EXIT兼近「改めて社会に出た時“みんなのほうが変だ”と感じていた」 少年院で被害者の心情伝達へ 5年で2割は再犯、その“更生力”は
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 3月28日、法務省は加害者を更生に導く新制度の運用方針を公表した。申し出のあった被害者らから担当官が口頭または書面での聞き取りを行い、聴取書面を加害者へ読み聞かせて伝達するという。

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 しかし、少年院などの更生機能には懐疑的な声も。実際に少年院の調査を見てみると、出院後5年以内に再び更生施設に送られてしまう人は21.7%。つまり、5人に1人は更生できずにいる。

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 新制度は更生につながるのか、手助けになることはあるのか。『ABEMA Prime』では、元法務教官VTuberのかなえ先生を交えて議論した。

 今回の方針にかなえ先生は「少年院に入ってきたばかりの子たちに被害者の心情をぶつけてすぐ反省につながるかは、経験からすると正直難しいと思う。少年院だけでなく刑務所でも被害者の心情について理解しようというカリキュラム・プログラムはある。特に相手を死亡させたり心身に重大な影響を与える事件を起こしたりした場合は、特定生活指導というかたちで重点的に取り組まれていて、これまで被害者が触れられていなかったということはない。ただ、直接心情を届けることはあまりなかったので、どの段階でその声を届けるかは課題になってくると思う」と話す。

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 再犯率については、「逆に言えば、8割近い子たちが再犯していない。令和3年版犯罪白書によると、家庭裁判所が終局処理した少年犯罪は3万9000件近くある中で、少年院にやってくるのはだいたい1300人。入ってくるのは『選ばれた不良たち』だ。少年審判の中では要保護性、どれぐらい教育が必要なのかが重要視される。例えば家で虐待されている、お父さんがアルコール中毒で暴れているなど、家庭環境が凄惨な子もいる。そういった子たちの再犯率と考えると、教育効果は高いのではないか」との見方を示した。

 更生に必要なこと、手助けになることは。かなえ先生は「少年院の中だけで更生してもらっては困る」と指摘する。

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 「少年院はあくまでも反省。入ってきた段階で多くの子が問題を抱えているが、それぞれ一個一個洗い出して、本人が気づいた上で改善していく。その時にサポートしていくのが法務教官で、反省を実践するのが更生ではないか。それは社会でもやっていかないといけないもので、少年院はスタート地点だと言いたい。

 少年院に入ることによって空白の期間が生まれてしまうのは仕方ないし、かわいそうだと思う。でも、そのまま社会に出るよりも、“少年院に行った1年のほうが良かった”と本人が思えるように、社会的な資産になるようなことから教える。挨拶や箸の持ち方、目上の人とのしゃべり方や敬語、字の書き方もやる。そして、これまでなかった大人との関わり方も覚えていく。その1年を有効活用できるかどうか、最後は本人の力だ。自信をつけてあげるという意味で、少年院は良い施設だと思う」

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 この件にEXIT兼近大樹は「僕はそういう世界にいた」とした上で、「改めて社会に出るとなった時、“みんなのほうが変だ”と感じていた。バイトが決まっても全てついていけないし、みんなが笑っていることは1つも面白くなかった。笑わないと空気が読めない人、変な人になるというのが延々続く。それだったら友達のところのほうが楽しいことも多いし、当たり前が共有できるから、“戻らないと…”と思ってしまっていた。自分が変わるよりも、環境を変わった時に受け入れてくれる場所がないときつい。逆に、周りの『関わりたくない』『こんな人といたら何が起こるかわからない』という気持ちも、今の僕はわかる。どんなに大事にされていても裏切るやつはいる、それを知っている今の身としては怖いという気持ちもある」と明かした。

 かなえ先生は著書で「被害者や加害者にならないための対処法」などを記しているが、「一度加害者になってしまうと、今後の選択肢として『犯罪』が出てきてしまう。そういうことを繰り返さないためにも、社会の中で居場所だけではなく出番、必要とされる場所がもっと広く作られるようになってほしい」と訴える。

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 兼近は「法律の中で生きてきた人は『犯罪』という選択肢がないように、犯罪の中で生きてきた人に『当たり前』という選択肢はない。悪いことをした人たちを理解してあげる、というのも変だが、理解してくれる人たちがいないからそのまま歳をとって生きているわけで。『どうしてこんなことしちゃうんだろう?』で、拒絶して終わらせるんじゃなくて、個人の“なぜ?”を知ってもらうことが大事だと思う」と述べた。(『ABEMA Prime』より)

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