本人にとってもファンにとっても、嬉しいチーム再結成が実現した。女流棋士による早指し団体戦「女流ABEMAトーナメント2023」のドラフト会議が3月4日に放送された。注目の里見香奈女流五冠(31)は、1巡目にレジェンド清水市代女流七段(54)、2巡目に実妹の川又咲紀女流初段(26)と前回大会と同じメンバーを指名。「(プランを)一つしか考えていなかったので、すごくホッとしています」と笑顔が弾けた。
今回大会も“夢のチーム”が帰ってきた。ドラフト会議前、「自分の信念を貫く」と語っていた里見女流五冠。「プランAはあるんですけど、それが崩れたときにどうしよか考え中…」としていたが、1巡目にレジェンド清水女流七段を指名した時点で、多くの視聴者も“プランA”の姿形を描けたファンも多かったのではないだろうか。2巡目には実妹の川又女流初段と、それぞれを単独指名で獲得。「(プランを)一つしか考えていなかったので、それが崩れてしまった場合は直感で選ぼうかと思っていました(笑)。思い描いたチームになったので、すごくホッとしています」と嬉しそうに語った。
清水女流七段、川又女流初段再指名の理由は「学び」だ。「清水さんはずっとトップで走られていて、尊敬している先輩。前回の団体戦で多くの同じ時間を過ごさせてもらったんですが、その中で学ばせていただくことが多かった。将棋を取ったとしても人として尊敬できる方。一緒にいる時間が多いほど、自分が成長できていると感じています」と、仲間として駆け抜けた貴重な経験を挙げた。
結婚を経て環境が変化した川又女流初段については、「学び」の機会を与えたいという思いも抱える。「注目される舞台で将棋を指すというは、普段の対局とは違う緊張感がある。そういう場所で自分の持っている以上のものを発揮してくれたら、という期待も込めています。前回の教訓も活かしてくれたら」と柔らかく微笑んだ。
前回大会は西山朋佳女流三冠(27)率いるチーム西山とフルセットの激闘の末に敗れ、準決勝で姿を消した。悔しさが無かった訳ではないが、「前回は純粋に楽しかった」と笑う。「楽しんでいる自分がいて、改めて将棋の楽しさや真剣勝負以外の楽しさを実感することができた。そういう時間を自分だけでなく他の人とも共有できるのは素晴らしいことだなと感じていました」と夢の時間を振り返った。
今回大会は参加チームが4チームと凝縮され、密度がアップ。また、監督棋士は置かれないレギュレーションのため、リーダーとしての責任感も各段に上がることが予想されている。しかし、自軍には全幅の信頼を置く百戦錬磨のレジェンドを抱える。「清水さんがいらっしゃるので、引っ張ってくださるという期待はしています」。前回個人で8勝1敗の里見女流五冠が、“プレーヤー”に専念できる環境も整いそうだ。
再結成を果たしたチーム里見。「他のチームの方は強豪揃いだなという印象がありますので、結束力、総合力で勝負できたらと思います」と2年目の絆を強調。「まずは目の前の対局に全力を尽くして、少しでも引っ張っていければと思います」と着実な前進を誓った。
◆女流ABEMAトーナメント 第1回大会は個人戦、第2回大会から団体戦になった。第3回の「2023」は4人のリーダーがドラフトで2人ずつ指名、3人1組のチームを結成し、トーナメントで優勝を争う。持ち時間は5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールール。試合は5本先取の9本勝負で行われ、第5局までに必ず全員が1局以上指さなくてはならない。
(ABEMA/将棋チャンネルより)