西山朋佳女流三冠、高勝率の山根ことみ女流二段&初参戦・鈴木環那女流三段を指名「まずは個々」美しき化学反応に期待/将棋・女流ABEMAトーナメント
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 磨き上げられた“個”の力が合わさった時、生まれるのはどんな化学反応か。女流棋士による早指し団体戦「女流ABEMAトーナメント2023」のドラフト会議が3月4日に放送された。前回惜しくも準優勝となったチーム西山のリーダー、西山朋佳女流三冠(27)はメンバーを一新。一巡目に山根ことみ女流二段(24)、二巡目に鈴木環那女流三段(35)を指名した。選出の理由は「成績が上の方から選ばせていただいた」という単純明快なもの。目指すは頂点のみだ。

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 1巡目には、前回大会でリーダー経験を持つ山根女流二段を指名した。振り飛車党ながら、最近は雁木系の将棋も指しこなすなど、日々存在感を増している注目株。2019年のYAMADA女流チャレンジ杯で優勝を飾ったほか、2021年度の女流王位戦でタイトルに初挑戦と着実に棋力を伸ばしている。「山根さんはいろいろな面で安定されている。自分の得意戦法がある方なので、どういう考えて用いているのか気になる。近くで見させていただければと思います」。

 2巡目には、前回大会で「まさかの指名漏れ」の声も上がった鈴木女流三段を選出した。鈴木女流三段自身ものちの新聞観戦記内で「(ドラフトに)選ばれなかったことがショックで、2日寝込んだ(笑)」と明かしており、その熱い思いを買ったようだ。

 西山女流三冠は、「その発言を注目していたんです」とニンマリ。「だいぶ自信がおありのように見受けられたので、1試合で2、3勝はして下さるんじゃないかと思っています。なんとなく今回、競合になっていたとしても私のチームに入るような予感があって。1年間ずっと、一番溜まっていたものがあるかもしれないですよね。客観的にトーナメントを見てくださっていた面もあると思うので、どういう風に見られていたのも気になります。鈴木さんには期待しています」。剛腕の異名を持つ西山女流三冠らしい、実に明快な両名の指名理由だった。

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 普段の対局とは違う団体戦とあり、対局はもちろん、それ以外の時間も貴重な経験となっているという。「去年もそうでしたが、極限状態になるとみんな個性がすごく出てくるので本当におもしろかったです。いろいろな意味で新鮮だなと思っていて、その中で見習いたいところとか見つかってくると思う。今後に活かしていきたいという思いは強くあります」と澄んだ瞳を輝かせていた。

 前回大会では、個人11勝1敗と圧巻の勝ちっぷりを見せつけた西山女流三冠。今大会でも豪快な指し回しに大きな期待が寄せられている。さらに公式戦でも好成績を挙げている山根女流二段、鈴木女流三段の最強チームとあり、「個人で活躍されているお二人ですし、何か私が言えることはないと思うんです。自分の成績を気にして、個々である程度やっていけたらと思っています。その上で、いろいろな展開を楽しめればいいなと思っています」と“個”の力を強調した。

 西山女流三冠の愛読書でもある大人気マンガ『ブルーロック』がごとく、“エゴイスト”3人が魅せる化学反応はどのようなものになるか。いよいよ始まる美しく激しい戦いに心躍らずにはいられない。

◆女流ABEMAトーナメント 第1回大会は個人戦、第2回大会から団体戦になった。第3回の「2023」は4人のリーダーがドラフトで2人ずつ指名、3人1組のチームを結成し、トーナメントで優勝を争う。持ち時間は5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールール。試合は5本先取の9本勝負で行われ、第5局までに必ず全員が1局以上指さなくてはならない。
ABEMA/将棋チャンネルより)

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