アニメ「ONE PIECE(ワンピース)」は、1997年から「週刊少年ジャンプ」にて尾田栄一郎氏により連載されている漫画「ワンピース」を原作とする作品です。原作コミックスの全世界累計発行部数は2022年8月時点で5億1000万部を突破。2014年に認定された「最も多く発行された単一作者によるコミックシリーズ」のギネス記録を更新し続けています。1999年にスタートしたTVアニメは、これまでに1000話以上が制作され、現在はおもに日曜の朝9時30分からフジテレビ系列などで放送されています。
この記事では、アニメ「ワンピース」に登場するゴーイング・メリー号(メリー号)について解説します。メリー号の特徴や構造のほか、メリー号に麦わらの一味が乗り込むようになった経緯や、一味との絆についても紹介します。
目次
- アニメ「ワンピース」とは
- アニメ「ワンピース」に登場するゴーイング・メリー号とは?登場は何話?
- メリー号の最後!麦わらの一味との別れ
- メリー号と麦わらの一味の絆その1:船の妖精・クラバウターマン
- メリー号と麦わらの一味の絆その2:乗組員なしで動いた奇跡
- メリー号の意志を継ぐ!新たな乗船「サウザンド・サニー号」には「ミニメリー2号」が
- アニメ「ワンピース」メリー号のまとめ
アニメ「ワンピース」とは
世は大海賊時代。「偉大なる航路(グランドライン)」を初めて制覇した“海賊王”ゴール・D・ロジャーは処刑台で「おれの財宝か? 欲しけりゃくれてやる。探せ! この世の全てをそこに置いてきた」と言い放ってこの世を去りました。海賊たちはロジャーが残した「ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)」を求めて海を渡り、ときに海兵や同業の海賊たちと戦いながら名を上げていきます。
主人公は「東の海(イーストブルー)」のフーシャ村で育ったモンキー・D・ルフィ。ルフィは子供の頃に赤髪海賊団の船長シャンクスと出会い、シャンクスが持っていた悪魔の実・ゴムゴムの実を食べたことでゴム人間になってしまいます。10年後、ルフィは海賊になると言って独りで海に漕ぎ出しました。
アニメ「ワンピース」は、ルフィが仲間を集めて海賊団・麦わらの一味を結成し、強敵や世界政府と戦いながら“海賊王”になるべく進んでいく冒険ストーリー。仲間との絆や、迫力あるバトルが見どころです。
アニメ「ワンピース」に登場するゴーイング・メリー号とは?登場は何話?
ゴーイング・メリー号が登場するのは、アニメの第17話です。海賊になると言って村を出たルフィですが、第504話で描かれたフーシャ村を出発するシーンでは、ルフィは小舟に乗っています。その後も、第1話でアルビダ海賊団からコビーのためにもらった小船に乗っていて、ゴーイング・メリー号が登場するまでルフィは海賊船を持っていませんでした。
メリー号を手に入れたのは、ウソップと出会ったシロップ村でのエピソードです。シロップ村を襲おうとしていたクロネコ海賊団の目論見に気が付いたウソップは、村を守るため1人で海賊に立ち向かいます。その決意を立派に思ったルフィたちも戦いに加勢し、結果として村には何事も起きず海賊の撃退に成功。村の大富豪のお嬢様であるカヤは、村を守ったルフィたちに感謝してメリー号を贈りました。
メリー号の特徴と構造を解説
メリー号の設計者は、カヤの執事であるメリーです。メリーは船を引き渡す時に「カーヴェル造り三角帆(ラティーン・スル)使用の船尾中央舵方式キャラヴェル」と説明していて、これは「板を平らに貼り合わせて作った(カーヴェル造り)、三角帆使用の、船尾中央で舵を取るキャラヴェル船」という意味です。キャラヴェル船とは、欧州大航海時代に多く活躍した小型の帆船で、一般的にマストは3本ですが、メリー号のマストは2本です。
掲げられている海賊旗は、ドクロに麦わらのマークが描かれています。第18話には、ルフィが一度海賊旗のマークを描いたものの、下手すぎてウソップが描き直すエピソードがありました。このマークは、海賊旗だけではなく、帆にも大きく描かれています。
メリー号の内部にはいくつかの部屋があります。一味が会議や雑談をするラウンジは、キッチンや操舵室も兼ねていて、食事もここでとっていました。そのほかに、ハンモックを設置した男部屋と、デスクやソファ、本棚などを完備した女部屋、倉庫&砲列甲板、ユニットバスなどを備えています。
ナミの故郷を支配していた魚人のアーロンと戦った後、第44話でココヤシ村から出航したメリー号には、ナミが育ての親であるベルメールのみかん畑から、みかんの木が3本移植されました。
メリー号が改装!?空島行きのためにフライングモデルにパワーアップ
麦わらの一味が空島へ行くにあたり、メリー号が改装されました。このエピソードは、第150話にて描かれます。
空島行きの協力者であるモンブラン・クリケットたち猿山連合軍を、バネバネの実の能力者ベラミーが襲撃します。バネの力で跳躍しながら攻撃をするベラミーがメリー号で跳ねた衝撃で、メリー号の船首やマスト、甲板部分がポッキリ折れてしまいました。
