10月以降怪我のため戦線を離れていた長谷部誠は、フランクフルトのフィールドプレーヤーとしてのブンデスリーガ最年長出場記録を更新して戻ってきた。今年39歳になった鉄人は、大ベテランとなった今でも重要な戦力としてフランクフルトの守備を支え続けている。ここではブンデスリーガで記録を更新し続ける元日本代表MFの2月を振り返っていく。
【映像】ブンデスの歴史に名を刻む 鉄人・長谷部誠、衰え知らずのパフォーマンス!
「カイザー」の名に恥じない圧倒的なパフォーマンス!ヘルタ・ベルリン戦(2月5日)
長期離脱後2試合目となったこの試合で長谷部は圧巻のパフォーマンスを披露する。この日、長谷部はいつも通りスリーバックの真ん中、リベロとして出場。攻撃面ではヘルタ・ベルリンのコンパクトな守備陣形に対して長短のパスを使い分け、ヘルタ・ベルリンのプレッシングをいとも簡単に無効化した。正確なフライパスで左右にボールを振り分け、チームのパスをスムーズに循環させた。
守備面でも素晴らしいプレーを見せた。23分には屈強な相手FWに体をブロックされながらも、起点を活かして瞬時に足を伸ばしたシュートブロックをみせる。まさにベテランだからこそなせる技だろう。他の場面でも安定した守備を見せ続けた長谷部は地元紙「Frankfurteer Rundschau」からチーム最高評価を獲得した。
この試合と続くDFBポカールでのカップ戦での長谷部の好プレーを見て、元ドイツ代表のバスティアン・シュバインシュタイガー氏は「長谷部がこのままプレーしてくれるなら、(契約を)延長だ、延長だ、延長だ!」とドイルの大衆誌ビルトで興奮気味に語った。
善戦するも力及ばず悔しい結果に...ケルン戦(2月13日)
ケルンが得意とするカウンターを経験豊富な長谷部率いるDF陣がどれだけ止めることができるかに大きな注目が集まっていた。とりわけグラスナー監督は前線に素早くフィジカル的に優れた選手を用意してくるチーム相手には、長谷部を起用しない傾向があったため、長谷部の起用に不安感を抱いているファンも一定数いただろう。しかし、そんな不安を取り除くようなパフォーマンスを披露する。13分には裏へ抜け出した相手FWに見事なカバーを見せピンチを防ぎ、61分にも対人戦で一連の流れの駆け引きから相手のミスを誘った。
長谷部中心にうまく守り続けていたフランクフルトだったが、後半立ち上がり48分にCKから失点してしまうと、守備に綻びが生じはじめる。70分にはカウンターを被弾し、相手FWと1対1となって絶体絶命の場面、長谷部は不運にも足を滑らせてしまい、直接失点に関与してしまう。80分に交代でピッチから下がり、チームも0-3で敗北。復帰以降、素晴らしいパフォーマンスを続けていた長谷部だが、この日は地元紙からは及第点の評価に終わった。
ビッグマッチでも安定した活躍を見せる!ライプツィヒ戦(2月26日)
国内トップのカウンターアタックを誇るライプツィヒ相手にも長谷部はリベロとして先発。デンマーク代表ユスフ・ポールセン、スウェーデン代表エミル・フォルスベリというブンデスリーガ屈指のタレント相手に苦戦するも互角の粘り強い守備で決して自由にはやらせない。27分には一か八かのインターセプトを見せ、チームをピンチから救う。もしあの場面躊躇して飛び出していなかったらフランクフルトは失点していただろう。
経験と高い集中力を活かしてギリギリの場面で失点を防いだが、前半は2失点を喫してしまう。チームは後半追い上げるも猛攻及ばず1-2で敗北。しかしこの日も安定したパフォーマンスを見せた長谷部は地元紙からチーム内2番目の評価が与えられた。
長谷部の現行契約では選手としてプレーするのは2023年の夏までとなっているが、多くのクラブ関係者やファンがプレイヤーとしての契約延長を望んでいる。昨年に結んだ契約上、長谷部はもう一年続けるかどうかを本人の意思で決めることができる権利を持っているが、今冬のウィンターブレイク期間に、「あまり良い感覚が得られなくなれば、そのときは辞める。3月までには結論を出す」と語っており、3月のプレーの出来が長谷部の進退を決めることになるだろう。ブンデスの歴史に名を刻んだ”レジェンド”の来たる3月から目が離せない。
(ABEMA/ブンデスリーガ)