今季限りでフランクフルト退団が噂されている日本代表MF鎌田大地。新天地として有力視されているのが、ボルシア・ドルトムントである。同クラブはノルトライン=ヴェストファーレン州ドルトムントを本拠地とし、1909年にサッカー好きの青少年によって創設された伝統あるビッグクラブである。「ボルシア」とはラテン語で「プロイセン」を意味し、ドルトムントがプロイセン王国に属していたことと近隣にあるボルシア醸造所に由来する。
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クラブを支える熱狂的なサポーター
ドルトムントのモットーは「Echte Liebe」(真実の愛)であり、サポーターのためのクラブづくりを推進していることもあり熱狂的なサポーターが多い。ホームスタジアムであるシグナル・イドゥナ・パルクの南ゴール裏は「Gelbe Wand」(黄色の壁)と呼ばれ、大迫力の応援で選手を鼓舞する。多くのスタジアムの座席が階層別になっているのだが、シグナル・イドゥナ・パルクのゴール裏は1層構造になっており、全席立ち見となっている。そのためゴール裏には情熱的なサポーターが集結する。試合前のコレオや”You'll Never Walk Alone”の大合唱は鳥肌ものだ。
またスタジアム全体の観客動員数もスペインのバルセロナに次ぎ、世界第2位である。この応援を受けプレーしたいとドルトムント移籍を希望する選手も多く、選手にとっても憧れの場所であるようだ。
かつては香川真司も在籍し国内2冠を達成
このクラブはスタジアムだけでなく強さも兼ね備えている。1996-1997シーズンにはヨーロッパチャンピオンになったこともあるチームであるが、日本人の記憶に強く残っているのはリーグ戦とカップ戦の2冠を達成した2011-2012シーズンだろう。ユルゲン・クロップ(現リヴァプール)監督率いるドルトムントには、若き香川真司をはじめ、ロベルト・レヴァンドフスキやマッツ・フンメルス、イルカイ・ギュンドアン、マリオ・ゲッツェら錚々たるメンバーが集結していた。クロップは相手にボールを奪われた瞬間に、激しくボールを奪い返しにいく“ゲーゲンプレス”という戦術を用いて圧倒的な強さを誇った。
ドルトムントは若手の育成に力を注いでいるクラブであり、前述した選手たちは世界屈指のメガクラブへと移籍している。単に若手の育成といっても若手だから試合に出られる、ベテランだから出られないというわけではない、実力主義なのだ。実力があればどれほど若くてもチャンスを与えられる。そのためチャンスを掴んだ若手が活躍し、ステップアップを果たす傾向が多い。近年だとノルウェー代表FWアーリング・ハーランドやイングランド代表FWジェイドン・サンチョがドルトムントから巣立っている。
主力に退団の噂も、鎌田大地獲得で戦力維持
現在、ブンデスリーガでは勝ち点46で首位バイエルンと並んでおり、2011-2012シーズン以来の王座奪還に向け激闘を繰り広げている。UEFAチャンピオンズリーグ(CL)ではラウンド16でイングランドの強豪チェルシーと激突。ファーストレグを1-0で勝利し、ラウンド8進出に王手をかけている。
一方で気になるのが主力選手の移籍の噂だ。特に注目を集めているのがイングランド代表MFジュード・ベリンガムである。FIFA ワールドカップ カタール 2022でも絶大なインパクトを残したイングランド代表MFの流出は避けられないだろう。
こうした主力選手の移籍に備えて、鎌田大地に目を付けたのだと考えられる。フランクフルトとの契約満了のため、移籍金はフリーであり、ブンデスリーガでの実績も申し分ない。少し気は早いかもしれないが、久々に日本人選手が黄色と黒のユニフォームに袖を通すのが待ちきれない。
(ABEMA/ブンデスリーガ)