フライブルクは継続の重要性を体現しているチームだ。ドイツ人指揮官クリスティアン・シュトライヒが13シーズンに渡って指揮を執り、一貫した哲学の下、ブンデスリーガを戦っている。今季はリーグ戦20試合消化時点で勝ち点37の4位と、UEFA チャンピオンズリーグ出場圏内に位置する躍進を披露。UEFA ヨーロッパリーグでもグループステージを首位で突破するなど、欧州の舞台でも存在感を発揮している。そうしたチームにおいて、今季から所属する日本代表FW堂安律も主力として活躍中だ。一体、フライブルクとはどんなチームなのだろうか。
近年の躍進とシュトライヒの手腕
フライブルクは小さな田舎クラブとして、1978年にドイツ2部に昇格した。その後ドイツ人指揮官フォルカー・フィンケ監督の下で1993年にはブンデスリーガ初昇格を経験。フィンケはモダンな戦術の採用や育成部門の整備に尽力し、昇降格を繰り返しながらも、クラブをブンデスリーガでも戦える規模へと成長させた。その努力が実り、2010年代はほとんどのシーズンを1部で過ごしている。昨年はヨーロッパリーグ出場圏内でのフィニッシュや、国内カップ戦準優勝など躍進。今季も開幕からCL出場圏内をキープし続けるなど好調を維持している。
現在のフライブルクを語る上で欠かせないのがシュトライヒの存在だ。シュトライヒは2011年12月に監督に就任しており、今季で指揮を執るのは13シーズン目となる。守備ではDFラインをある程度高い位置に設定し、前からアグレッシブにボールを奪いに行く。攻撃ではショートパスとロングパスを状況に応じて使い分けるバランスの良いサッカーを一貫しており、2012-2013シーズンにはチームを5位に躍進させた。2014-2015シーズンは苦戦し、2部降格が決定するも、フロントはシュトライヒの手腕を信じて続投させた。
その判断は大当たりで、翌年には2部で優勝して1部復帰を果たすと、その後も安定して1部リーグに残留し続けている。また選手の育成にも定評があり、マティアス・ギンターやクリスティアン・ギュンター、ニコ・シュロッターベックらを成長させてドイツ代表に送り出している。
クラブ史上2位の移籍金で迎えられ、期待通り主力選手に
昨夏、堂安はクラブ史上2位となる850万ユーロという移籍金で、PSV(オランダ)から加入した。その期待通り右サイドのレギュラーポジションを確保し、攻撃の中心選手の1人として存在感を放っている。これには堂安が過去にアルミニア・ビーレフェルトに所属してブンデスリーガで戦っていたため、ドイツサッカーへの適応がスムーズにできたことも大きい。また今季からシステムが4-2-3-1に変更され、ライバルになる可能性のあったハンガリー代表FWロランド・サライがトップ下に移動したのも、堂安がすんなりレギュラーを取れた要因の一つだ。
連係面が高まればゴール量産も。チームをチャンピオンズリーグに導けるか
フライブルクの志向するサッカーと堂安の相性は非常に良い。攻撃では力強いドリブルや得点力が、ポゼッションとカウンターの両方で輝いている。守備でも相手のサイドバックにマンツーマンでついていくというタスクをこなしており、攻守両面で高い評価を受けている。一方で連係面はまだ完璧ではなく、ゴール前で自身の欲しいタイミングでパスを受けられないシーンも見受けられる。ここが成熟してくれば、ゴールやアシストといった数字もより一層伸びてくるのではないだろうか。堂安の左足がチームをチャンピオンズリーグに導く可能性も十分にある。
(ABEMA/ブンデスリーガ)
(C)Aflo