日本は才能潰す国? ひろゆき氏、Winny事件に「バカが牛耳ると本当に優秀な技術がなくなっていく」
【映像】ひろゆき氏「当時マジかよと」才能潰す国日本は変わらず? Winny事件とは何だったのか
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 今からおよそ20年前、革新的なコンピューターソフトウェア「Winny」が開発された。Winnyとは、ユーザー同士で直接データのやり取りができるファイル共有ソフトのこと。当時、ネット掲示板「2ちゃんねる」に公開されると、無料であることも伴って瞬く間にシェアを拡大、開発者の金子勇氏は「天才プログラマー」と呼ばれた。

【映像】俳優・東出昌大が演じる「天才プログラマー」金子勇氏(画像あり)

 しかしその後、映画や音楽ゲームなどが違法にアップロードされる事態に発展。著作権侵害が指摘され、被害額は数十億円にものぼる試算まで出た。結果、開発者の金子氏は2004年に著作権法違反幇助の容疑で逮捕されてしまう。

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▲金子勇氏

 ウイルス感染による情報流出は民間企業のみならず、警察や自衛隊でも相次ぎ、批判の対象になったWinny。政府はWinnyの使用をやめるよう国民に呼びかけた。

 逮捕されるべきは本当に開発者の金子氏だったのだろうか。ニュース番組「ABEMA Prime」では、「2ちゃんねる」創設者のひろゆき氏と共にWinny事件について考えた。

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 なぜ金子氏は逮捕されたのか。Winny事件弁護団の事務局長を務めた弁護士・壇俊光氏は、こう話す。

「著作権法違反幇助が被疑事実だ。Winnyのネットワークを使って著作物をアップロードする行為は違法だ。金子さんはWinnyを開発提供することによって『そいつらを助けた』とされた。作った人と悪者は別なはずなのに、なぜか警察が逮捕して、有罪にしようとした」

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 弁護団は一貫して無罪を主張した。2011年、最高裁で無罪判決を勝ち取ったが、7年半、社会的な制裁を受け、研究もできなくなっていた。無罪判決のわずか1年半後、金子氏は心臓の病で倒れ、42歳という若さでこの世を去った。

 壇氏は「Winnyはよく高速道路に例えられていた。情報の高速な流通を可能にするからだ。高速道路で速度違反をする。そうすると高速道路を作った人は幇助になるのか。国土交通大臣は逮捕されるのか。『そんなバカな話はない』とよく言っていた」と当時を振り返る。

 逮捕にはどのような意図があったのか。壇氏は「警察に聞かないと分からない」とした上で「よほど捕まえたかったのは分かる」と回答。

「当時、警察はかなり無茶な捜査をして、虚偽自白まで取って何とかして逮捕までこぎつけた。並々ならぬ覚悟で金子さんを有罪にしようとしていた。裁判では、検察官は“意図”を問題視していた。ずっと、金子さんに『悪いものを作った意図はない』と認定されているのに、1審で有罪になった。『ファイル共有ソフトは悪用されている。Winnyはファイル共有ソフトだ。だから犯罪幇助だ』という理論だ。判決時、僕は怒鳴りそうだった。これが日本の刑事司法の闇の深い所で、何の基準を巡って戦っているのか、判決が出るまで分からない」

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 ひろゆき氏は「情報漏洩事件があって『Winnyを使わない方が良い』というニュースが出た。その情報漏洩を起こらなくするための開発を、金子さんが逮捕されたことでできなくなった。今だとP2Pの仕組みが仮想通貨で使われている。あれを金子さんや日本の技術者がちゃんと広げていたら、今頃日本のITはもっと良くなっていたはずだ」と話す。

 当時、ひろゆき氏はWinny事件をどう見ていたのか。

「その頃から日本の警察は『よく分からないけどとりあえず逮捕してしまえ』をよくやっていた。『さすがに大丈夫だろう』と思っていたら、(1審で)金子さんに無罪が出なかった。『マジかよ』と思った」

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 弁護士・元裁判官、2つの立場から無罪判決に関わり、冤罪の救済や研究&発信している西愛礼氏は「人や技術を生かすも殺すも法解釈次第になってしまう怖さがある」と述べる。

「最終的な問題としてWinny事件は、武器や高速道路を作った人が悪用されることをどこまで分かっていたか。これが最終的な問題になった。最高裁では大谷剛彦裁判官(当時)も1審の裁判官と同じように『Winnyの技術がとても有意義だ』と認めている。その上で『開発後に悪用されただけで処罰されることは、さらなる技術開発を抑制してしまう』とも言っている。法律家も気を付けて仕事をしなくてはならないが、『開発者側も法律や著作権に気をつけて開発してくださいね』という思想が判決の背景にあると思う」

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 そもそも警察・検察・裁判官はWinnyの技術を理解できていたのか。仕組みも含めて理解した上で判断したのか。壇氏は「警察と検察は大して理解していなかった」と話す。

「1審の裁判官は、京都大学の理学部を出ていたから分かっている。ただ、理解しているかどうかで、有罪・無罪を決めるわけではない。裁判官は基本的に検察が起訴したら有罪にしたくて仕方がない生き物だ。それをひっくり返すのは、99.9%難しい」

 当時の最高裁の意見を壇氏はどう受け止めているか。

「正直なところ『だったら1審で有罪を出すなよ』と思った。裁判官のリップサービスなのだろう。これで『社会のバランスを取った』と思っているのが、日本における最高裁の裁判官の“おつむ”であって、その程度だと思ってほしい」

 西氏は「法律の役割としてきちんとルールを明確にする必要がある」とコメント。「それまでWinny事件のようなケースがなかった。初めてのことで、金子さんとしても何をやってよくて、何がダメなのか分からない状態だったと思う。何が犯罪になるか、きちんと分かりやすくルールを出すのが、司法や裁判所の役割だ」と述べた。

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 3月10日より全国公開される映画『Winny』では、“刃物”に例えてやりとりが行われている。“刃物”を悪用する人が現れてしまった事態を、作り手としてどう考えたらいいのか。

 ひろゆき氏は「Windowsの上で動くウイルスで困っている人はいっぱいいるが、それはMicrosoftの責任ではない」と指摘。

「セキュリティホールは『みんなで埋めようね』となって、ちょっとずつ良くなっていった。だからWinnyにウイルスがあるなら『じゃあそれは通らないようにしよう』とみんなで直せばよかっただけの話だ。Spotifyや韓国の動画サービスも元々P2Pの技術を使っていた。大きいデータを扱うようなプラットフォームサービスはP2Pを使うのは当たり前だった。でも日本は『使ったらヤバいらしいぞ』となって、開発をやらない構造になってしまった」

 2004年5月に金子氏が逮捕されて、2011年12月に最高裁で無罪が確定するまで、7年半の間にネットの世界は非常に進化した。

「Winnyはネットワークで物を配る技術レベルが高かった。あのレベルの物を日本でやっていたら、世界のいろいろなプラットフォームを取れていた可能性もある。それを裁判官や警察官が『全部捨てる』という大きな判断をした。バカが牛耳ると本当に優秀な技術がなくなっていく」

(「ABEMA Prime」より)

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