現在スペインのサッカー界に激震が走っているバルセロナの贈収賄疑惑、通称“ネグレイラ事件”。現地時間7日、同スキャンダルに関する続報が報じられた。
事の発端となっているのは、2月15日にスペインメディア『Cadena SER』によって報じられたバルセロナの贈収賄疑惑をめぐる新たなスキャンダルだ。その内容とは、2016年から2018年にわたり、スペインサッカー連盟(RFEF)審判技術委員会(CTA)のホセ・マリア・エンリケス・ネグレイラ元副会長が設立した会社『Dasnil 95』に対し、総額139万2680ユーロ(約2億円)を支払っていたというもの。追ってスペインの大手メディア『エル・パイス』や『エル・ムンド』によって、支払いが発生していた期間は2001年から2018年とより長く、付加価値税抜きで総額665万9488ユーロ(約9億5363万円)が支払われていたと報じられた。クラブは初期報道の直後に審判買収疑惑を真っ向から否定する声明を出していたものの、ラ・リーガの一部クラブからは反発の声が挙がるなど、事態は混乱の最中にある。
このような状況の中、『エル・ムンド』は7日に“ネグレイラ事件”の続報を報道。『Dasnil 95』への支払いはネグレイラ氏が審判技術委員会の副会長から退いた2018年夏にストップしていたが、そこからおよそ2年後、2019-20シーズンにおいてもネグレイラ氏からバルセロナへの“不穏な提案”があったという。同シーズンはレアル・マドリードが優勝を果たし、バルセロナはラ・リーガ3連覇を逃していた。同シーズンの終了後、ネグレイラ氏はバルセロナの上層部に対して「私はVARであなた方のクラブを助けることができる、私がいれば、シーズンはもっと良いものになっていただろう」とメッセージを送っていたとのこと。支払いがストップしたことを受けてネグレイラ氏側からの“助言”があったが、バルセロナはネグレイラ氏からの“脅迫めいた”メッセージが続くことに辟易しており、この提案には全く関心を示さなかったようだ
また、『エル・パイス』によると、検察庁は贈賄罪により法人としてFCバルセロナ、個人としてジョセップ・マリア・バルトメウ元会長と経営陣のメンバー、そしてネグレイラ氏を起訴する方針を固めたという。バルセロナは『業務汚職罪』により起訴される見通し。2010年の刑法改正により施行された同罪はスポーツの分野に関する明確な項目があり、6カ月以上4年以下の懲役のほか、資格剥奪や罰金の支払いが定められている。最終的な訴状は現地時間8日に正式に提出される見込みだ。
こうした状況を踏まえ、バルセロナのジョアン・ラポルタ現会長は「はっきりさせておきたいのは、バルサが審判を買収したことはなく、クラブに買収の意図があったこともない。絶対にだ。バルサが損害を被ることは決してない。CTAの副会長との関わりもない」とコメント。容疑を否認した。
なお、今回バルセロナが刑法において有罪になった場合、スポーツ面での制裁がどのようなものになるのかは不透明だ。スペインのスポーツ法では3年間で時効が成立するものの、ラ・リーガのハビエル・テバス会長は「このような出来事を前に、リーグとして受身でいるわけにはいかない」とコメントするにとどめた。あくまで刑法において有罪になった場合ではあるが、スポーツ面での制裁が全くないとは言い切れないかもしれない。