2日、東京・新宿で「現役世代負担を減らせデモ」と称する街頭活動が行われ、「食いつぶされる子どもたちの未来」「働く人から取り放題 社会保険料」などのプラカードを掲げた人たちが、現役世代の負担軽減を訴えた。
2022年度の国民所得に占める税金、社会保険料などの負担割合は47.5%と、ほぼ半分になっている。2025年には団塊の世代が後期高齢者になり、現役世代のさらなる負担が懸念されている。
ニュース番組「ABEMA Prime」に出演した、デモの主催者・相馬さん(25歳)はこう話す。
「このまま改革を進めずに20年経ってしまったら、今の子どもたちが働き出す頃には私たちよりも少ない賃金で働かされることになる。今、私たちの給料からすごい額の社会保障費が引かれている。積極的に街頭で声をあげなければいけないと思った」
先週、政府は「異次元の少子化対策」のたたき台を公表した。児童手当の対象拡大などが盛り込まれたが、その財源確保のため、検討されているのが社会保険料の引き上げだ。相馬さんは「賃金を上回るペースで上がっている」と危機感を示す。
「金銭面の負担がどんどん上がって、お年寄り一人を現役世代一人で支えていくことになる。医療や介護に人が取られて、その他の業種が人手不足で苦しんで、競争力を失っていく。この状態は、日本社会、経済にとってもまずいことだ」
「少子化対策のために現役世代の負担が増えては本末転倒だ」という声もある。相馬さんも「社会保険料から取って配るなら何も変わらないのではないか」と疑問を投げかける。
時事YouTuberのたかまつななは「現役世代が『困っている』と声を上げると、『高齢者バッシングをしたいのか?』という議論になってしまう」と指摘する。
「別に高齢者差別をしたいわけではない。困っている高齢者の支援は必要だ。若者は声の上げ方が分からないし、声を上げたら『なぜ高齢者をいじめようとするんだ』と叩かれる。だから、口をつぐんでしまう」
厚生労働省の社会保障審議会(年金部会)でも委員を務めているたかまつ。「日本は子育てをしにくい国なのに、現役世代の負担が増えるのは悪循環だ」と話す。
「政府は国債で未来にツケを回すことを当然のようにやってきた。若者の声を聞こうとする姿勢は、少なくとも私はあまり感じない。私たちは平和的に対話したいだけだ。私が『余裕がある高齢者の年金を少し減らして、その分を未来の子どもや現役世代に返す』と言うだけで『高齢者いじめだ』と言われる。私個人が1円でも多くもらいたいから言っているのではないのに、『高齢者差別だ』と言われて、SNSも炎上する。つらくて夜、泣きそうになる。でもやっぱり言っていかないと、世代間格差は埋まらないし、目をつぶるのはおかしいと思う。審議会に20代はいないが、若者も増えてほしい」
「私たちが高齢者になった時には年金制度が潰れて、もらえなくなるかというと、その可能性はほぼない。『どれくらいの割合になるか』という話だ。でも、若い人は年金が破綻すると思っている。また年金をめぐる報道も変えていかなきゃいけない。原則としては、物価が上がるともらえる額も増えるのが年金の仕組みだが、持続性を保つために物価の伸びよりも低い金額にされている。未来に回そうとしているのに、これを報道機関は『年金が減った。何事だ』と報じる。『未来の子どもたちのための選択だ』と伝えていく必要がある」
俳優の東出昌大は「日本の未来はきついだろう」とコメント。
「僕の子どもの世代は、さらにきついだろうなと思っている。こうやって議論して、よりよい政治を考えている人がいるだけで、すごく心強く感じる。僕は今35歳だが、物心ついた時から不景気だと言われてきて『あなたたちの世代はかわいそう』と言われて育ってきた。将来をいいものだと思わずに育ってきたので、お金も物も減っていくこれからをどう楽しめるか?という風に価値観を変容させていかないといけないと考えている」
(「ABEMA Prime」より)
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