17位ボーンマスは今節「三笘薫を止める」という困難なミッションに再挑戦する。しかし、その難易度は前回対戦同様に高いだろう。
日本代表アタッカーは3カ月連続クラブ月間最優秀選手賞を受賞するなど、現在絶好調だ。前節には1シーズンにおける日本人のプレミアリーグ最多得点記録も更新し、勢いに乗る日本代表戦士を止めるのは至難の業となることが予想される。ボーンマスはそんな三笘に対してどのような対策を練ってくるのだろうか。
三笘とマッチアップするアダムスミスってどんな選手?
三笘とのマッチアップが予想されるのは、ボーンマスで300試合以上の出場数を誇るベテランのイングランド人サイドバックアダム・スミスだ。トッテナムのアカデミー出身で2013-2014シーズンよりチェリーズ(ボーンマスの愛称)でプレーし、在籍季目からは主力として活躍し続けている。今季はプレミアリーグ28試合で27試合に先発出場していて、残りの1試合もイエローカードの累積による出場停止による欠場と、監督からの信頼は非常に厚い。
プレースタイルとしてはフィジカルやテクニックに特段秀でているわけではないが、粘り強い守備と味方との連係力を売りにしている。個人としての局面の打開力は高くないため、攻撃時はサポート役に回ることが多く、チャンスと見るや内外に走り分けて味方の攻撃をサポートする役回りを担っている。
前回対戦は三笘に大きく軍配が上がる
三笘とスミスが対戦するのは今回が初めてではない。両者はプレミアリーグ第11節ですでにマッチアップしており、この時は結果として三笘を止めることはできなかった。35分にはペナルティボックス内で三笘に縦突破を許してしまい、決定機を与えてしまった。三笘の深い切り返しに反応することができず、アンクルブレイクしてしまったこのシーンは印象深い。加えて84分には三笘に華麗な反転を許してしまい、ついつい手で止め、イエローカードを誘発された。
また直接関与はしてないものの、ボーンマスはこの試合で三笘に決勝弾を許している。前半はうまく三笘を止めることに成功していたが、後半に入りブライトンの選手それぞれが立ち位置を修正したことで、三笘に得意な形でボールが供給される場面が多くなりスミスは後手を踏むことに。初対戦は三笘の完勝に終わった。
もはやスミス1人で止めることは不可能。守備の連係が三笘を止める鍵に
今年32歳を迎えるスミスでは、三笘を単独で止めることは不可能だ。事実、現在のスミスは三笘以外のウイング相手にも対人戦で敗北することが多く、アジリティ不足感は否めない。日本代表MFの得意な形でボールを持たせてしまえば、スミスの勝率は限りなく低くなるだろう。スミスが徹底すべき三笘対策は前回対戦同様、「いかに三笘に得意な形でボールを持たせないか」である。
前回は前半の途中までは三笘がボールを持った瞬間に素早く寄せて間合いを潰すことに成功しており、ドリブルすら仕掛けさせなかった。加えて、仮に三笘にボールが得意の形で入ったとしても、味方と連係して三笘とスミスが1対1の状況になることを防ぐ2段構えが必要だ。この対策を90分間徹底できるかが勝負の鍵となる。
ただスミスがこのタスクを遂行するためには守備時の味方との連係は不可欠だ。スミスと縦関係を組むブルキナファソ代表MFダンゴ・ワタラが前線から三笘へのパスコースを限定したり、素早くカバーに入る必要がある。しかし、ワタラは守備に関してやや気分屋なところがあり、コースの限定が雑であったりプレスバックを怠ることがしばしばある。ベテランのスミスが21歳のブルキナファソ代表にしっかりと指示を出し、守備をさせられるかは注目ポイントとなるだろう。
チェリーズは守備時にマンツーマン気味で人を捕まえにいくことが多いので、「得意な形でボールを渡したくないスミスvs得意の形でボールを引き出したい三笘」といった水面下の攻防は激しいものとなるだろう。三笘サイドの攻防は派手さはないものの、玄人好みの見応えのあるものになりそうだ。
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