藤井聡太六冠、棋王奪取は「驚き」前人未踏の八冠へ前進も「引き続き実力を高めていけるように」と成長誓う/将棋・棋王戦五番勝負第4局
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 将棋藤井聡太竜王(王位、叡王、棋王、王将、棋聖、20)が3月19日に行われた棋王戦コナミグループ杯五番勝負第4局で、渡辺明名人(38)に勝利し棋王位奪取を決めた。この結果で、藤井竜王は20歳8か月の最年少六冠王に。羽生善治九段(52)に続く史上2人目の快挙達成となった。終局後に行われた記者会見では、棋王奪取を「驚き」と表現。渡辺名人との五番勝負を「収穫の多いシリーズだった」と振り返った。会見の内容は以下の通り。

【映像】藤井聡太竜王が六冠目を獲得した棋王戦第4局

――六冠を獲得した今の心境

 対局が終わったばかりで、獲得できた実感がそれほどあるわけではないですが、棋王戦では前期までなかなか良い成績が残せていなかったので、今期は五番勝負まで進むことができて大変な将棋ばかりでしたが、結果を残すことができて非常に嬉しく思っています。

――棋王獲得の感想

 前期まで挑戦のチャンスを作ることも難しい状況が続いていたので、今期挑戦が出来たというだけでも自分としては嬉しかったです。五番勝負でも良い結果に繋げられて自分としては少し驚きというところもありますが、嬉しく思っています。

――今シリーズは10連覇中の渡辺棋王に挑戦した。シリーズを振り返って

 シリーズ通して角換わりの定跡型で、序盤から中盤の最初にかけてテンポ良く進むという将棋が多かったですが、そのあとの中終盤はどれも本当に難しくて、適切に判断できなかったという局面も多かったと思います。難しい局面をいろいろ考えることができたという点では収穫の多いシリーズだったと感じています。

――史上初の八冠獲得へ前進した

 まだ直接そこを目指す意識はありませんし、実力的にもまだ足りないところが多いと思うので、引き続き実力を少しでも高めていけるように取り組んでいければと思っています。

――栃木での対局は2回目で日光での対局は初。栃木県、日光はどのような場所になりましたか?

 道中も楽しく来ることができましたし、対局場も素晴らしいところを用意していただいて、集中して対局に臨めたかなと思います。大盤解説会にも遅くまで多くの方にご来場いただいて、ありがたく思いましたし、栃木県の将棋ファンの熱気を感じました。また、対局だけではなくとちぎ将棋まつりも開催していただいて、多くの方に将棋を楽しんでいただいた一日になったのかなと思いますし、自分自身もファンの方の熱気を直に感じることができて励みになりました。

――来週、大田原市で王将祝勝会で栃木県に再訪

 開催していただくことを嬉しく思っていますし、ファンの方と楽しいひと時にできればなと思っています。

――第3局で悔しい形での敗戦。本局での対局はより慎重な印象を受けたが糧になった部分があったか?

 第3局は中盤から自玉が思っていた以上に不安定な形になってまとめるのが難しくなってしまったところがあったと思うので、本局は自玉の安全とうまくバランスを取りながら指していければと思っていましたが、途中で攻め合いに行くタイミングをいくつか逃してしまったと思うので、そのあたりのバランスというのはまだ調整が必要なのかなと感じています。

――マスクが無い状態での対局、感覚の違いはあったか?

 自分にとっては本局から対局規定が(マスク着用が)任意という形になって、ある程度それに合わせて(対応)と思っていましたが、今までと比べて違うかどうかというのは一概に言えないですが、集中して臨むことはできたかなと思います。

――タイトル通算13期で歴代7位に。森内俊之九段(52)の12期の記録を抜いたことに対する思いは?

 森内九段も自分が将棋を始めた頃から名人戦を中心に活躍されていて、目標とする方の一人。タイトル数だけで比較できることではないと思いますが、ひとつひとつ積み上げてくることができて良かったと思っています。実績のある棋士の方の対局を見ると、まだまだ学ぶところが多いのかなとも感じています。

――持ち時間を残して終局することが増えたように見えるが、タイムマネジメントで意識を変えた部分はあるか?

 残り時間よりも局面の方が重要なので、判断の難しい局面であれば時間を使って納得行くまで考えたいと以前から思っています。ただ速い段階で使い過ぎてしまうと、一局を通してみた時に納得行くまで考えることが難しくなってしまうので、なるべく(考慮が)実現できる時間配分ができればいいのかなと思っています。

――一般棋戦も全制覇。持ち時間の長短での得意、苦手はないように見えるが、普段藤井竜王が口にされる「足りない」と感じている部分は?

 早指し棋戦ではあまり結果が出せていなかったですが、今期は今までより決断良く指そうということを意識していて、良い結果を出すことができて嬉しく思っています。最近の将棋は、中盤以降難解な局面を迎えることが多く、その中で考えてもうまく判断できない局面が増えているかなという印象を持っているので、複雑な局面に対しても的確に判断できる力というのが一層必要になるのかなと思っています。

――8冠中6つを獲得。名古屋発東京駅行きの新幹線に例えると、藤井竜王の現在は何駅に位置するか?

 うーん…(笑)。初挑戦した時からタイトルを増やすことはできていますが、内容的には大変なところが多いので、あまり近づいているという感覚はそれほどないのかなと思います。なので、静岡くらい…ということでお願いします(笑)。

――ファンへ

 本局は中盤以降で踏み込む手を逃してしまったところがありましたが、粘り強く指すことができたのかなと思っています。棋王戦シリーズは難しい将棋が多かったので、しっかり振り返ってまたそれを活かせるように頑張りたいと思っています。4月からまた名人戦と叡王戦の2つのタイトル戦が始まりますので、そちらでもしっかり良い状態で迎えて、良い将棋にできるように頑張っていきたいと思います。

ABEMA/将棋チャンネルより)

【中継】第48期 棋王戦コナミグループ杯 五番勝負 第四局 渡辺明棋王 対 藤井聡太竜王
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