将棋界の早指し団体戦「ABEMAトーナメント2023」のドラフト会議が4月1日に放送される。前回大会で20代棋士とタッグを組み、忍者コスプレで“ニンニン旋風”を巻き起こし初優勝を飾った稲葉陽八段(34)。今回もチーム構想は「若手」で描いているようだ。リーダーとしての神采配も話題となった稲葉八段は、どんな陣を敷くのだろうか。
前回大会では、最多11勝と大活躍した服部慎一郎五段(23)と、タイトル初挑戦を叶えた弟弟子の出口若武六段(27)とチームを結成。言葉は多くなくともしっかりとチーム運営の手綱を握り、雰囲気を引き締め・緩め、気鋭棋士たちの力を存分に引き出した。「2人が成長してくれることを加味して取ったところがありましたが、その想像を超えてきた。いいチームになったかなと思います」。大奮闘を見せた後輩の姿はリーダーの稲葉八段にも好反応をもたらし、「年下を選んだ責任感で、自分も成績の面でいい方に向いた」と手ごたえを感じたようだ。
前回大会では5戦無敗のストレート勝利など、稲葉八段のオーダーは“神采配”とも呼ばれた。「2人が勝ってくれたので連投しやすかったです。そういう意味では本当に理想的でした」。それと同時に、自らの登板時には7勝1敗と少ない対局数ながら“一撃必殺”とばかりにしっかりと結果を残すなど、心強いリーダーとしての活躍も光った。
前回の決勝戦では、忍者さながらの装束に身を包み“ニンニン旋風”で5勝1敗と圧倒的な力を見せつけ優勝。「服部五段が非常に活躍されたので、“忍者ハットリくん”のニンニンポーズがファンの方に浸透しましたよね。その流れでのコスプレでした。そこまで嫌でもないですが。フフフ」。普段はクールな印象の稲葉八段のコスプレ姿もファンを大いに沸かせた。
連覇を狙うべく、今大会ではどんなメンバーで“旋風”を巻き起こすのか。「年上の人を選ぶ方が楽は楽なんですが、その分頼ってしまうところもありますよね。今年も若手…、そういう方向で行ってみようかと考えてはいます」。持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算というフィッシャールールの戦いでは「若手有利」の声が強く、実際に自らのチームでそれを実証したところもある。そうなれば、ドラフト会議での競合は必至。「抽選だったり、残っている人との兼ね合いでどうなるかわかりませんが、一番選びたい人をまずは選んで行こうかなと思います」と、新チームには多種多様な選手像を描いているようだ。
高いフィッシャー適性を見せた稲葉八段は、「団体戦だと負けたくない、負けられないと思うと、なかなか早く指せなかったり決断が鈍ったりするので、そのあたりは本番と練習の違いでした。昨年は時間が減った時の戦い方を割と意識できたので、そのあたりがうまくいったかなと思います」と攻略のカギを語る。「昨年はどちらかというとチームが勝っている状態で(出番を)回ってくることが多かったですが、チームが苦しい時でもしっかり自分の将棋を指して、引っ張っていけるように頑張って良い結果を出したいです」。“チーム稲葉Ver.2”では、どんな旋風を巻き起こすのか。今年も大注目を集めることになりそうだ。
◆ABEMAトーナメント2023 第1、2回が個人戦、第3回から団体戦になり、今回が6回目の開催。ドラフト会議にリーダー棋士14人が参加し、2人ずつを指名、3人1組のチームを作る。残り1チームは指名漏れした棋士が3つに分かれたトーナメントを実施し、勝ち抜いた3人が「エントリーチーム」として参加、全15チームで行われる。予選リーグは3チームずつ5リーグに分かれ、上位2チームが本戦トーナメントに進出する。試合は全て5本先取の9本勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)