いよいよ就活の季節が到来し、1日から会社説明会が解禁された。今年就活を行う大学生は入学当初からコロナ禍でオンライン授業、サークルや部活動の制限など、対面活動が限られてきた世代。来年就職する大学生を対象とした調査をみると、7割以上が「面接の対策が不安」と回答している(調査元:ワンキャリア/調査期間:2023年2月1日〜8日)。
【映像】リアルすぎん…? DeNAの「いきなり最終面接」の様子(動画あり)
そんな中、話題になっているのが、株式会社ワンキャリアが公開した動画「いきなり最終面接」だ。企画では、IT大手DeNAの最終面接にカメラが入り、その経過から合否まで密着。面接を受けたのは大学3年生の鶴修明さんだ。
目立ちたがりで、グループや組織の中で力を発揮する工夫をしてきたという鶴さん。担当した株式会社DeNAの人事・小川篤史さんは「鶴さんの根っこの欲求って何なんでしょうね?」と質問すると、鶴さんは「人と違うことをしたい。自分がいない世界といた世界だと、いる世界のほうが良くなってほしい」と答えた。
会社に存在感を示し、良い影響を与える未来を訴えた鶴さん。4日後に知らされた面接の結果は不合格だった。
「不合格というか、ご縁がなかったという形だ。早く“自分がここにいていいんだ”って認めてくれる集団の中で、安心感を得たいということに心のベクトルが向いて収斂しちゃう可能性が高いなと思った。DeNAの環境とはアンマッチかなと思った」(株式会社DeNA・小川さん)
なぜこの動画を企画したのか。就活サイト「ワンキャリア」取締役の北野唯我氏は「本当に就活は企業とマッチするかどうかだ。不合格や合格じゃない。それが伝わればいいと思った」と話す。
動画を見た14年目の現役保育士・育児アドバイザーのてぃ先生は「不快感を覚えた」とコメント。「あんなふうに面接していくんだと思って。僕は教育・保育業界しか分からないので、他の業界はこうなのかと思った。仮に自分があんな口のきき方で質問されたら、僕は途中で帰ると思う」
一方で、実業家のハヤカワ五味氏は「私は普通だと思った」と話す。「あくまでマッチングの話で学校とは違う。ある意味、恋人探しに近い。どれだけスペックが高い人であろうが、性格が合わなかったらマッチしないほうがいい。『合わなかったよね』という話で、不合格だって言葉を使っちゃうから、悪く見えちゃう」
北野氏は「学生にアンケートを取って、就職活動で一番不安なことを聞いた。やっぱり『面接』がぶっちぎりで多い。当たり前だが、最終面接は特に不安が大きい。なぜ落ちたのか、なぜ受かったのか、全くフィードバックされない面接はたくさんある。ある意味、理不尽だ。今回の企画では、最終面接と採用会議もオープンしている。採用会議も知ってもらうことで、やっぱり就活生に少しでも安心してほしい。一つの例だが『企業はこういう所を見ているんだな』と知ってもらうことに、すごく価値があると思う」と語る。
採用する企業側も葛藤や悩みがある。北野氏は「定型的な質問をする企業ももちろんある」とした上で「最終面接は、本当にその人を理解しようとするので、オリジナルな質問が多い」と話す。
「今回、DeNAさんは最終面接に100分くらい時間を使われている。私が知る限りで言うと、かなり時間を使っているほうだが、今回だけが特別に長いというわけではない。企業によっては確認するだけの最終面接で、20〜30分で終わることもある。でも中には、本当に就活生に向き合う企業もある」
テレビ朝日・平石直之アナウンサーは「テレビ局ではカメラテストから筆記まで、いろいろなパターンがある。最終面接は役員がズラッといた」と自身の就活を振り返る。
「スタイルは企業によって違う。企業が定型文のような質問を聞いてきたら、学生側も用意しているので定型文で答えがちになる。深掘れない。人物を見るにはあの手この手がある」
現在、IT企業2社からすでに内定をもらっているという鶴さん。どのような質問が心に残っているのか。
「2つある。1つは『あなたの一番ドロドロとした叶えたい欲求はなんですか?』だ。2つ目は『なんで就職活動をしているんですか?』だ。これは『うわ、来たな』と思った。『就活生だから』と思ってしまうが、この質問をされたときは、けっこうビクッとした」
これらの質問はどのような意図で聞くのか。北野氏は「働くことに対して、どれくらいの解像度を持っているのか見たい」と分析する。
「古くからある大企業だと『わざわざなぜ就職活動するのか』と考えなくてよかったりする。新しい事業やサービスを作っている会社さんなので、どれくらいの解像度を持って考えているのか。覚悟を聞かれている気がする」
(「ABEMA Prime」より)
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