
3月25日、シンガポールのシンガポール・インドアスタジアムで開催されるONE Championship『ONE Fight Night8』で、現ストロー級キング・オブ・パンクラシストの山北渓人が、ONEデビュー戦を行う。対戦相手は元ONE世界ストロー級王者で、ブラジリアン柔術世界選手権優勝経験もあるブラジルのアレックス・シウバ。
山北は現在MMA7戦全勝の26歳。デビュー戦からいきなり元王者とのマッチアップは、ONEの山北への期待の高さがうかがえる。試合を3日後に控えた3月22日、シンガポールで調整中の山北に大事な初戦への意気込みをオンライン囲みインタビューで語ってもらった(聞き手は複数)。
――今回がONEデビュー戦になりますが、初戦からいきなり元ONE世界ストロー級王者のアレックス・シウバと対戦する今の気持ちを聞かせてください。
山北 ちょうどONEとの契約が決まって、ほぼ同時に試合オファーが来たので、すぐに試合ができそうでありがたかったですね。しかも相手がアレックス・シウバという元チャンピオンで名前のある選手だったんで、すごくいい相手を用意してもらえたと思いました。
――アレックス・シウバにはどんな印象がありますか?
山北 柔術が強いのはもちろんですが、それだけじゃなく、ちゃんとMMAが強い柔術家というイメージがあります。そういう相手との対戦なので、自分も自信を持っている寝技はいつもどおりに、打撃でもしっかりとフィニッシュできる準備をしてきました。
――アレックス・シウバ選手は事前のインタビューで「2~3ラウンドで仕留めたい」と言っていますが、その発言についてはいかがですか?
山北 普通の選手だと後半疲れてくるので「2~3ラウンドでフィニッシュ」という言葉が出たんだと思いますけど、僕はスタミナに自信があるので、後半になっても相手にチャンスは出てこないと思うし、逆に動き続けてボクの方がフィニッシュを狙いたいです。
——逆に2~3ラウンドで仕留めてやる、と。
山北 僕的には早いラウンドでの決着も狙っています。やっぱりONEデビュー戦ということで勝ち方も重要なので、もっと早いラウンドで決着がつく可能性もぜんぜんあると思います。
――サブミッションでの一本とKO、どちらを狙いますか?
山北 僕はグラップラーなんで組みのほうが自信があるんですけど、柔術が強い選手に一本勝ちしたほうが評価も上がるし自信にもつながるので、元チャンピオンの柔術家から一本を狙っていこうと思います。ただ、フィニッシュ勝ちが目標なので、打撃でもチャンスがあったら積極的に狙っていきます。
——打撃の練習は出稽古をしているのでしょうか。それとも打撃も所属するリバーサルジム新宿Me,Weでやられてきたわけですか?
山北 出稽古とかホントたまに行ったりしてたんですけど、ほとんどMe,Weでやってましたね。1コ上の階級に元DEEPチャンピオンの藤田大和さんがいるので。大和さんは、ボクがアマチュアで始めた頃からずっと見てもらったり一緒に練習したりしているので、大和さんと練習していれば大丈夫だし、自信もありますね。今回はずっと取り組んできたことがMMAにハマった気がして、打撃でも見せられると思います。
——パンクラスとは違い、ONEではグラウンド状態でのヒザ蹴りも有効です。このあたりに特化した練習はされてきましたか?
山北 そこに特化した練習はしてないんですけど、もともとレスリングをやっていて、がぶりは自信のあるポジションなので、ほかのレスラーよりはヒザをうまく使えていると思うし、グラウンドでのヒザ蹴りが自分にとっていちばんの武器と言っても過言ではないと思います。
——パンクラスのベルトを保持したままでのONE参戦ということで、これからは両団体を並行参戦するのでしょうか。それとも当面、ONEでやっていくことになりますか?
山北 ONEの契約が複数回の独占契約なので、実質的にパンクラスの防衛戦を行うのは難しいと思います。でも、ONEのデビュー戦はキング・オブ・パンクラシストとして闘いたいと思っていたので、今回はベルトを持ったままONEのサークルケージに入ります。
――今回、ONE参戦にあたって「ポケットモンク」というニックネームが付きましたが、どういった由来があるんでしょうか?
山北 自分が小柄なので「ポケット」ということと、「モンク」は修行僧とかそういう意味なんですが、僕がカンフー映画が好きで髪型もそれっぽいということで、「ポケットモンク」になりました。自分でもピッタリだなと思うニックネームなので、気に入ってますね。
――デビュー戦の相手が元王者ということで、勝てば次は当然ランカーとの対戦をアピールしたいですか?
山北 そうですね。アレックス・シウバ選手に勝てば次ランカーとやらせてもらえると思っているので。そのためにも、ちゃんといい勝ち方で世界にアピールしたいです。
——ONEのストロー級ランカーでとくに闘ってみたい選手はいますか?
山北 南アフリカのボカン・マスンヤネ(ストロー級2位)ですね。あの人も動きがある見ていて面白い選手なので、僕とマスンヤネがやったらすごい試合になるんじゃないかと思ってるんで、ぜひやってみたいです。
——ボカン選手も以前パンクラスに上がっていましたけど、その頃から意識されていましたか?
山北 そうですね。パンクラスに来た時の試合も観ていたんですけど、結構衝撃的な試合をしていたんで「すごい選手が来たな」と。その時はフライ級だったんですけど、ONEに行ったら同じストロー級になったので、どこかで当たるかもって意識してましたし、ONEでも勝ってる姿を見て「やっぱり本物だったんだな」と思いましたね。
——ONEストロー級のランカーでは日本の箕輪ひろば選手もいますが、箕輪選手との対戦も意識されますか?
山北 そうですね。べつに敵対しているわけではなく、他の日本人選手が同じ階級で活躍しているのはうれしいので応援しているんですけど。もし当たるとなると、僕はパンクラスのチャンピオンで向こうは修斗のチャンピオン、パンクラスvs修斗の構図が出来上がっているので。またONEでは以前、猿田洋祐選手(当時・修斗世界ストロー級王者)が、僕が勝った北方大地選手(当時・ストロー級キング・オブ・パンクラシスト)に勝っていて、パンクラスが1敗しているので。僕が勝つことで、自分が育ったパンクラスの名を上げて、「国内ナンバーワン」だと胸を張っていいたいです。
——ONEのタイトル挑戦前にパンクラスvs修斗に決着をつけたい、と。
山北 いちばんはONEのタイトルマッチで当たるのが理想なんで、その形になることを願ってます。
――現王者のジャレッド・ブルッグスと自分が闘ったら、どんな試合になると思いますか?
山北 ジャレッドもレスリングが強い選手なんで、レスリングの強さがどれぐらいなのか、そこも勝負して、自分が上というところも見せたいし。柔術的な部分でも通用するところを見せたいんで、削りあいみたいな試合になるんじゃないかと思いますね。
――ご自分の中の青写真では、いつ頃までにタイトルマッチに漕ぎ着けたいと思っていますか?
山北 今回勝って、次にランカーとやって、その次にさらに上のランカーとやれば、タイトルマッチができるかなと思っているので、早ければ来年、
再来年ぐらいにはタイトルマッチできるんじゃないかな、と考えています。そのためにも、まずは今回しっかり勝って自分の存在をアピールしたいですね。
――では最後にファンにメッセージをお願いします。
山北 今、ONEの日本人選手は勝ったり負けたりの状況なんですけど、僕もちゃんと世界で勝てる自信があるので、ぜひ期待して今回の試合も次の試合も楽しみにしていてほしいです。応援よろしくお願いします!
(取材・文/堀江ガンツ)