沖縄本島にほど近い、青い海に囲まれた無人島・屋那覇島。水道などのインフラ設備はない。この島を中国人女性が購入したとSNSで公表し、今物議を醸している。
【映像】自撮り棒を持って…海辺で撮影する購入者の中国人女性(動画あり)
女性は山東省出身の34歳で、金融業や不動産業を営んでいるという。実際は島の土地およそ半分を女性の親族名義の会社が購入、ホームページによると目的はリゾート開発のためだとしている。
これに、Twitterでは「外国人の土地購入は厳しく規制すべき」「侵攻されるかもと思うと不安」「数年後には中国軍基地ができる」「リゾート開発による環境破壊が心配」など、懸念の声が殺到。ニュース番組「ABEMA Prime」では、国土が外国に買われる是非について、辛坊治郎氏とともに考えた。
経済力で今後も日本の島が買われ続ける可能性について、辛坊氏は「尖閣諸島が典型例だ」と話す。
「実際に尖閣は、日本人が百何十人も住んでいた。産業がある段階では、中国も『俺のものだ』と主張しづらい。無人島になったから、領土紛争で主張する余地が生まれた。次は軍事力をもって取りにくる可能性はある。一方で、今回の中国人女性が持っているのは島の所有権だ。日本では、所有権があるからといって、自由に使用権を行使できるわけではない」
2021年にヨットで太平洋単独無寄港横断を行い、公式YouTube「辛坊の旅」は登録者数23万人を超えている辛坊氏。最近、瀬戸内海の島めぐりをして気づいたことがあるという。
「例えば、売っている島を僕が買ったとする。ところが国立公園の中だと、自分の土地でも木1本切れない。日本は土地を所有していても使用権とかなり切り離されている。だから、法律が及ぶ範囲だったら、日本の統治権の範囲の中にある限り、所有権が誰であってもそれは本質的な問題じゃない。中国人が日本の島を買って、移り住んできて『自分たちの領土だ』と言い始めて、軍隊が攻めてきたら次元の違う話だが」
なぜ、中国人は日本の土地を購入したがるのだろうか。
「中国は個人の土地所有ができない。全土が政府の土地だから、土地を持つことに対して、ものすごい欲望がある。今回は有頂天になって『島、買っちゃった』という話だ。図面上で無人島の土地を持っていても、日本では固定資産税が取られるばかりで何の得にもならない。どんどん地方の土地が値下がりし、中国人がポケットマネーで買えるような値段になっている。むしろこれが問題だ」
安全保障上の問題についてはどう考えるか。
「『自衛隊や米軍基地の横はまずい』など、安全保障上の議論が勃発して、重要土地等調査法が去年9月に施行された。だから、機微な場所の1キロ以内は、土地売買時に届け出が必要になった。もう日本全国で60カ所くらい指定されている。その指定箇所の中に今回、屋那覇島が入っていなかった。そういう話だ。どうしても現行法上で何かをしたいなら、海上保安庁の船着き場を近くに作ればいい」
台湾有事などもささやかれる中、安全保障上の意味で拠点になりうる可能性はあるとも言える。
その上で辛坊氏は「規制しようと思えば、方法はいくつもある。本気で『水源から何から全部の島を守るべきだ』『島を外国人に売ってはいけない』という法律を作りたいなら、国会議員の与党の過半数が賛成すれば、そういう法律が作れる。その必要はないと思うが。国民の大半がそう思うならできる」とコメント。「我々にとって大問題なのは離島を買われるよりも、都心のマンション群を中国のお金持ちがどんどん買っていくことだ」という。
「東京中心部の70平米もないようなマンションで平均価格1億円弱になっている。普通のサラリーマンは誰も買えない。ここに危機感を持っている。日本で真面目に一生懸命働いても、マンション一軒買えないのはおかしい」
振り返ればバブル期、アメリカの超高層ビル「ロックフェラー・センター」や「エンパイア・ステート・ビル」も日本人が買っていた。
「アメリカ人も当時『日本人に乗っ取られる』という危機感を持っていた。80年代の後半は『日本の株式市場の金だけでアメリカ全部の土地が買える』と平気で言われていた。その後、アメリカ人は奮起して、90年代にGAFAをはじめ巻き返しを図って、あっという間にひっくり返った。だから、今回も10年経った時に『今の日本の為替レートを考えると、ちょっとお金持ちぐらいの中国人には、日本の島や土地は買えないよね』と。報道によって、日本人が奮起できるきっかけになればいいと思う」
(「ABEMA Prime」より)
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