経済的な理由から、サッカーをしたくてもできない。そんな子どもたちの支援を行う団体がある。「一人ひとりが夢を持てる社会をつくりたい」と話す代表を取材した。
NPO法人ラブフットボール・ジャパンは、経済的な理由からサッカーをプレーすることができない7~19歳までの子どもを対象に、5万円の奨励金給付やサッカー用具の寄贈、サッカー選手との交流といった支援活動を展開している。その背景には驚きの実情があった。
「子どもからは『経済的に厳しいと分かっているから、ユニホームなどを買えなかった。そのせいで試合に出られなくなったことをお母さんにも伝えていなかった』『穴が開いたまま用具を使い続けている』といった声が届く」(NPO法人ラブフットボール・ジャパンの加藤遼也代表、以下同)
2012年にラブフットボール・ジャパンを設立した加藤さんは、ブラジルやインドなど世界各地にサッカーグラウンドを建設したり、国内外を問わず様々な支援活動を行ってきた。
「新型コロナを契機に、学校外での体験格差が開いた。経済的な理由等でサッカーをしたくてもできない子たちに対する活動として、『子どもサッカー新学期応援事業』を始めた」
こうして、2021年度から事業がスタート。これまで700人近い子どもたちに支援を行ってきた。資金の多くは、プロサッカー選手や活動に共感した人たちからの寄付で賄っている。
活動を続ける中、子どもたちから加藤さんのもとに「無理だと思っていたから、すごくうれしい」「月謝が上がるからサッカーを辞めようとお母さんに言われていたけれど、続けられるようになったのですごくうれしい」などの感謝の言葉が届いた。
2年間で応募者が3倍に増えるなど、支援の規模も徐々に拡大してきている一方、「自分たち民間の団体だけでは限界もある」と話す加藤さん。今後日本で支援の輪を広げていくために、国民一人ひとりの意識の変化が必要になると訴える。
「スポーツや文化は“贅沢な趣味”とみられがちで、そうなると支援の中で食料や教育に比べて優先度が下がってしまう。スポーツに対する世の中の理解に課題がある」
生活支援に比べて贅沢だと思われ、見過ごされがちなスポーツ支援。「誰もが夢を持てる社会にしていきたい」――そう期待を込める加藤さんは、今後はサッカー以外の支援も視野に入れると同時に、スポーツ支援に関わる担い手を増やしていきたいと語った。
「子どもたちが自分のやりたいことを口に出して言うためには、まずその言葉を受け止めて理解してくれる大勢の人たちが必要。規模が拡大すると、一つの団体で支えていくのはなかなか難しい。多くの人に知ってもらい、一緒に行動したい」
(『ABEMAヒルズ』より)
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