FIFAワールドカップカタール 2022に出場した日本代表DF伊藤洋輝は、ブンデスリーガの舞台でどんどん成長している。昨季からシュトゥットガルトに加入すると、徐々に出場機会を増やし、今季は完全に主力の座を掴んだ。残留争いに巻き込まれるチームの中で存在感を放っており、今や日本屈指のセンターバックと言っても過言ではない。
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ブンデスリーガ2年目にして不動の地位を築きつつある伊藤のこれまでのキャリアや、プレースタイルについて迫っていく。
センターバックのコンバートをきっかけにブレイク
伊藤は静岡県西部で活動する「マリオフットサルスクール」に4歳の頃から所属し、フットサルを始めた。当時から才能はずば抜けており、小学3年生の春休みにはブラジルの名門サントスへの短期留学も経験している。その後地元の少年団を経て、中学からジュビロ磐田の下部組織に加入した。下部組織では大型ボランチとして頭角を現し、2017年にはトップチームへの昇格を勝ち取った。
トップチームに昇格した伊藤は、2018年3月7日に行われたルヴァンカップの清水エスパルス戦でプロデビューを飾る。しかし最終的に公式戦出場は6試合に留まり、プロの壁に突き当たる結果に。2019年には名古屋グランパスへのレンタル移籍を決断。チームメイトとなった元ブラジル代表ジョーから、名指しでポテンシャルを称賛されるなどブレイクの予感を漂わせた。だがこのシーズンも公式戦出場は9試合と、レギュラーを掴むことは叶わなかった。
転機となったのはジュビロに帰還した2020年。当時監督を務めていたスペイン人フェルナンド・フベロが伊藤をセンターバックにコンバートしたのだ。これをきっかけに伊藤はレギュラーを掴み、リーグ戦37試合に出場してチームの守備の要として躍動した。この活躍が評価され、2021年夏にブンデスリーガのシュトゥットガルトへの移籍を果たす。
シュトゥットガルトでの目覚ましい成長とカタールワールドカップ出場
伊藤はシュトゥットガルトに買い取りオプション付きのレンタル移籍で加入した。当初はセカンドチームでのプレーが予定されるも、プレシーズンでアピールに成功し、トップチームへ帯同することに。その後シーズン開幕から1カ月程で信頼を勝ち取ってポジションを確保し、ブンデスリーガ1年目からリーグ戦29試合に出場するという期待以上の活躍を見せた。またこの活躍が評価され、シーズン終了後には日本代表にも初選出された。
そしてブンデスリーガ2年目となる今季は、DFラインの中心としてここまで21試合(3月7日時点)に出場。日本代表MF遠藤航ら共に、残留争いに苦しむチームを支えている。さらに11月にはカタールワールドカップの日本代表にも選出され、11月27日に行われたコスタリカ戦で途中出場でのワールドカップ初出場を記録した。
ブンデスリーガ屈指のロングフィードと、ステップアップの可能性
現在、伊藤はシュトゥットガルトでセンターバックの一角を務めている。持ち味は左足から繰り出されるロングフィードで、精度、ボールのスピード共にかなりの高水準だ。一振りで試合の流れを変えられる唯一無二の武器と言えるだろう。守備では高いカバーリング能力を見せる他、地上戦、空中戦のパワフルさもどんどん増している最中だ。それに加えて左サイドバックに対応できるユーティリティ性も持っており、実際に3月5日に行われたバイエルン戦では左サイドバックで高いパフォーマンスを披露した。
攻守に能力の高さを見せる伊藤には、ステップアップの噂も絶えず聞こえてくる。昨年11月にはイタリアの強豪ローマからの関心が報じられ、直近ではブンデスリーガのヴォルフスブルクが来夏のターゲット候補としているとの報道がなされた。近い将来、伊藤が移籍する可能性は十分あるだろう。ただし、まずはシュトゥットガルトを残留に導くというミッションを達成しなければならない。日本期待のセンターバックの成長に今後も期待だ。
(ABEMA/ブンデスリーガ)