卒アルに「うちの子少ない」“ポイント制”導入で平等に? 写真選びに残業も… 教員の苦労
写真選びに導入された“ポイント制"
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 全国の学校は今、卒業シーズンの真っただ中。この時期の名物と言えば卒業アルバムだが、その裏に隠された教員たちの苦労を皆さんご存じだろうか。

【映像】写真選びに導入された“ポイント制"

 3年前に6年生の担任を務めた、小学校の教諭・Aさんは卒業アルバム制作のために、夜遅くまで残業していたという。

「まず、全員分ちゃんと顔が写っていなくてはいけない。いろいろな行事があるので、その枚数を揃えたりするのにとても時間がかかった。主任の先生と夜10時半ぐらいまで残って一緒に作業していた記憶がある」(Aさん、以下同じ)

 また、残業した要因はアルバムの写真選びだという。

「卒業アルバムで10回写っている子が一人いて、2~3回(しか写っていない)子が一人だと、それはよくないので『数を合わせた方がいい』と先輩たちから聞いた。一人3~4回出演するように割り振る作業を並行しながら、見栄えのある写真も入れていく作業が時間かかった。パズルみたいな感じで一つ出したら一つずれるので、最後この微調整がとても大変だった」

 同じく写真選びで残業が続いたと話すのが、今年初めて6年生の担任、通称“6担”を務めたBさんだ。周りの教員から、これまでにあった保護者のクレームについて聞かされていたという。

「『うちの子少なくないですか?』というのがあったみたい。6担やって一番神経使ったといっても過言じゃない気がする。一枚も写っていないなんてことは無いようにしたが、ある程度勘弁してもらえると嬉しいなと言うのが本音」(Bさん、以下同)

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 なんとか平等にしたい。そこで編み出したのが写真写りのポイント制だ。

「ピンの写真は二重丸で2ポイント、何人かで写っていて表情が分かるものは丸で1ポイント、横向いているとか小さいのは0.5ポイントというラインにして、最低7ポイント、10~11ポイントで押さえた」

 手作業で写真一枚一枚のポイントを数えていく莫大な作業量。6年生の年度末は通常の仕事に加えて、中学校に送る書類の作成や他の学年より成績を早めに出すなど、ただでさえ忙しい時期だ。

 文部科学省でも教職員の働き方改革を呼びかけているが、これまで学校でアルバム制作の作業を改善する動きは出てこなかったのか。

「一度もない。変わらずそこには誰も触れないので、何も出てこないのが現状。担任として子どもたちにいい思い出を作るために色々やりたいことがある中で、業務に圧倒されて子どもたちと関わる時間が少なくなっていたと感じている」(3年前に6年生の担任したAさん)

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 そんな声に応える、新たなサービスも生まれている。「アルバムスクラム」は写真に写る生徒の顔をAIで識別。生徒の写っている回数を計算することができる。

 開発元である株式会社エグゼック取締役の山中淑史さんは次のようにコメントした。

「例えば、横を向いていたりマスクをしている写真でも、写っている顔が小さくても、かなり高い精度で(識別結果が)出てくる」(山中さん、以下同)

 これまで小学校や幼稚園など、1000件以上に導入されたこのサービス。画像選びを電子化できたことで、教員からは次のような声も届いたそうだ。

「今までは先生が集まって、隣のクラスの先生の意見を聞きながら調整して、本当は自分のクラスの子をもっと多く出したいけど、(隣の)先生も多く出したいといったすり合わせが精神的に大変だった。でもこのシステムを導入してから、『自分のペースでシステム上で作業が出来たのですごく楽になった』と(教員からの)声も届いている」

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 教員の負担軽減や子どもたちとの時間確保。変えるべき問題点を抱えているアルバム制作だが、教員たちの思いは変わらない。

「一生に一度の卒業アルバムだから、いいものにしたい」(3年前に6年生の担任したAさん)

「友達の顔を思い出したり、『こんな先生いたな』と備忘録でもないが、自分の生い立ちを振り返るところで大事にしてくれると嬉しい」(今年6年生の担任したBさん)

(『ABEMAヒルズ』より)

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