レフェリーも視聴者も殆ど気づかなかった弱々しく、かすかなタップのような動作直後に起こった衝撃結末。女子軽量級では珍しい“完落ち”フィニッシュに視聴者も騒然。実況席からも「あぁ、落ちた。落ちてますね」と驚きの声が漏れた。
3月3日にタイ・バンコクで開催されたONE Championship「ONE Friday Fights 7」。キム・ソユル(韓国)とスリ・マンフレディ(フランス)のアトム級MMAの試合は1ラウンド、キムがチョークで1本勝ち。立ち技専門選手であるマンフレディのMMAでの失神負けに解説陣からは「練習の時間が足りてない」と厳しい意見が寄せられた。
ともに日本に縁がある選手同士の対戦。“喧嘩がバックボーン”という稀有な女子選手であるキムは日本の大会にも数多く出場し、対日本人選手無敗。韓国MMAの王者でもあり、プロ戦績7戦6勝で迎えるONEデビュー戦で爪痕を残したいところ。一方、対戦相手のマンフレディも昨年K-1でKANAのベルトに挑戦。結果はKO負けを喫したが、キックやラウェイなど立ち技経験の抱負な選手で、今回はMMAながらONEに参戦してきた。
試合はスタンドでの攻防でキムがいきなりマンフレディに右を当て先制。マンフレディもプレッシャーをかけるが、キムが左、右とパンチを強打。さらに組んでテイクダウンすると、上からパウンドを浴びせ試合をコントロールする。マンフレディも下からパンチを当て抵抗を見せるが、サイドポジションを取ったキムがギロチンチョークに移行し、一気に締め上げた。
一度は腰を上げ、2度ほど意思表示をしたようにも見えたマンフレディだが、顔が塞がれている状態で、レフェリーが複数の角度から確認している間に脱力。完全に失神してしまいレフェリーが試合を止めた。
女子MMAでは非常にレアな完落ちフィニッシュ。完全に魂が抜け落ちたような姿に「マウントからギロチンはエグい」「立ち技の選手だからしょうがない」や元々K-1参戦やムエタイなどの実績があるのに「なぜ立ち技で参戦しなかったのか?」といった素朴な疑問の声も上がった。この日、ABEMAゲスト解説を務めた現・修斗世界ストロー級王者の新井丈も「マンフレディ選手は練習の時間があまり足りていませんね」と準備不足を指摘した。
キムのギロチンが入って、2度ほどマンフレディが力ないタップのようなジェスチャーを見せるシーンも確認されたが、レフェリーのモハメド・スレイマンが逆サイドに立っておりこれに気づけず。これがタップの意思なのかは定かではないが、細かすぎて伝わらないタップの後で力が抜け、そのまま失神の闇へ。かすかなサインに反応した数少ない視聴者からは「タップしたけど」「ですよね」といった声も上がった。
ともあれ、競合ひしめく激戦区のONE女子アトム級。先日鮮烈なデビューを飾った修斗王者の澤田千優、ONEで活躍を続ける平田樹などにとっては、また一人、手ごわいライバルが増えたことは確かだ。
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