ラウンド開始直後にハンマーを振り回すかのうような右のオーバーハンドが炸裂。脳が揺れ上体が“くの字”に折れ曲がりながらぶっ飛ぶ、まるでアクションシーンのような女子ムエタイの衝撃KOに戦慄が走った。
5月7日にタイ・バンコクで開催されたONE Championship「ONE Friday Fights 12」。ノンアム・フェアテックス(タイ)とチュー・ガーシー(香港)は、3ラウンド開始10秒、ノンアムが右のオーバーハンドで圧巻のKO勝ち。女子軽量級ではレアなワンパンチ決着となった。
地元人気も高い28歳のノンアムは、105勝25敗と試合数の多さを誇る。対戦相手は香港出身の23歳、ガーシー。その目を惹く名前に日本の視聴者はザワつくが、そんなことは知る由もなく、リング上ではムエタイ勢同士が熱い打撃戦を展開した。
1ラウンド、互いにミドルを蹴り合う展開から身長とリーチで勝るガーシーが遠距離からミドル、前蹴りとコツコツ当てていく。一方のノンアムは、強いローでグイグイ前に出るスタイル。
2ラウンド開始とともに、ミドルをキャッチしたノンアムがパンチを連打。片足のガーシーもパンチで応戦するバチバチの展開。ラウンド後半に入るとガーシーが長いリーチを活かした攻撃で徐々に主導権を握りはじめる。
そんな一進一退の展開のなかフィニッシュシーンは3ラウンド開始直後、突然訪れた。前ラウンドと同様の近い距離で向き合う両者、小さなローの蹴り合いから、突然ノンアムが右のオーバーハンドを力強く振り回した。ガーシーは後方によろけ、上体をくの字に曲げるように吹っ飛んでダウン。すぐに立ち上がろうとするものの体に力が入らず、レフェリーがゴングを要求した。
ガーシーはよろめきながら「まだやれる」とクビを横に振るが、試合を続けられるコンディションではないのは明らか。試合を中継したABEMAの実況が「一発で仕留めた」と声を上げるとゲスト解説・中田大貴も「女子の(軽量級の)階級で、パンチ力はなかなか凄い。脳が揺れて立つのが難しそうだった」とダメージの大きさを指摘。視聴者からも「ピンポイントで顎だった」と驚きの声が殺到した。