藤井聡太竜王、“最年少名人”へシリーズ先勝 4連覇狙う渡辺明名人との春のビッグマッチ 開幕局を制する/将棋・名人戦七番勝負
【映像】藤井竜王が勝利に近づいた終盤での一手

 将棋藤井聡太竜王(王位、叡王、棋王、王将、棋聖、20)が4月5・6日の両日に行われた「第81期名人戦七番勝負第1局」で渡辺明名人(38)を破り、シリーズ先勝を飾った。本七番勝負は、4連覇を目指す渡辺名人と最年少名人獲得を狙う藤井竜王が激突する春のビッグマッチ。第2局は4月27・28日に静岡県静岡市の「浮月楼」で開催される。

【映像】藤井竜王が勝利に近づいた終盤での一手

 江戸時代から続く伝統の「名人」位の獲得へ、六冠保持者の藤井竜王が幸先の良いスタートを切った。本局は、両者にとって公式戦20局目。2~3月にかけて同一カードで争われていた棋王戦五番勝負では「角換わりシリーズ」となり、藤井竜王が3勝1敗でタイトル奪取、最年少六冠王となった。これまでの通算成績は藤井竜王の16勝3敗と大きくリードしているとあり、渡辺名人が本シリーズで用意してきた作戦、戦型にも大きな注目が集まっていた。

 開幕局は振り駒の結果、渡辺名人の先手に。序盤早々から角道を止め、やや意表の雁木模様の出だしでじっくりとした戦いへと誘った。2020年のタイトル戦登場以降、年間を通じてタイトル戦を戦い続ける若き第一人者となった藤井竜王だが、名人戦は初挑戦。持ち時間各9時間の公式戦は“未知の領域”だ。藤井竜王も持久戦に応じ、昨今のタイトル戦ではややめずらしいスローペースの展開となった。

 対局2日目に入ると、力戦から長く難解な中盤戦へ。両者ともに慎重度が増し、長考合戦が繰り広げられた。渡辺名人は受けよりも攻め、積極性を優先させて敵深くに切り込んで行ったが、藤井竜王はあくまで冷静。飛車を軸とした攻めの構成で先手玉を追い込み、じわじわとリードを押し広げていった。最終盤では、角を攻守に活用して渡辺名人の猛攻を受け切り、風格漂う緩急自在の指し回しで堂々初白星を勝ち取った。

 終局後、藤井竜王は「全体的に自信がない局面が多かった。終盤はこちらの居玉が王手のかかりづらい形になって、それを活かすことができたのかなと思います」と総括。一方、黒星スタートとなった渡辺名人は「際どく足りない変化が多いなと感じていた。(終盤)角を出られたところで、足りない変化が多かった。ここが足りてないと全体的にきついかなという感想になってしまう。指し掛けのところは若干苦しいかと思っていたが、その差が結局最後まで埋まらないような将棋だった」と振り返った。

 3連覇中の渡辺名人が防衛すると4連覇で永世名人資格に王手となる一方、藤井竜王が奪取となった場合、史上最年少七冠と同時に谷川浩司十七世名人(61)の持つ21歳2カ月の史上最年少名人記録を更新する大勝負。しかし、藤井竜王は中4日の4月11日には、自身が3連覇を目指す防衛戦の「叡王戦五番勝負」が開幕する。相手は、タイトル戦で初めて迎える振り飛車党のトップランナー・菅井竜也八段(30)だ。こちらは持ち時間各4時間の1日制。対戦相手も持ち時間も全く違う2つのタイトル戦を同時並行で戦うという難関に、藤井竜王がどう対応していくかも今後の注目ポイントのひとつと言えるだろう。

 将棋界内外からも大注目を集めている本七番勝負の第2局は、4月27・28日の両日に静岡県静岡市の「浮月楼」に舞台を移す。藤井竜王は「良いスタートを切れたかなと思いますし、初めて持ち時間9時間で対局して、8時間との違うなと感じたところもあったので、次局以降に活かしていければと思います」、渡辺名人は「次戦は少し先なので、また気を取り直して向かっていきたいと思います」と意気込みを語った。
ABEMA/将棋チャンネルより)

【中継】第81期 名人戦七番勝負 第一局 2日目 渡辺明名人 対 藤井聡太竜王
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