3月25日、シンガポールのインドアスタジアムで行われるONE Championship『ONE Fight Night8』の女子アトム級MMAマッチで平田樹が、ONE女子アトム級ランキング2位のハム・ソヒ(韓国)と対戦する。

 両者は昨年11月の『ONE 163』で対戦予定だったが、平田が前日および当日計量において、体重と尿比重を計測するハイドレーションテストのいずれもクリアできず計量失敗。平田は昨年8月のリン・ホーチン戦でも計量に失敗しており、2試合連続でのオーバーにハム・ソヒが激怒。キャッチウェイトでの試合を拒否したため、試合不成立の中止となった。

 今回は仕切り直しの一戦。平田はこの試合のためにアメリカ・ニューヨークでトレーニングキャンプを張ってきたが、2試合連続の計量失敗にSNSを中心に批判の声も高まっており、逆風の中での闘いとなる。はたして平田は、計量と試合で結果を出すことで汚名返上することができるのか。試合を3日後に控えた3月22日、オンライン囲みインタビュー取材にてハム・ソヒ戦への意気込みを聞いた(聞き手は複数)。

——試合まであと3日となりましたが、調子はいかがですか?

平田 調子はいい感じです。シンガポールには(3月)18日の夜に入って、ニューヨークからドバイ経由だったんで20時間ぐらいかかったんで、最初は時差ぼけがめっちゃつらかったんですけど。1日だけ24時間くらい起きて、そっからだいぶ直りました。今は、あと2~3日調整して試合って感じですね。

——今回のトレーニングキャンプでとくに手応えを感じた部分はなんですか?

平田 レスリングをたくさん練習したので、いつも手こずるケージレスリングの展開ではスムーズにできるんじゃないか、と思ってます。

――対戦相手のハム・ソヒ選手の強みと弱みについては、どう分析してますか?

平田 近い距離の打撃が得意かなと思うのと、あとテイクダウンのところに少し穴があるんじゃないかと、(デニス・)ザンボアンガとの試合を観て思いました。でも、すごい穴があるわけじゃないんで、厳しい闘いになるかもしれないけど、最後まで攻め切ってチャンスがあればその隙を突いてグラップリングで極めます。

――前回は計量ミスによる試合不成立となりましたが、今回、ウェイトに関してどのような対策をしてきましたか?

平田 今回はごはん管理の栄養士さんを付けてもらって、アメリカでの食事とかも毎日連絡を取り合って、食べるものを相談しながら今もやっています。あとは減量を始めるのも1ヶ月くらい早かったので、2ヶ月間くらい減量してます。

――減量のやり方を変えて、体調はいかがですか?

平田 最初は慣れるまでちょっと大変だなと思ったんですけど、練習とかと一緒で少しやり始めたら慣れてきたので。そんなに苦じゃなかったです。

——現状、あとどのくらい落とせばいいんですか?

平田 あと400g落とせば余裕です。

——これまでの計量の反省を踏まえて、通常体重から落とすようにしたんでしょうか?

平田 減量の仕方というか、食事面を変えたかなって感じです。

——食事を変えることでどんな良い効果がありましたか?

平田 いつも疲れながら減量してるんですけど、今回は(トレーニングキャンプの)最後まで動けてるんで、その点では違うかなと思ってます。

――前回、前々回と2試合連続で水分調整のハイドレーションテストで引っかかってきましたが、その点での学びややり方のコツはつかんできている状況ですか?

平田 前回、日本に帰ってきた時に尿比重のこととか勉強して、食事とか成分とかいろいろ教えてもらいながら減量してきました。

――今の段階では、計量当日も大丈夫という手応えはつかんでいる感じですか?

平田 そうですね。普段でのどれくらいかなと測っているので、前よりはいいと思います。

――前回は(計量失敗による)試合不成立となったわけですが、あらためて今回、ハム・ソヒ選手がこの試合を受けたことに対してはどう思っていますか?

平田 「試合するか」みたいな感じです、自分的には。

――試合ができることに関してはどうですか?

平田 試合ができることはうれしいことだし、「(試合が中止になっても)すぐオファーが来た」みたいな。それだけの期待と観たいという人が多いんだろうなと思って。それはすぐOKしました。

――実際、今回はどうですか?

平田 みんな計量のことで質問が多いですけど、そこは絶対にクリアできるんで。あと試合内容的にも大差あるみたいに言われてるんですけど、自分的にはそんなにないと思ってるんで。15分間どんな試合をするのか自分でも楽しみです。

――前回、試合ができなくなったときの気持ちはどうでしたか?

平田 練習しただけで終わっちゃったんで、試合を見せられずに終わった悔しさと、自分に負けたなって感じでした。

――あの時、ハム選手からは辛辣な言葉が多く発せられましたが、それについてどう思っていますか?

平田 とくに思うことはないです。

——2度の計量失敗もあり、日本のファンまで敵に回している状況を自分としてはどうとらえていますか?

平田 でも結局、みんなが観たいのは自分だと思ってるんで。こんだけ「ハム・ソヒは強い」「ハム・ソヒはすごい」みたいに言われてても、結局自分のほうが見られている数は多いし、自分のほうが話題になっちゃうし。結局、試合前も自分のフォロワーはドーンって増えるけど、相手のフォロワーは増えないので、そのへんは差があるんじゃないかと思います。

――「(今は批判が多いが)勝ったらすべてが変わる」という見方もありますが、この評判は勝つだけじゃ変わらないんじゃないか、という意見もあります。

平田 たぶんここで勝ってもアンチはもっと増えると思うんで。自分的には「まあ、いいんじゃん」みたいな(笑)。なんとも思ってないです。

――前回の試合不成立からとくにSNSで風当たりが強くなっていると思いますが、平田選手にとってアンチはどういう存在ですか?

平田 めっちゃイラつく立場でもあるんですけど、「おまえら結局観んじゃん」と思ってます。ホントはすごいコメントとか返したいんですけどね。

——こういう状況でも試合オファーが来ることについてどう思いますか?

平田 それだけ観たいカードなんだと思うし、チャトリ(・シットヨートン=ONE Championship会長兼CEO)さんからも「信じてるからやりなさい」っていう前回の言葉もあったんで、それを裏切らないように試合をします。

——計量ミスが続き、計量への怖さはありますか?

平田 それは毎日あります。キツくなると「階級上げたいな」とか思うんですけど、今回の試合が終わってからそれは考えようと思います。

――では、今回は自分のケジメとして最後のアトム級での試合をやって、次回からは階級を上げる可能性もあるわけですか?

平田 そうですね。今回は絶対にやるって決めたんで、次からはこの試合が終わってから決めようかなと思ってるんですけど。上の階級だとどれぐらい大きいのかなって、けっこう気になるし。階級上げられたらいいなとも思うし。どっちでも闘えれたらいいと思います。

——ハム・ソヒ選手は現在ONE女子アトム級ランキング2位で、その選手を倒せばアトム級のタイトル挑戦も見えてきますが、それでも1階級上げて上を狙いたい気持ちがあるわけですか?

平田 そうですね。上の階級で(現ONE世界女子アトム級王者の)アンジェラ・リーもやったことがあって、上の階級の価値もけっこうあると思うので、どっちでも闘えたらいいのかなと。まだ、あんまり考えてないです。今回の試合だけは、とにかく落とさないようにします。

――最後に日本のファンにメッセージをお願いします。

平田 お待たせしました。朝から盛り上がる試合をお披露目しようと思うので、しっかり朝起きて観てください!

(取材・文/堀江ガンツ)

ONE ファイトナイト 8 | 新しい未来のテレビ | ABEMA
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