【キリンチャレンジカップ2023】日本-コロンビア(3月28日/ヨドコウ桜スタジアム)
第二次森保ジャパンでの初ゴールは決めたものの、得意のドリブルを見せることはできなかった。
「蹴られたボールを回収されて、押し込まれる形が増えた」と三笘薫は試合を振り返り、相手ゴールまでの距離が遠かったことで、彼の鋭いドリブルはなかなか発揮できなかった。
自分の武器を封じられた三笘だったが、別の形で結果を残した。それは「ヘディング」だ。開始3分に、コロンビアの屈強な選手と競り合いながら、高い打点で正確なコースへ飛ばしたこのプレーは、プレミアリーグでのボーンマス戦での決勝ゴールや、リーズ戦でのアシストを想起させた。
かつて「苦手」と話していたヘディングは、もう三笘の新たな武器になっていると言える。それに、得点までの過程も見事なものだった。菅原由勢の効果的なロングフィード、前線でボールを収めて起点になった町野修斗、ワンタッチで上げた守田英正の正確なクロス、三笘のゴール前へ走り込んでいくタイミング。すべてがいい形で重なって生まれたゴールだった。
なかなかドリブルを仕掛けられないなかでも、三笘は流動的に動いてボールを引き出し、攻撃を構築する役割もこなしていた。そのプレーについては、「相手のサイドバックがあまりついてこないところを見ながらやっていたので、そこで数的優位を作り、何度かいいところに持っていけましたし、起点にもなれた」と手応えを口にする。
敵陣を切り裂く鋭いドリブルを最大の武器としている三笘。しかしこの試合では、ドリブルだけが武器ではないことを示し、彼もまた新しいスタイルを開拓している。
文・舞野隼大(C)浦正弘(ABEMA/キリンチャレンジカップ2023)