バイエルンは24日、同クラブを率いるユリアン・ナーゲルスマン監督と3人のアシスタントコーチ解任とトーマス・トゥヘル監督の就任を発表した。トゥヘル監督は2025年6月30日までの契約となる。
ブンデスリーガ10連覇中の“絶対王者”が、シーズン途中に衝撃の決断を下した。今シーズン、ナーゲルスマン監督に率いられたバイエルンはブンデスリーガで優勝争いを繰り広げており、チャンピオンズリーグ(CL)でもここまで行われた8試合全勝と圧倒的な成績で準々決勝に駒を進めた。DFBポカールでも安定した戦いで準々決勝に進出している。だが、19日に行われたブンデスリーガ第25節レヴァークーゼン戦は1-2でまさかの逆転負けで4試合ぶりの黒星を喫した。現時点では首位の座をドルトムントに譲っている。
このような状況で、バイエルンはシーズン途中の監督交代に踏み切ることとなった。ドイツメディア『ビルト』によると、レヴァークーゼン戦に敗れた後、バイエルン首脳陣の間でチームの“姿勢”に関して不満の声が噴出していたという。今シーズンのバイエルンはブンデスリーガ、CL、DFBポカールの“3冠”を目標としているが、ブンデスリーガで首位を陥落した責任はナーゲルスマン監督にあると結論付けた模様だ。事実、シーズン序盤戦では4戦未勝利(3分1敗)といった時期もあり、当時も含めた不安定な成績が現在の状況を作り出したと判断したようだ。
また、移籍市場に精通するイタリア人記者のファブリツィオ・ロマーノ氏は、ナーゲルスマン監督とバイエルン首脳陣の間には埋めきれない溝があったと指摘。ナーゲルスマン監督は戦術面で多様な引き出しを用意できることで知られているが、一部の選手からは不満の声も挙がっていたという。現行契約は2026年夏までとなっていたものの、契約解除による解任を決断。インターナショナルマッチウィークに入ったことでナーゲルスマン監督はスキー休暇を楽しんでいたものの、24日に緊急会議を実施され、まさかの通達となった。4月1日にはドルトムントとの“首位決戦”が控えており、クラブはこのタイミングがベストだと判断したようだ。
バイエルンのオリヴァー・カーンCEOはクラブ公式HPを通じて、チームクオリティが減っている点、特にワールドカップ後の試合で魅力的な試合ができていない点、今シーズンだけでなく、将来の目標達成についても疑問を抱いている点を解任理由として説明している。
現在35歳のナーゲルスマン監督は若くしてドイツで指導者キャリアをスタートさせた。2016年2月にはブンデスリーガ史上最年少となる28歳でホッフェンハイムの指揮官に就任。2015-16シーズンはチームを17位から15位に押し上げて奇跡の残留を達成しただけでなく、翌2016-17シーズンはブンデスリーガで4位、2017-18シーズンはブンデスリーガ3位とチームの大躍進を演出し、クラブを史上初のCL出場にも導いた。2019年夏にライプツィヒの監督に就任すると、初年度の2019-20シーズンはブンデスリーガ3位とクラブ史上初のCLベスト4入りを達成。翌2020-21シーズンは2位でブンデスリーガを終えていた。2021年夏にバイエルンの指揮官に就任。初年度となった2021-21シーズンはクラブをブンデスリーガ10連覇へと導き、自身は史上2番目の若さでブンデスリーガを制覇した指揮官となった。一方、DFBポカールは2回戦、CLは準々決勝で敗れていた。
ナーゲルスマン監督の解任を決断したバイエルンは、後任にトーマス・トゥヘル氏を招へい。ドルトムント、パリ・サンジェルマン(PSG)、チェルシーなどで指揮を執ったドイツ人の“名将”が、2017年5月以来となる母国復帰を果たすことになった。