アーセナルは19シーズンぶりの優勝へ向けてアクセル全開だ。今季ガナーズ(アーセナルの愛称)は開幕5連勝を決めスタートダッシュに成功した。その後も好調を維持し、昨年9月から今年1月にかけてはリーグ戦で13試合連続負けなしを達成している。一時は首位を独走するかと思われたアーセナルだったが、1月末からは公式戦3戦勝ちなしの時期が続くなど、以前と比較すると勝ち点を落としている。またエースのブラジル代表FWガブリエウ・ジェズスや、中盤の支え役であるガーナ代表MFトーマス・パーティ(レスター戦で復帰)が怪我で離脱するなど決して万全の状態とは言えない。
しかし、2月18日に行われたアストンヴィラ戦では2度リードを許しながらも、後半アディショナルタイムの2ゴールで劇的勝利を収めており、直近のレスター戦でも勝利を納めた。そしてトーマスはこの試合で復帰を果たし、ジェズスも練習に復帰しているようだ。早くも不調から脱した感のあるアーセナルは、ファンが待ち侘びる19シーズンぶりのリーグタイトル獲得へチーム一丸となって突き進んでいくことだろう。
追走するマンチェスター勢と、優勝争いを左右する「2つの対戦」
首位のアーセナルを追走するのはマンチェスターの両勢だ。2位のマンチェスター・シティは昨季までの5シーズンで4度のリーグ制覇を成し遂げており、油断ならない相手である。ガナーズは1試合消化が少ないとはいえ、ポイント差は2とほとんどない。また得失点差ではシティがリードしていることや、直接対決がシティのホームで残っていることから順位が入れ替わる可能性は十分にある。そこでポイントとなるのがビッグ6との対戦である。直接対決を除けば両者ともリヴァプールとチェルシーとの対戦を残しており、この両クラブとの対戦の結果が今後の優勝争いに大きく影響してくるだろう。
3位マンチェスター・ユナイテッドも侮れない相手である。ユナイテッドはアーセナルと8ポイント差の3位につけているが、簡単には追いつけないように思われる。しかし“赤い悪魔”は現在絶好調で、リーグ戦の直近10試合ではアーセナルより多くの勝ち点を稼いでいる。10番を背負うマーカス・ラッシュフォードが”ワールドカップ明け以降、覚醒した姿を見せており、正真正銘のエースとして得点を量産中だ。
新戦力の躍動と劇的な逆転勝利で高まるボルテージ
そんなマンチェスター勢に肉薄されているアーセナルだが、好材料もある。それは冒頭で述べた直近のアストンヴィラ戦における逆転勝利だ。疲労からか不調気味だったブラジル代表FWマルティネッリが試合終了間際にゴールを決めたこともあり、チームの雰囲気は最高潮に達している。また今冬に獲得したベルギー代表FWトロサールやイタリア代表MFジョルジーニョの躍動も目を見張るほどだ。懸案事項だった右ウイングとアンカーの層の薄さにテコを入れ、久しぶりのリーグ優勝へ準備は整ったように思える。
「優勝へのカギ」は最終ラインすべてのポジションをこなせる冨安健洋
優勝争いに向けて順調に勝ち点を稼ぐアーセナルだが、不安材料もある。最も懸念されているのが選手たちの疲労蓄積だ。指揮官アルテタはスタメンを固定する監督であるため、特定の主力選手には疲労が溜まりやすい。実際に昨季は疲労の影響もあってシーズン最終盤に負傷者が続出し、多くの勝ち点を落とした過去がある。加えて今季は昨季と異なり、UEFAヨーロッパリーグ(EL)での戦いも控えていることから、昨年以上の過密日程が見込まれるため、怪我のリスクが高くなるだろう。
そんな中で、最終ラインのすべてのポジションを高い質で守ることのできる冨安健洋は、アーセナルにとって貴重な戦力であり、チームに万が一のアクシデントが起きた際には救世主となるかもしれない。マンチェスター・シティ戦では自身のミスもあり敗北してしまったが、日本代表DFはすでに切り替えている。アストンヴィラ戦でも安定したパフォーマンスを披露しており、現地メディアのスタメン予想にも名前があがっている。19シーズンぶりのプレミアリーグ優勝に貢献する準備が改めて整った。
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