三笘薫が所属するブライトンが“誤審”に苦しめられている。
プレミアリーグ第30節トッテナムvsブライトンの上位対決で、三笘薫がボックス内で倒される場面があった。三笘自身もPKをアピールしたが、試合はそのまま続いた。この場面で主審はファウルの判定を下さなかったものの、試合後にイングランド審判協会、PGMOL(プロフェッショナル・ゲーム・マッチ・オフィシャルズ委員会)が誤審を認めたのだ。
【映像】PKなのにノーファウル!三笘薫への「誤審」の決定的瞬間
この試合はトッテナムが2-1で勝利を収め、明確に「1点」が試合結果を大きく左右する内容だった。ブライトンとしては当然、憤りを隠せないだろう。
今季、ブライトンが誤審を理由にPGMOLから謝罪を受けたのはこれが3例目だ。上位争いを繰り広げるなか“誤審”が順位に大きな影響を与えてしまっている。
いったい、ブライトンはどれほどの誤審に泣かされているのだろうか。
三笘がボックス内で倒されてもノーファウル(トッテナム 2-1 ブライトン)
第30節のトッテナム戦、問題のシーンは71分に訪れた。ブライトンのCKをトッテナムGKロリスがパンチングで弾き、DFロメロがさらにヘディングでクリアした。三笘はそのこぼれ球を狙ってボールに触れることに成功したが、その瞬間、トッテナムMFホイビュアに左足を踏まれてしまったのだ。
日本代表FWはそのまま地面にうずくまり、ブライトンの仲間たちは両手を広げて抗議。しかし、この試合で主審を務めたスチュアート・アトウェル氏はそのままプレーを続行させ、その後VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)が介入することもなかった。
問題のシーンが物議を醸すなか、英メディア『BBC』の報道によると、PGMOLは、三笘が倒されたシーンに対しPKにするべきであったと認め、ブライトンに謝罪したという。
このゲームが行われる前はトッテナムが5位、ブライトンが6位と順位が並んでおり、UEFAチャンピオンズリーグやUEFAヨーロッパリーグなどのUEFAコンペティションへの出場権獲得を大きく左右する一戦であった。そのため、この誤審によりブライトンは相当なハンデを被ることになってしまった。
誤審に泣かされ続ける今季のブライトン
今季のブライトンは、数々の誤審に泣いている。今年1月、FAカップ4回戦のリヴァプール戦で問題となったのは、86分にFWファーガソンが相手MFファビーニョからタックルを受けたシーンだ。ファビーニョのブーツの裏がファーガソンのアキレス腱に入る危険なプレーであったにも関わらず、ブラジル代表MFはイエローカードの判定にとどまった。
結果的に2-1でブライトンは勝ち進めたものの、試合後、PGMOLはファビーニョのタックルは退場に当たる事象であり、VARが介入するべきであったことを認めている。
さらに2月、プレミアリーグ第23節のクリスタル・パレス戦でも誤審に泣いた。32分にエストゥピニャンが右足で華麗なゴールを決めたもののVARが介入。オフサイドの反則があったとしてゴールは取り消しになってしまった。
だが実際はVARが引いたラインが間違っており、オンサイドだったという。これに対しPGMOLは人為的ミスがあったことを認め、ブライトンへと謝罪。このクリスタル・パレスとの一戦は、ロンドンとブライトンをつなぐ高速道路にちなんで「M23ダービー」と言われるが、1-1の引き分けだったため、ブライトンは勝ち点2を失う形となった。
さらに、2022年11月のプレミアリーグ第16節のアストンヴィラ戦でも怪しい判定があった。ボックス内でMFマーチがアストンヴィラDFディニュに蹴られたシーンだ。これも意見が分かれる場面として波乱を呼び、結果、誤審であったと認められている(このシーンはVARは介入しなかった事例。PGMOLからクラブへの謝罪は行われていない)。ブライトンが1-2で逆転負けを喫した試合であり、判定次第で内容が変わった可能性も十分にある。
順位にも大きく影響する“誤審”
今季のブライトンは好調を維持し、クラブ史上最高位(9位)はもちろん、初の欧州カップ戦出場権獲得への期待が高まっている。そのなかで足を引っ張っているのが上記で紹介したとおり“誤審”である。
主審や副審は人間であるため、接触プレーやオフサイドの判定かどうかを100%正確にジャッジすることは不可能だ。それを限りなく100%へと精度を上げるために導入されているのがビデオで該当箇所を確認する、「審判団をサポートする審判」=VARである。
しかし、ブライトンが誤審を被った4つのケースのうち3つはVARチェックが行われず、もう一つは人為的なミスとVARの意義を問いたくなるような致命的なミスが続いている。
三笘やブライトンにとっては、不運でしかない状況だが、こうしたミスをどのようにしたら減らすことができるのかは、より具体策を持って考える必要があるだろう。
(ABEMA/プレミアリーグ)