「宇宙に12114時間いた男」若田宇宙飛行士が語った「初の船外活動」と「米ロ飛行士との交流で活躍した“和を高める日本食”」
【映像】アメリカ、ロシア、日本の宇宙飛行士の心を繋いだ「日本食」について語る若田氏
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 国際宇宙ステーションでの長期滞在を終えた若田光一さんら4名の宇宙飛行士を乗せた宇宙船「クルードラゴン」が12日、米・フロリダ州沖に無事着水。

【映像】アメリカ、ロシア、日本の宇宙飛行士の心を繋いだ「日本食」について語る若田氏

 現在、米・ヒューストンのNASAジョンソン宇宙センターでリハビリ・デブリーフィング(技術報告会)などを実施している若田光一さんが記者会見で語った「初の船外活動」と「米ロ飛行士との交流」を紹介する。

 若田さんは今回の滞在において、次世代水再生実証システムの初期検証実験を行った。日本実験棟「きぼう」では低重力環境下での液体挙動データの取得やモデル生物線虫を使って宇宙飛行が免疫システム、加齢への影響等の実験を行った。

 また、長年の目標であった自身初の船外活動を2回行い、ISSの運用延長に不可欠な新型太陽電池の取り付け用架台を設置した。つまり、ISSの運用延長に向けたシステムのアップグレードに貢献したのだ。

 船外活動の感想を聞くと

「船内から見る光景とヘルメットのバイザーのすぐ外にある宇宙・地球・そしてISSの輝き、臨場感と視野の広さは全く違いました。緊張感を持ちながら7時間の線外活動でした」

「宇宙に12114時間いた男」若田宇宙飛行士が語った「初の船外活動」と「米ロ飛行士との交流で活躍した“和を高める日本食”」
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 ISS第68次長期滞在クルーには2人のアメリカ人と1人のロシア人がいた。現在の国際情勢において、難しさはなかったか、という問いには

「地政学的な情勢でプログラムを継続していくことの難しさも感じますが、我々に託された任務は宇宙ステーションの能力を最大限に活用し、その成果を最大限出すことです。そのためにコミュニケーションをしっかりとって、チーム全体としての成果を出していくために毎日心がけていくことが大切。特にロシアのクルーとの共同作業は少なかったですが、船長を担当した前回のフライトと同様に緊急事態にも適切に対応できるように食事や運動など実験やシステム運用以外の時間でロシアのクルーも含めてコミュニケーションを心がけました」

 交流に関するエピソードはあるか、という問いには

「コミュニケーションに役立ったのはロシア人、アメリカ人にも人気がある『日本食』ですね。それぞれの国の方が持ち寄った食事と共に食事をすることで普段の仕事を離れたところでのコミュニケーションをとり、チームとしてのパフォーマンスの向上に繋がった。そういう意味でも和を高めるための食事は非常に大切だと感じました」

 今後について尋ねると

「本格的に月探査の時代に入りました。日本の最高水準の技術と人材を生かして、今後の地球低軌道活動、そしてアルテミス計画のもとでの月火星有人探査でより主体的な役割を果たしていけるように有人宇宙活動の現場で尽力していきたいです。飛行での経験を新人2名の候補者を含めて仲間の宇宙飛行士と共有して、今年ISS長期滞在ミッションに臨む古川宇宙飛行士の訓練、ミッション運用を支援して日本の有人宇宙活動のさらなる発展に寄与していきたい」

(ANNニュース)

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