大会連覇に王手だ!女流棋士3人1組で戦う超早指し戦「女流ABEMAトーナメント2023」の1回戦第2試合が3月18日に放送された。チーム里見とチーム加藤の戦いは、チーム加藤がスコア5-3で勝利。前回大会もリーダーとして優勝を果たした加藤桃子女流三段(28)は、連覇にあと1つと迫った。天真爛漫な加藤女流三段は盤上でもきっちり2連勝。笑顔でも将棋でも仲間を引っ張った。
屈託のない加藤女流三段の笑顔が、また見られる。優勝した昨年同様、今年も新メンバーとともに明るく楽しげに、そして自分の出番では気合十分に将棋を指す。この大会を最も楽しんでいるだろう加藤女流三段が、仲間たちと大きなハードルを乗り越えた。
最強女流・里見香奈女流五冠(31)率いるチーム里見との第1局には大会初出場の中村真梨花女流三段(35)が登場。経験十分の中村女流三段でも「本番の空気に飲まれてしまった。思った以上に心の余裕が持てない」と、超早指しの放送対局という未体験の空間に対応できず、134手で敗れた。すると、流れを取り戻そうと加藤女流三段が出場すると、早くも里見女流五冠とのリーダー対決が実現。里見女流四冠が四間飛車、加藤女流三段が居飛車の対抗形で進むと、解説していた高見泰地七段(29)も「レベルの高い一局」とうなる熱戦に。一瞬、里見女流五冠に生まれた隙を逃さず攻め立てると、その後もミスを許されない終盤できっちり勝ち切る地力を見せた。
明るいリーダーが気持ちいい勝利を運んでくれば、流れは自然と向いてくる。第3局は前回、リーダーとして参戦していた渡部女流三段の出番。レジェンド清水女流七段と相居飛車になったが、清水女流七段の仕掛けを渡部女流三段がどう受けるかという一局に。丁寧な指し回しで相手にペースを与えなかった渡部女流三段が117手で快勝し、チーム連勝を呼び込んだ。
その後、中村女流三段が1勝1敗、渡部女流三段が1敗し、スコア3-3のタイで迎えた第7局に再び加藤女流三段の登場だ。自身初のタイトル戦でぶつかった相手でもある大先輩・清水女流七段との対局前に「作戦?秘密♪」と茶目っ気たっぷりに答えると、対局では先手番から相掛かり戦でのびのびとした指し回し。チームメイトから「強すぎませんか」と驚きの声が出るほどの内容で、73手で圧勝した。2度も要所で勝利を収めたリーダーに支えられ、第8局は渡辺女流三段が勝って勝負あり。3人の中で唯一2局だけだった加藤女流三段だったが、その存在感は抜群だった。
試合後のインタビューでは「とても緊張はしていたんですが、すごく楽しいメンバーで、みんな内容もよくてのびのびやっていたかなと思います」と、ずっとニコニコしていた。決勝の相手は個人戦だった第1回大会の優勝者・伊藤沙恵女流三段(29)率いるチーム伊藤だ。相手にとって不足なし。春爛漫の時期に“桃子スマイル”も満開になるか。
◆女流ABEMAトーナメント 第1回大会は個人戦、第2回大会から団体戦になった。第3回の「2023」は4人のリーダーがドラフトで2人ずつ指名、3人1組のチームを結成し、トーナメントで優勝を争う。持ち時間は5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールール。試合は5本先取の9本勝負で行われ、第5局までに必ず全員が1局以上指さなくてはならない。
(ABEMA/将棋チャンネルより)