「ピッ、ピッ」と刻まれる音のプレシャーはこれほどのものか。女流棋士3人1組で戦う超早指し戦「女流ABEMAトーナメント2023」の1回戦第2試合が3月18日に放送された。第1試合では「二歩」による反則負けが出て周囲で見ていた仲間や関係者が驚くことになったが、第2試合では「二歩」以上にレアな反則負け「王手放置」が出た。公式戦ではまず見られないという衝撃の瞬間に、チームメイトも思わず「えー!」と絶叫することとなった。
驚きの瞬間が訪れたのは第6局。チーム里見はリーダー里見香奈女流五冠(31)とチーム加藤・中村真梨花女流三段(35)が登場。先手の里見女流五冠が三間飛車、中村女流三段が向かい飛車と、相振り飛車の戦いになった。序盤から里見女流五冠が押し気味に進めた対局は、中盤から終盤に差し掛かるところで、まさかのハプニングが待っていた。
里見女流五冠が桂馬を打って王手をかけたところ、中村女流三段は歩を打ったものだと勘違い。桂馬を取ることも、玉を逃げることもなく、全く別の手を指してしまったことで「王手放置」の反則負けとなってしまった。
控室でモニタを見ていた両チームの仲間たちは、超早指しとはいえ冷静に見守っていたが、よもやの事態にプチパニック。特にチーム加藤の加藤女流三段と渡部女流三段は、声を揃えて「えー!」と絶叫し、目を丸くしていた。
トップ棋士が集う「ABEMAトーナメント」でも、切れ負けや反則負け、駒が乱れるといった事態が頻発するこのルール。視聴者からも「なんと!!!」「初めて見た」「歩と勘違い?」と、驚きと労いの言葉が見られていた。
◆女流ABEMAトーナメント 第1回大会は個人戦、第2回大会から団体戦になった。第3回の「2023」は4人のリーダーがドラフトで2人ずつ指名、3人1組のチームを結成し、トーナメントで優勝を争う。持ち時間は5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールール。試合は5本先取の9本勝負で行われ、第5局までに必ず全員が1局以上指さなくてはならない。
(ABEMA/将棋チャンネルより)