日本代表・三笘薫に対してのジャッジが海外で物議を醸している。
8日に行われたトッテナムvsトッテナムの一戦で、三笘が不運に見舞われた。1-1の同点で迎えた71分、ブライトンのコーナーキックから三笘はこぼれ球をトラップするも、相手MFホイビュアに足を踏まれ、ボックス内で倒されてしまう。しかし主審のスチュアート・アトウェル氏はノーファウルと判定。VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)も介入せず、ブライトンはその試合、1-2で敗戦を喫した。
【映像】PKだと猛抗議も明らかなファウルをスルー、試合後に誤審発覚
英メディア『BBC』によると、試合後に審判の統括組織であるイングランド審判協会、PGMOL(プロフェッショナル・ゲーム・マッチ・オフィシャルズ委員会)でトップを務めるハワード・ウェブ氏はブライトンの幹部に連絡を取り、判定ミスがあったことを認めたようだ。また英メディア『The Guardian』や米メディア『ESPN』らもこの一件を続々と報じている。これら一連の流れを受け海外の識者やメディアはどんな反応を示しているのか。
イングランドの現地メディアの反応は?
英メディア『football.london』はこの一件を「“衝撃的な”VARとレフェリーの判定」という見出しを付けて報じている。
この記事で同メディアは、三笘がボックス内で倒れたもののPKを与えられなかったシーンだけでなく、三笘の同点弾をハンドで取り消した判定にも言及。また両チームの指揮官にレッドカードを出して退場宣告するなど、レフェリーの行動に多く触れていた。
多数のレジェンド選手が怒りをあらわに
かつてブライトンやリヴァプールでプレーした経験もある元ウェールズ代表のディーン・ソーンダース氏はイギリスのラジオ番組『talkSPORT』で誤審を犯した審判員らに対し「フットボールを理解していない」と痛烈に批判。三笘がボックス内で倒されたにもかかわらず、PKが与えられなかったことに対して怒りをあらわにした。
加えて選手としてプレーした経験のある者も審判員として使うべきという趣旨の発言も。かつての所属クラブが不運に見舞われたこともあり、熱い様子でコメントを残していた。
また、かつてチェルシーなどに在籍していた元イングランド代表のクリス・サットン氏もイギリスのテレビ番組『BT Sport Score』で一連の判定に対して「絶対的な恥」と怒りを爆発。ブライトンがPKを獲得することができなかったことに憤慨していた。
その他にも同番組で元アーセナルのマーティン・キーオン氏は「完全にクレイジー」と語り、元ウェールズ代表のロビー・サヴェージも「世界中の誰もがPKと分かる」とコメントを残すなど、レフェリーへの批判が飛び交った。
元プレミアリーグ審判も本件に言及
一方、2003年から2012年までプレミアリーグでレフェリーを務めたピーター・ウォルトン氏は同じく『BT Sport Score』で、当該のシーンを「PKであり、VARが関与すべき」としつつも、「素晴らしい仕事をしている」と昨年8月にPGMOLのトップに就任したウェブ氏を擁護。「進みは遅いながらもすでに変化は出始めている」という趣旨のコメントを残し、就任したばかりのPGMOLトップの対応を評価した。
また「VARは、ある週ではそれをやれと言われるが、ある週ではそれをやるなと言われる」と語り、VARが持つ仕事の難しさを解説。導入されてからそこまで長い月日が経過していないなかで、ミスなく判定を出すことの困難さを説明した。
このように今回の一件は多くのメディアや識者らの間で物議を醸している。レジェンドらが言うように、選手たちからすれば、これらの誤審は早急になくしてほしいだろう。ただウォルトン氏が言及したように審判の仕事はそう簡単なことではない。ましてや主審1人が22人の動きを事細かく見ることなど到底可能ではないだろう。
しかしそれを補うためにVARがあることも間違いない。今回のブライトンのように、不利な判定を受けるチームを作らないためにもVARの活用法と判定の精度向上に期待したい。
(ABEMA/プレミアリーグ)