でコーナーキックから得点していることを踏まえると、セットプレーが勝敗を分ける鍵になるかもしれない。
世界最高峰のクオリティを持った2チームの対戦だ。1分たりとも目が離せない手に汗握るハイレベルな試合が行われることは間違いないだろう。監督や選手たちの一挙手一投足に刮目したい。
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