プレミアリーグ2022-2023シーズン折り返しを迎えた2月、争いは熾烈さが加速した。今季のプレミアリーグは優勝争い、来季の欧州カップ戦出場権争い、残留争いのすべてにおいて勝ち点が詰まっており、どのクラブがそれぞれの競争を制するのか予想が難しい状況である。既存戦力の疲労や新戦力の加入などもありシーズン開幕前とは異なる様相を見せる2月。各クラブはシーズン折り返しを迎え、どのような再スタートを切ったのだろうか。
直接対決で一時首位交代も アーセナルとシティの熾烈な優勝争い
現在プレミアリーグの優勝争いをけん引するのは、日本代表DF冨安健洋が所属するアーセナルだ。ロンドンの赤いチームは今季開幕から好調を維持していたものの、2月に入ると3戦連続勝ち星なしとペースダウン。特に16日に行われたマンチェスター・シティとの首位攻防戦では敗北を喫し、暫定ながら首位が入れ替わってしまった。一方、マンチェスターの青いチームもトッテナム戦での敗北や、格下ノッティンガム・フォレスト戦での引き分けなど勝ち点を拾い切れていない。しかし、両クラブともに2月最後の試合では勝利を収めており、3月に入った今、試合数が並んだ時点で勝ち点差5。ここからまたデッドヒートを繰り広げるだろう。
両クラブを追うマンチェスター・ユナイテッドにもリーグ優勝の可能性が残されている。エリック・テン・ハフ監督が率いる彼らは、上位2クラブとは対照的に2月はリーグ戦4試合で3勝1分と絶好調だった。特にエースのラッシュフォードは4試合で5ゴールと大爆発だ。2月末にはカラバオ・カップを制したことで、さらに自信をつけている。波に乗る“赤い悪魔”は、追われる立場の上位2クラブにとって不気味な存在だろう。
ブライトン悲願の欧州カップ戦初出場か、名門復活か 注目を集める中位争い
来季のUEFAチャンピオンズリーグ出場権、UEFAヨーロッパリーグ出場権をかけた争いも熾烈だ。現在4位につけるトッテナムはこの1カ月で手堅く勝ち点9を積み上げ、5位のニューカッスルとは4ポイント差まで離している。しかしニューカッスルは消化数が2試合少なく、昨季途中のオーナー交代によって復活した感のある名門もまだ来季CL出場権を諦める段階ではない。ただ堅守を誇る彼らが2月に1勝しかできていないことは不安要素だ。
昇格組のフルアムや日本代表FW三笘薫を擁するブライトンからも目が離せない。フルアムは2月のリーグ戦では負けなしで、ブライトンとの1戦でも勝利を収めている。一方のブライトンも三笘の活躍もあり好調だ。2月最後の2試合では勝利を収めることはできなかったものの、消化試合数はフルアムやトッテナムからは3試合、ニューカッスルからは1試合少なく、ELどころかCL出場まで射程圏に捉えている。クラブ初の欧州カップ戦出場へ再びアクセルを入れたいところである。
他方、リヴァプールやチェルシーの復調にも期待がかかる。昨季は2つのカップ戦決勝で顔を合わせた両クラブだが、それぞれ6位、10位と本来の調子とは言えないだろう。2月もリヴァプールは2勝にとどまり、チェルシーにいたっては勝利すら飾れていない状況だ。とは言え、実力は申し分ない両チームである。3月以降の奮起に期待したい。
6ポイント差に7チーム 混沌の様相を呈する残留争い
下位クラブの残留争いも14位から20位まで勝ち点6ポイントの間でひしめき合い、混沌としている。2月は17位・リーズと20位・サウサンプトンの指揮官が解任され、不安定な状況だ。18位に沈むエヴァ―トンも1月30日に新指揮官としてショーン・ダイシ氏を招へいし、2月に行われた初陣では勝利を収めたものの、エースのドミニク・キャルバート=ルーウィンの負傷離脱によって苦戦中だ。どのクラブも同じくらいの勝ち点を積み重ねたため、どこが残留し、どこが降格するのかは非常に読みづらい。
このように今季のプレミアリーグは上位・中位・下位、どの争いにおいてもデッドヒートが繰り広げられている。2月は多くのクラブがあまり勝ち点を重ねることができず、サポーターたちはヤキモキしたことだろう。3月はそれぞれの競争において頭一つ抜け出すクラブが出てくるのだろうか。はたまた勝ち点差のない熾烈なレースが展開されるのだろうか。いずれにせよ3月のリーグ戦でも、プレミアリーグファンを楽しませてくれるに違いない。
(ABEMA/プレミアリーグ)(C)aflo