「フェムテックよく知らない問題」 根本は小学校時代にあり?
「生理については見てみぬふりがマナー」はもはや古い観念
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 なぜ、日本は「女性の健康課題」に対する意識が低いのか。女性の健康課題を解決するアプローチとしてフェムテックが話題になっている。

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 フェムテックとは、女性のライフステージにおけるさまざまな課題を解決できる製品や、サービスのことだ。

 企業の女性活躍推進に関わる担当者を対象に、「月経や妊活・更年期など女性の健康課題は、経営・人事上の課題に挙がっていますか?」というアンケートを実施。「はい」と回答したのは、36.6%にとどまり、63.4%が「いいえ」と回答した。 (企業の「フェムテック利用動向調査」nanoni調べ)

 女性活躍に優れた上場企業を選ぶ、なでしこ銘柄や健康経営銘柄といった国の認定を受けていても、女性の健康課題を経営上の課題として認識していない企業もあるそうだ。

 認識している企業でも、妊娠・不妊、月経・PMS(=月経前症候群)への対応など、幅広い課題認識を持っている一方、約2割が「具体的な検討まで至らない」と回答した。

 理由として、「何から手をつければいいか全体像が描けていない」という意見が一番多かったという。

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 この調査について『ABEMAヒルズ』に出演した、振付師で女性の健康問題に関する情報も発信する竹中夏海氏は、次のようにコメントした。

「わかりたくないが、『何から手をつければいいのかわからない』ことについて、そうだろうなと思う。というのも、今は変わりつつあるのかもしれないが、私の時代は性教育の授業を男女で分けて受けるのが普通だった。そこから、企業の姿勢というのは始まっていると思う」

 さらに、“見てみぬふり”をすることがマナーになっていることが、企業にしわ寄せが及んでいると見解を示した。

「女性の健康に関しては、女性or生理がある人間だけが知っていればいい。それ以外の人たちは別室に分けられて、見てみぬフリをすることがむしろマナーという風にすり込まれたと。そのしわ寄せが今、企業に出ている気がする」

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 「今後、フェムテック系のサービスを追加で導入検討する可能性はあリますか?」と聞いたところ、「はい」が58.4%、「いいえ」は41.6%という結果になった。

 フェムテックの導入検討に否定的だった企業にとって、一番の理由は「そもそもフェムテックを知らない」だった。 

 調査を行った、株式会社nanoniの張代表は、

「『何をやれば良いか分からない』という回答が目立ち、各企業が手探りで解決策を模索している状況がわかった。そのため、女性に特化した特別なサービスパッケージ・プラットフォームが求められていくと考えている」

 「フェムテックをよく知らない」という声について、竹中氏は「難しいものという認識になっている」と語った。そのうえで、まず内容を知ることが大事だと述べた。

「まず、勉強して知ることが大事かなと。フェムテック元年が2020年と言われているが、言葉自体がちょっと先行しすぎて、よくわからない難しいものと思ってしまっている人が多いと思う」

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 テクノロジーやプロダクトに頼るだけでなく、カジュアルに休める環境づくりが大切とも話している。

「フェムテックは“自己解決の手段”だと思っていて、とても便利なものだから私は活用している。一方、テクノロジーやプロダクトに頼るだけではなくて、男女関係なく体の不調でカジュアルに休めるムードを作ることが大切。生理休暇という名前だと、どうしても申請しにくい方たちも多いので、企業によってはアイケア休暇などと名前を変えている。男性でも女性でも気圧の変化で体調が悪くなってしまう人も多いので、休めるようなムード作りが大切かなと思う」

(『ABEMAヒルズ』より)

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