木村朱里女流1級、目標は明確に「タイトル獲得」躍進遂げる最年少・14歳女流棋士の現在地
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 未来の棋界を明るく照らす新星の登場に、胸躍らずにはいられない。木村朱里女流1級・14歳。2022年6月にプロデビューした最年少女流棋士だ。注目の理由は年齢だけではない。並みいる強敵先輩女流棋士を破って公式戦9連勝をマークするなど、これまでに14勝5敗。デビュー早々に存在感を示す結果に、「自分でもビックリ」と笑顔が弾けた。

【映像】生き生きと目標を語る木村女流1級

 真っ直ぐに対象を見つめる澄みきった瞳と強い眼差しは、夢の道を走り続ける覚悟を感じさせる。将棋を始めたのは、小1の頃。父と兄の影響で興味をを持ったという。すぐに頭角を現し、県内の将棋大会優勝をはじめ、2021年には全国中学生選手権大会女子の部で優勝。滋賀県初の女流棋士として2022年6月に女流2級でプロ入りした。デビュー戦は2022年9月の女流王位戦予選で、榊菜吟女流2級との相振り飛車戦に勝利。「人生で1回しかないデビュー戦で緊張感がありましたが、自分らしい将棋を指せて勝てたのはとても嬉しかった」と喜んだ。

 「自分の棋風はどちらかと言うと受けだと思います。でも結構攻めるときもあるので、どっちか分からないです(笑)。四間飛車が好きです」。各棋戦で着実に白星を集め、これまでに14勝5敗。初参戦した女流名人戦の予選を勝ち上がり、リーグ入りまであと一歩のところまで迫った。中でも女流王将戦では    室谷由紀女流三段(30)、中村真梨花女流三段(35)らタイトル挑戦経験を持つ強豪を破り本戦入りを決め、女流1級昇級となった。公式戦を9連勝をマークする快進撃には「自分でもビックリです」と驚いた表情を浮かべた。

 「実戦がメインですが、自分が指した将棋をソフトにかけて振り返ったりもします。(女流王将戦は)当たりがすごく厳しかったので、試練なのかなと…(笑)。初戦が室谷先生で、まずはここがポイントだと思っていたので、勝つことができて嬉しかったです」。物怖じしない性格と広い視野。まだ成長期ながら、トップ棋士らも期待を込めて木村女流1級の名前を挙げるほど。「本当ですか!?ええ~、頑張ろう…!」と照れた表情も見せたが、棋界の中心で輝く日はすぐそこまで近づいている。

 白星を集めれば集めるほど、対局数はどんどん増えていくのが強者の宿命。学校生活と女流棋士の“二刀流”は簡単なものではないだろう。「一人で(東西を)移動するのは大丈夫です。もう慣れました(笑)。新幹線の中では、好きなあいみょんさんの音楽を聴いています。公式戦の前後だと将棋に集中して学校の課題などは全くやっていないので、追いつかないというところは少し大変ですね。でも将棋のほうが大事なのであまり気にしてはいないです。遠征前には、学校で先生や友達に『頑張ってきてな!』とか『勝ってや!』『すごいやん!』とか声掛けてもらえるのが嬉しいです」。家族はもちろん、周囲の応援がどれほどの励みとなっているかは、この日一番の笑顔を見せた木村女流1級の表情から一目瞭然だった。

 “将棋が一番”、それはいかなる時も揺らぐことはない。それでも興味の幅は多方にも広がる。「音楽を聴くことと小説を読むことが趣味です。東野圭吾さんの小説を読んだり、K-POPや洋楽も聞きます。あいみょんさんは、最近テレビで録画してあったライブを見てまたハマりました。いつか生のライブに行ってみたいですね」

 お隣の囲碁界では、同じ年の仲邑菫女流棋聖(14)が初タイトルを獲得。大きなニュースとなった。「仲邑さんとは同級生なので、“仲邑菫女流棋聖”が誕生した時はとても刺激を受けました。自分とは比べ物にならないくらい負けず嫌いで努力家なんだろうなと思いました。そうやって囲碁界を盛り上げているように、自分も仲邑さんのように活躍して将棋界を盛り上げられるように頑張りたいと思えました」。

 尊敬する女流棋士は里見香奈女流五冠。「ハードなスケジュールの中でも、ストイックさや、将棋に懸ける情熱がすごくある方だと思っています。自分にとって憧れです」。目標は明確に「タイトル獲得」。しかし、「今は力が足りないので、力を付けられるように頑張りたい」と冷静に目標地点との距離を測っている。朱色の闘志をみなぎらせ、木村女流1級がタイトル戦の舞台で駒音を響かせる日もそう遠い未来ではないかもしれない。
ABEMA/将棋チャンネルより)

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