「当社の定めた基準に基づく管理がなされていなかったことを確認しました」(※はま寿司HPより)
【映像】賞味期限を過ぎていても「食べる」と回答した割合(アンケート結果)
回転寿司大手・はま寿司が先週、お詫びの文書を掲載した。はま寿司では消費期限を超えない範囲で“使用期限”という廃棄目安を独自で設けていたが、福島県郡山堤店で期限が切れた食材にシールを貼り替えて提供していたという。
この文書には「当社の『使用期限』自体が、安全に保存できる時間に余裕をもって設定してあることから、一部の従業員の中で『多少の超過なら安全上も問題はない』との誤った認識があり、『食品ロスを削減したい』という考えで行いました」と表現されている。
ニュース番組「ABEMA Prime」に出演した元東京・中央区の保健所職員で食品衛生アドバイザーの小暮実氏は「謝罪がメインではない」と見解を示す。「健康被害の報告はなく、社内でルール違反があり、それが分かりましたと書いてある。『食品衛生法違反ではない』というスタンスだ」
番組の取材に、はま寿司の担当者は「店長は使用期限の貼り替えを知らず、指示も出していない」と回答。また「貼り替えの常態化」「寿司ネタ以外の期限」「店長のパワハラ」などは「事実確認が取れない」とし、「当該店舗の全社員にヒアリングを行ったため、現時点でこれ以上の調査を行うつもりはない」とコメントを寄せた。
騒動の発端について、小暮氏は「ルールを守らなかった理由があるはずだ」と指摘。「各店舗でしのぎを削っているわけだから、どの店でもロスをなくすように利益率を上げる努力をする。どこかに発端があるだろう」と話す。
「お店の中のことは自主管理なので、何らかの被害を起こさなければ、営業停止をかけることはない。今回の件でお腹を壊した人も、まずかったと話す人もいない。そんなに大騒ぎしなくてもいいかもしれない。ただ、自分たちが作ったルールを守れてないのはよくない。店長が嘘をついているのか、従業員が店長を慮ってやったのか分からないが、そのあたりが社内調査で出てきていない。どこかにブラックボックスがあるのだろう。ただ、リリースの最後のほうに『会社として真摯に反省して改善に向けた対策を講じる』と言っているから、今後は会社全体で考えていくのだろう」
食品の期限には2種類ある。消費期限は過ぎると食べるべきではないとされている一方で、賞味期限はおいしく食べることができる期限だ。小暮氏は「消費者も自己管理をきちんとするべきだ」と訴える。
「賞味期限の話よりも、肉の生食は何百倍も危ない。特に鶏肉に対して、消費者はリスクを感じないで食べている。野菜についているO157を1だとすると、鶏肉にカンピロバクター(※下痢、腹痛、発熱、血便の原因となる菌)がついているのは100以上だ。100%ついていると思った方がいい。食中毒で2、3日下痢して高熱を出すだけならいいが、ギラン・バレー症候群という手足が動かなくなる病気になって一生をふいにしちゃう人がいる。リスクを知ってほしい」
生肉トラブルは、鶏肉だけではない。2011年には和牛ユッケで食中毒が発生し、5人が死亡した事件があった。2014年にも豚の生レバーで食中毒が発生し、飲食店では豚の生食販売・提供が禁止された。
「牛レバーの生食が禁止になると、豚肉を食べる人が増えたので、これも禁止にされた。ただ、同じ牛の内臓だけどハラミやセンマイは禁止になっていない。これらを生で食べて、O157になる人がいる。そもそも『生食は危ない』と認識をしてほしい。若いとまだ抵抗力があるが、お子さんや高齢者が食べると非常に危ない」
さらに、生野菜にも食中毒のリスクがあるという。
「グルメ番組で生の野菜を食べるシーンがあるが、鮮度が良くても本当はダメだ。生ほどリスクの高いものはない。牛の10頭に1頭は、お腹にO157を持っている。それが完熟堆肥ではない牛ふんをまいた時に野菜についてくる。全部が危ないわけではないが、どれについているか分からない。昭和30年くらいまでは日本で生野菜はなく、サラダも売っていなかった」
飲食店の場合は保健所による監督・監視もある。どのくらい信用できるものなのだろうか。
「保健所も毎日は行けないので、行政監視というより自主管理だ。我々がどれだけ『鶏肉が危ない』と言っても、なかなか分かってくれない焼鳥店が鳥刺しを提供する。リスクを正しく皆さんに伝えて、適切に食べてもらいたい」
(「ABEMA Prime」より)
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