12人出産の助産師に聞く“子育ての本質”「エゴで産んでいい」「自分の人生を大切にしながら共に成長すればいい」

 岸田総理が異次元の少子化対策を掲げ、子ども・子育て予算を倍増すると意気込む一方で、課題となっているのが若者、そして子育て世代の意識の問題だ。番組では12人の子どもを産んだ女性に出産へのハードルが下がるようなヒントを聞いた。

【映像】大家族ごはん 調理の様子

 子どもを産めば、時間や体力、お金、あらゆるものが犠牲になるというネガティブな情報があふれる今――。

 Z世代を対象にした調査では、45.7%と半数近くが「子どもがほしくない」と回答するなど、出産・子育てに対するハードルの高さを感じている若者が多いのが現状だ。

 この産みにくい社会で12人もの子どもを出産した女性がいる。その女性は、出産や子育てに関する情報をYouTubeで発信する助産師のHISAKOさん。46歳までに12人もの子どもを出産している。子育てのハードルに対し、こう話す。

「『この時代に出産することは“私のエゴ”ですよね』という相談がよくあるんです。いや、エゴでいいんじゃないのって思うわけですよ。人間ってみんなエゴで生きてるし、だから妊娠・出産だって難しく考えず、『エゴでーす!!』って言って産みたければ産んだらいいんじゃないの」

 「子どもを増やしたのは自分のエゴだった」と振り返るHISAKOさんは、子育てに対する世間の過剰さを感じているという。

「たくさんの子どもたちを6人目まで高校まで行かせて今思うのはね。『高校?どこかに片付けばいいんじゃないの?』って本当に思うんですよ。高校や偏差値で人生が決まるかと言えば、何も決まらないですよね。それより『こういう自分でいいねん』という生きていく力をつけていってあげることの方が絶対的に重要」

 お金がなくて外食や旅行ができなくても、子どもが不幸になるわけではない。教育に力を入れて大学まで出してあげることが使命で親の愛であるかといえば、そんなこともないとHISAKOさんは話す。

12人出産の助産師に聞く“子育ての本質”「エゴで産んでいい」「自分の人生を大切にしながら共に成長すればいい」
【映像】大家族ごはん 調理の様子

 YouTubeで披露している大家族の食事を作る様子はまさにスーパーウーマンといった感じだが、「時には本当に1000円渡してコンビニごはん食べといてって、それくらい力抜いてもええんかなと思うんですよね」とHISAKOさん。

 初めのうちは“やってあげなきゃ”という思いが強かったそうだが、子育てをする中で知ることになったのが、我が子の本音だったという。

「『子ども子どもと言ってるママの表情が無理してるのが見えるねん。ほんまはやりたいのに、子どものためにできひんから我慢してるっていうのが全部オーラで出てるねん。それ見てるのをどんだけきつかったかわかってる?』っていう。全部読まれていたんですよね。お母さんの圧が重すぎて嫌だっていう子がすごく増えてるんですよ。お母さんたちは一生懸命子育てしているの。社会一般的には”よく出来たいいママさん”、でも子どもはそれ求めていないんですね」

 子どもがいるからといって、親という役割に専念する必要はなく、自分の人生を大切にしながら共に成長すればいい。そういったマインドを子どものころから伝え、共有する社会を目指すことが、将来を見据えた少子化対策として重要だとHISAKOさんは考える。

「『これから子どもたちの未来がどうなるんだろう』って考えだしたらそうなんだけど、今の人たちは起きたことに対して、いちいちネガティブに考え過ぎなんかなと。もっとポジティブに考えたら、子どもを産み育てるのって楽しみしかないんですね」

 「現実はそんなに甘くはない」そう思った人こそ、少し肩の力を抜いて出産・子育てというものに向き合ってみたらいいのかもしれない。

「世の中のママさん、力抜いていきましょう!あなたが全部やらなくていいんだよ。子どもたちは社会の宝であって、あなたはあくまで、たくさんの子どもを育ててくれる支援者の中の会員ナンバー1番です。会員さんいっぱいいるんですよ。『私が全部』じゃなくて、いっぱいの中の1人だと思ってください。みんなで育てていけばいいんですよ、子どもなんて。」

(『ABEMAヒルズ』より)

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