34歳、260勝の古豪ムエタイ戦士が見せたエグすぎるカウンターのヒジに騒然。鼻がへし曲がるインパクトに「もはや交通事故」「三沢並の強烈エルボー」といった驚きの言葉が並んだ。またTKO負けの瞬間に敗者が浮かべた「もうやめてくれ」といった絶望の表情に対しても、注目が集まった。
3月10日にタイ・バンコクで開催されたONE Championship「ONE Friday Fights 8」。ジョムホート・オート・ムエタイ（タイ）とダニエル・ギレンバーグ（スウェーデン）の対戦は、ジョムホートがヒジを交える戦慄のカウンターなど一方的な猛攻でTKO勝ち。ギレンバーグは心が完全に折れ、横を向き、自ら試合を投げ出す形で試合を終えた。
34歳、元ムエタイ王者のジョムホートと地元タイのジムに所属するスウェーデン人・ギレンバーグの対戦は、ムエタイ・キック260勝58敗とにわかに信じられないレコードを持つジョムホートの鬼強ぶりを証明する場となった。
頭頂部も薄っすら寂しいおじさんファイターに試合を中継したABEMA視聴者から「髪の薄いパッキャオみたい」「（鉄拳の）三島平八カットや」との声も聞かれたが、試合が始まると一変。鋭いナイフのような左でダウンを奪うと「強い」「左速い」と秒で手のひら返し。
さらに笑いながらパンチの連打、至近距離から凶暴なヒジをグサリ。ギレンバーグの腰が砕ける。この一発でギレンバーグの顔面は破壊され、鼻血がダラリと滴った。
実況席から「鼻が…」という悲痛な言葉が漏れた一撃は、スロー映像で見るとカウンターで鼻がへし曲がるようなエルボー。「三沢並の強烈エルボー」「鼻が折れたんじゃないか」「もはや交通事故だろ」と戦慄が走った。
2ラウンド、ギレンバーグも気を取り直し反撃に出るが、ジョムホートの攻撃はさらに凶暴さを増す。コーナーに串刺しにされ、ジョムホートのパンチとヒジを交互に浴びる“地獄のハメパターン”に陥り、無限フルボッコ状態。
ギレンバーグも弱いパンチで必死に応戦し「まだまだ」と気迫を見せるが、さらに顔面へのヒジ、ヒジ、ヒジ…。無慈悲な猛攻に実況アナの小出アキラも「ヒジがエゲツないぞ」とコメント。その後、顔を覆うようにギレンバーグが「もう無理」と対戦相手に目を背け戦意を喪失。ここでゴングが打ち鳴らされた。
ファイターの心が完全に折れる瞬間を目の当たりにしたゲスト解説・亀井晨佑は「容赦ないですね。いいのを貰って、嫌になっちゃったんでしょうね…スイッチが切れちゃったんでしょう」と解説。小出アナが「息をつくように”もう終わりにしてくれ”という表情をしていましたね」と続けると亀井は「選手じゃなくて普通の人間に戻った瞬間でしたね」と手も足も出ない絶望を代弁した。
一方、”過去の人”ではなく、なお健在ぶりを示したジョムホート。その激勝ぶりに350万バーツ（約136万円）のファイトボーナスが支給されることが告げられると、にんまり笑顔でインタビューに応え「おじさんでも勝てることを証明したよ。やったぞ！」と力強くアピールした。
