U-20日本代表、世界への競争はすでにスタート 残る2カ月のサバイバルから本番へ

 AFC U20アジアカップにおけるU-20日本代表の挑戦は終幕を迎えた。

 15日にウズベキスタンの首都タシケントで行われた準決勝で日本はU-20イラク代表と対戦。常に相手に先行される展開ながらも食らいつき、2-2でのPK戦まで持ち込んだが、無念の敗退となった。

 ただ、彼らの挑戦はこれで終わるわけではなく、むしろここからが本番となる。何しろ5月にはインドネシアでFIFA U-20ワールドカップの本番が待っているからだ。そのための抽選会は今月末に早速行われる予定でもある。

 世界大会出場権を獲得した準々決勝終了後、反町康治JFA技術委員長が「選手にとっては、もう競争が始まったということ。予選を突破したお礼で世界大会に行けるなんてことはない」と語ったように、ここから新しい競争が始まることになる。

 冨樫剛一監督も、この点についてこう語る。

「今回のメンバーはあくまでアジアで1位を獲るために選んだもの。選ばれてもおかしくない力を持った選手は他にもいる。抽選会の結果も踏まえて、あらためて選考していくことになる」

 そもそもU-20W杯の登録人数は21名となる見込みで、アジア予選の23名から最低でも2名は落選となるレギュレーションだ。それだけ考えても甘いものではない。

 Jリーグの合間を縫って招集した今大会のメンバーは、5月の本大会直前まで合宿などで拘束する予定はない。このため、世界大会も“ぶっつけ本番”となるのは確定しているのだが、4月には発掘合宿も予定。今回メンバー入りしなかった選手たちや大学生などを集めての選考会を実施する。今回はメンバー入りしなかったFW山本桜大(柏レイソル)のような選手はもちろん、代表経験のない中でもJリーグで存在感を発揮しているFW俵積田晃太(FC東京)のような選手にもチャンスは回ってきそうだ。

 またこの世代には多くの“海外組”も存在している。アジア予選では招集が難しかった彼らも、「FIFAの世界大会ということで、クラブ側も価値を感じてくれている」と、反町技術委員長も招集の可能性に含みを残した。

 招集経験のある選手ではDFチェイス・アンリ(シュトゥットガルト)、MF福井太智(バイエルン)、中井卓大(レアル・マドリード)、FW福田師王(ボルシアMG)といった選手たちの名前が挙がる。

 ドイツの年代別代表に名を連ねるGK長田澪(ブレーメン)の招集は現実的に難しそうだが、他にもドイツでプレーする二重国籍のGKを日本サッカー協会はリストアップ済み。「一回呼ぶ予定だったけれど、ケガで来られなかった」(反町JFA技術委員長)だけに、ここから再交渉となりそうだ。

 海外組が増える中でしっかり合宿してチームを整えてといった強化策はユース年代でも難しくなったが、「日本もそういう域に達しないといけないということ」と反町技術委員長は“ぶっつけ”での招集も「監督が望むなら」という前提付きながら肯定する。

「いきなり呼ばれてもしっかりチームに馴染んでやるのが代表で、それが当たり前のこと。ドイツもユスファ・ムココ(ドルトムント)を(FIFAワールドカップカタール2022に)呼んだけれど、事前には1回も呼んでいない。それでもやるのが代表ということなんだと思う」(反町JFA技術委員長)

 アジアの戦いを終えて、次は世界舞台での戦いが始まり、そこへの競争も自ずとスタートする。「世界大会に出たい」と思うのは自然なことで、その争い自体がこの世代をさらに強く、逞しくブラッシュアップしていくことだろう。

取材・文=川端暁彦