ドイツ・ブンデスリーガの名門シュトゥットガルトは今季、苦しい戦いを強いられている。開幕から思うように勝ち点を獲得できず、10月にはチームを1部に定着させた功労者のペレグリーノ・マタラッツィオを解任。後任にドイツ人指揮官ブルーノ・ラバディアを招へいしたが、チームの調子は上向かず、降格圏と勝ち点差0の15位(3月10日時点)に沈んでいる。
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そうしたチームにおいて、遠藤航、伊藤洋輝、原口元気、3人の日本人トリオが主力として活躍、残留のカギになるだろう。残留争いの展望と、その中で日本人選手が担う役割について迫っていく。
熾烈なブンデスリーガの残留争い
今季のブンデスリーガの残留争いは熾烈を極めている。23節終了時点で、15位のシュトゥットガルト、16位のホッフェンハイム、17位のシャルケ、18位のボーフムの4チームが勝ち点19で並ぶ異例の事態が起きているのだ。14位には勝ち点20のヘルタ・ベルリンが位置しており、ここで挙げた5チームが残留を争うグループとなっている。
各チームに目を向けてみよう。この5チームの中で最も好調なのが、日本代表DF吉田麻也が所属するシャルケだ。冬の積極的な補強が功を奏し、現在2連勝中でかつ、6試合負けなしという成績を残している。また14位のヘルタも2月以降は調子を上げている。一方でシュトゥットガルト、ホッフェンハイム、さらには日本代表FW浅野拓磨が所属するボーフムの3チームは現在絶不調。チームによって調子に差はあるものの、残留争いから抜け出しそうなクラブは少なく、終盤までもつれると予想される。
監督は残留争いのスペシャリスト。エースストライカーの帰還も鍵に
現在シュトゥットガルトの監督はラバディアが務める。ブンデスリーガで長年指揮を執っており、モチベーターとして高い評価を得ている監督だ。昨年12月に2013年以来2度目となるシュトゥットガルトの監督に就任すると、戦い方は大きく変更せず、細かな微修正を中心にチームの立て直しを図った。しかし大きな成果は見られず、状況を好転させられていない。とはいえ過去のヴォルフスブルク、ヘルタを残留に導いた実績を考えると、これからチームをまとめ上げ、シュトゥットガルトを降格から救う可能性は十分にある。
次にスカッド面に目を向けてみよう。シュトゥットガルトはチームの平均年齢がブンデスリーガで最も若いチームだ。残留争いを迎える上で選手の経験値の不足は懸念事項かもしれない。その反面ポテンシャルの高い若手選手が数多く在籍しているため、彼らの爆発次第では一気にチーム状態が向上する可能性を秘めている。また現在負傷離脱中のエースストライカー、ギニア代表FWセール・ギラシの存在も重要だ。すでにトレーニングに参加しており、実戦復帰も近いだろう。彼の復帰でチームが一気に勢いづくのではないだろうか。
日本人選手3人の活躍も残留のカギに
シュトゥットガルトに在籍する日本人選手3人の活躍も残留のカギになるだろう。
伊藤はセンターバックのレギュラーとして今季21試合に出場。守備では的確なカバーリングでチームのピンチを救い、攻撃では得意のロングフィードで起点となる。今後注目したいのはギラシとの関係だ。ギラシはターゲットマンになれるため、伊藤のロングフィードの受け手として相性が良い。現状でも相手にとって脅威となるロングフィードがより一層生きてくるのではないだろうか。
原口は1月の移籍市場でウニオン・ベルリンから加入すると、すぐさまインサイドハーフのレギュラーを掴んだ。切れ味抜群のドリブルと圧倒的な走力によって高い貢献を示しており、残留に向けてチームに勢いを与えている。チーム最年長のため、若い選手達を引っ張るベテランとしての働きにも期待したい。
遠藤は持ち味のデュエルの強さを攻守に発揮し、絶対的なアンカーとして君臨している。それに加えて主将としてチームをまとめる役割も担っており、ピッチ内外でチームの柱だ。また遠藤と言えば昨季の5月14日に行われたケルン戦アディショナルタイムにて、チームの残留を決める得点を記録したのが記憶に新しい。今季もこの男のプレーがチームを降格から救うかもしれない。
(ABEMA/ブンデスリーガ)