しかし、もともと空島へ行くために船体を補強する予定だったこともあって、猿山連合軍が修理と全体的な補強も行います。その結果、第152話で補修の完成したメリー号は船体に翼をつけたフライングモデルとなり、船首の羊にも勇ましい鶏冠がつけられました。
メリー号の最後!麦わらの一味との別れ
過酷な偉大なる航路を航海し、空島にも行ったメリー号は、激しい損傷ですでに限界を迎えていました。修理を頼もうとしたウォーターセブンの船大工たちにも、修理は無理だと断られます。メリー号をあきらめようとするルフィと、その考えを受け入れられないウソップは大喧嘩となり、第236話でウソップは一味を脱退。ひとりでメリー号を直そうとします。
しかし、フランキーにも船大工として潜入していたCP9(サイファーポールナイン/シーピーナイン)のカクにも修理は無理だと言われ、カクの手によってメリー号は海に打ち捨てられました。メリー号はその後、波に運ばれて廃船島へ打ち上がり、そこにウォーターセブン市長で船大工のアイスバーグが訪れました。メリー号からの「もう一度だけ走りたいんだ」という声を聞いたアイスバーグは、船を修理します。修理が終わると「ありがとう」と声がして、メリー号は海へ消えていきました。
一方、ルフィたちは、CP9の脅迫を受けて立ち去ったニコ・ロビンを取り戻すべく、“司法の島”エニエス・ロビーで死闘を繰り広げます。どうにか勝利はしたものの、脱出船が燃やされてエニエス・ロビーから出られなくなってしまった一味を、第310話で助けに来たのがメリー号でした。
メリー号に乗り込んだ一味は、海流と海軍を抜けて無事脱出。しかし第312話、見事逃げ切ったところで船体が真っ二つに割れてしまいます。迎えてくれたアイスバーグにも「もう眠らせてやれ…!!」と説得されて、ルフィたちはメリー号との別れを決断。一味が見守る中で火を放ち、メリー号は海に沈みました。
メリー号と麦わらの一味の絆その1:船の妖精・クラバウターマン
ルフィたちに大切にされたメリー号には、いつしか船の妖精・クラバウターマンが宿りました。その姿が初めて確認されたのは、空島編でのエピソードです。
第162話にて、スカイピアの「生贄の祭壇」で神官のシュラに火を放たれたメリー号はボロボロになります。その後、第167話では、夜中に起きたウソップがメリー号から「コーン…コーン…」と音がするのに気づき、不思議に思い近づくと、木槌を持った人影のようなものがメリー号を修理していました。朝になると、折れたマストを含めて直っていましたが、なぜかフライングモデルではない元のメリー号の姿でした。麦わらの一味は、なぜ直した者はメリー号の元の姿を知っていたのか不思議に思います。
後に第247話でフランキーにそのときのことを話したウソップは、それが大切に乗られた船にだけ宿る船の妖精・クラバウターマンの仕業だと聞かされました。
メリー号と麦わらの一味の絆その2:乗組員なしで動いた奇跡
麦わらの一味に大切に乗られたメリー号に、クラバウターマンによる意志が宿っていました。ボロボロになって打ち捨てられたメリー号は、自らアイスバーグに修理を依頼し、修理が終わるとアイスバーグに見送られて海の向こうに消えていきます。その後、エニエス・ロビーに向かったメリー号は、ルフィたちの絶体絶命のピンチに現れて全員を救い出しました。
メリー号が迎えに来たことを喜ぶ一同でしたが、それはメリー号が最後の力を振り絞っての行動でした。第312話で一味を連れて戻ったメリー号を見てアイスバーグは驚きつつ、あらためてメリー号は限界を超えた状態だと一味に告げます。メリー号に誰も乗っていなかったことを不思議に思っていた一味は、それがメリー号の意志によるものだと感じ取り、別れを受け入れるのです。
最後にルフィが別れの儀式として火を放ったとき、メリー号は一味の全員に「ぼくは幸せだった」「今まで大切にしてくれてどうもありがとう」とお礼を言います。その声は、一味だけでなくウォーターセブンの船大工たちにも聞こえて、みんなを驚かせました。
メリー号の意志を継ぐ!新たな乗船「サウザンド・サニー号」には「ミニメリー2号」が
メリー号の後に麦わらの一味が乗ることになったサウザンド・サニー号には、フランキーがさまざまなギミックを仕込んでいます。そのひとつが「ミニメリー2号」です。
ミニメリー2号は、4人乗りの蒸気機関「外輪船(パドルシップ)」の買い出し船で、第339話にはサニー号のソルジャードックシステム“チャンネル2”から進水するエピソードがあります。メリー号と同じ羊のフィギュアヘッドをつけた小舟の登場に、一味は大喜びしました。
アニメ「ワンピース」メリー号のまとめ
ゴーイング・メリー号は、海賊になることを夢見て小舟で漕ぎ出したルフィが、初めて旗を掲げた海賊船です。東の海から偉大なる航路へ入り、空島にも行くなど、激しい航海に耐え、エニエス・ロビーで麦わらの一味を助けて力尽きました。
船でありながら、クラバウターマンと呼ばれる船の妖精が宿り、意志を言葉で伝えるほど一味とは深い絆で結ばれていました。最後にルフィが火を放ってから、一味がメリー号の思い出を回想しつつ船が沈んでいく姿は、作中でもトップクラスの感動シーンとして知られています。配信サービスなどで、あらためて見返してみるのもいいかもしれませんね。
(C)尾田栄一郎/集英社・フジテレビ・東映アニメーション