24日、国立競技場でウルグアイ代表と対戦した日本代表は新たなメンバーを加え、新たな戦術を試すなど、果敢にチャレンジしていた。三笘薫、堂安律のスタメン起用をはじめ、右サイドバックでは菅原由勢が躍動するなどポジティブな側面も見受けられたが、ビルドアップやスペースの使い方など課題も浮き彫りになった。この結果を受け、28日にコロンビア代表との試合に臨むにあたってのキーマンは誰になるのだろうか。
偽サイドバックの戦術練度を上げたい三笘薫
三笘はウルグアイとの一戦では不発に終わったものの、ボールを持てばスタジアムから大歓声が上がっていた。それほどにこの男にかかる期待は大きい。1試合不発でも現在の三笘であれば、次の試合までに立て直して結果を出してしまう。
ウルグアイ戦を終え、三笘は「後ろからのビルドアップで僕のところにボールがついてからの連係とか関係性で、前半は難しいところがありました」「でもチャレンジしているところなので全然いいと思います」とコメントしており、次に向けての改善点を見出しているようだ。
実際に26日に行われた練習では戦術練習後も居残り、センターバックの板倉滉とともにサイドバックの菅原由勢に身振り手振りでボールの引き出し方をレクチャーしたそうだ。ブライトンで行っているハイレベルなビルドアップの方法を日本代表に還元することで、ウルグアイ戦ではあまり効果のなかった偽サイドバックの戦術をより練度の高いものにしようとしている姿が垣間見えた。28日に行われるコロンビア戦で、この練習の成果は見られるのだろうか。
「オンザボールで違いをみせたい」久保建英
ウルグアイ戦はベンチ外となった久保建英だが、コロンビア戦に向けて練習に復帰しており出場が期待される。「僕はワールドカップの時とはもう別人です」とコメントする久保にとって、昨年のFIFA ワールドカップ カタール 2022は悔しさの残る大会だった。2試合で先発出場をするも、そのどちらもが前半のみでの交代に。体調不良の影響でクロアチア代表との決勝トーナメントにも出場することができず、自身初の大舞台では不完全燃焼に終わっていた。
ウルグアイ戦を振り返って久保は「サイドバックが中に入る形で、ウイングが落ちて低い位置でボールを受けたら相手にとっては脅威にはなりません。ウイングや中に早い選手をおくのであれば、高い位置に張っていた方がいいと思いました。試合に出たら、縦の推進力を意識してプレーしたい。4-3-2-1の強みはトップ下にある程度自由を与えられた選手がいることで、その選手がオンザボールで違いを見せて一人二人を剥がしていくというのが僕の理想としている選手像でもあります」と具体的な分析とプランニングをしている。
コメントからも汲み取れるように、サイドだけではなく、トップ下での起用の可能性もありそうだ。師匠のような存在である元スペイン代表ダビド・シルバのようにチームを勝利に導けるのか。鎌田大地が不調である今、日本の攻撃を司ることができるのは久保しかいないだろう。
ハメス・ロドリゲスをおさえられるか デュエル王・遠藤航
コロンビア代表の10番ハメス・ロドリゲスを抑えられるかどうかは、デュエル王の異名を持つ遠藤航にかかっているだろう。森保一監督はウルグアイ戦で遠藤をゲームキャプテンに任命したことからも、その信頼の高さが伺える。トップ下で出場すると予想されるハメスとポジション的にマッチアップする可能性が高く、コロンビアの国民的スターを封殺しつつ、ビルドアップにも関わり、新たな日本代表の核としてチームを引っ張りたいところだ。
三笘と交代して日本代表デビューを飾った中村敬斗も「今日の試合で世界のトップレベルに近づける感覚は、なんとなくわかった気がしています」と頼もしいコメントを残している。三笘や遠藤ら実力者だけではなく、これからの日本を背負っていく若手にも注目だ。
(C)浦正弘(ABEMA/キリンチャレンジカップ2023)