プレミアリーグ
プレミアリーグをみる

 サッカーの最高峰リーグであるプレミアリーグ。そもそもプレミアリーグはどのような経緯で立ち上がり、発展したのでしょうか?本稿ではリーグの歴史や仕組み、その魅力などを紹介します。

プレミアリーグとは

 プレミアリーグはイングランドのプロサッカー1部リーグで、20チームによって争われています。

 マンチェスター・ユナイテッドマンチェスター・シティリヴァプールアーセナルチェルシートッテナムと多くのビッグクラブの存在があり、世界中からスーパースターが集結。したがって世界で最も人気のあるサッカーリーグで、レベル的にも世界屈指にあると言えます。

 プレミアリーグはイギリス全体ではなくイングランドのサッカーリーグですが、参加資格があるのはイングランドのクラブだけではありません。過去に、ともにウェールズに本拠地を置くスウォンジーとカーディフが、プレミアリーグに参戦した経験があります。2022-23シーズンは両チームともに実質2部にあたるEFLチャンピオンシップを戦っており、昇格を果たせば再びプレミアリーグに参戦することになります。

プレミアリーグの歴史

 イングランドのフットボールリーグの歴史は古く、世界最古となる1888年に創設。12チームによってスタートし、1958年には4部制にまで拡大しました。

 しかし、1980年代後半に当時“ビッグ5”と言われたマンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リヴァプール、トッテナム、エヴァートンの5クラブが、テレビ放映権料の分配などに不満を募らせ、リーグからの離脱を画策。そして1992年に1部リーグ(ディビジョン1)に参加していた全チームがフットボールリーグを離脱し、FAプレミアリーグ(The Football Association Premier League Limited)を設立しました。

 初代優勝チームとなったマンチェスター・ユナイテッドが、黎明期のプレミアリーグを牽引。1990年代後半からはアーセナル、2000年代前半にはチェルシーが台頭。さらに2010年代に入るとマンチェスター・シティが力をつけ、群雄割拠のリーグとなりました。最多優勝は13回のマンチェスター・ユナイテッド。2位は6回のマンチェスター・シティ。3位はチェルシーの5回となっています。

プレミアリーグの仕組み

 プレミアリーグは秋春制が採用されており、例年8月に開幕し、5月に最終節が行われます。2022-23シーズンは2022年8月5日に開幕し、2023年5月29日に最終節が行われる予定となっています。

 参加するのは全20チームです。ホーム&アウェイ方式による2回総当りで、1チームあたり38試合を行います。リーグ全体では全380試合が開催されます。
上位4チームは来季のUEFAチャンピオンズリーグの出場権を獲得し、5位のチームがUEFAヨーロッパリーグの出場権を手にします。

 一方、下位3チーム(18位~20位)はEFLチャンピオンシップ(English Football League Championship)に自動降格。逆にチャンピオンシップの上位2チームと、3位から6位の4チームで行われるプレーオフの優勝チームが、プレミアリーグに昇格することになります。

 外国籍選手の登録制限はなく、EU加盟国の国籍を持つ選手は労働許可証取得の必要はありません。その他の国籍の選手は労働許可証取得の必要があり、取得の条件としては過去2年間で国際Aマッチの75%以上に出場していることなどが挙げられます。

プレミアリーグの魅力

世界中からスター選手が集結

 プレミアリーグの最大の魅力は、チーム力が拮抗していること。スペインのラ・リーガではレアル・マドリーとバルセロナの2強、ドイツのブンデスリーガではバイエルン、イタリアのセリエAではユベントス、インテル、ミランと図抜けたチームの存在がある一方で、プレミアリーグでは前述のビッグ6がリーグを牽引しており、毎年、どのチームが優勝するのか分からない状況です。

 また、2015-16シーズンには伏兵のレスターが優勝を果たしており、ビッグ6以外のクラブも力をつけてきています。

 その背景にあるのは、圧倒的な資金力です。他国に比べて放映権料が高く、その分配金がクラブの財政を支えています。またイングランド人だけでなく、アメリカ、中国、中東などの実業家や投資家がオーナーを務めていることも、クラブの資金力を高めることにつながっています。

 これにより世界中からスター選手がプレミアリーグのクラブに集結。チームが強化されるだけではなく、人気の側面でも他国リーグを大きく上回る状況となっています。

欧州トップのレベルの高さ

 データからもプレミアリーグのレベルの高さが浮かび上がります。イングランドは、UEFAチャンピオンズリーグなどに参加できるクラブ数を決定するために用いられるUEFAカントリーランキングでスペイン、イタリア、ドイツを抑え、堂々のトップ。またUEFAのクラブランキングでは1位のマンチェスター・シティをはじめ、3位にリヴァプール、4位にチェルシーと、上位5チームに3チームが入り、マンチェスター・ユナイテッド(8位)、トッテナム(18位)、アーセナル(23位)と6チームが25位以内に名を連ねています。

 また過去5シーズンのチャンピオンズリーグのファイナルには、リヴァプール(3回)、トッテナム、チェルシー、マンチェスター・シティの4チームが進出。2020-21シーズンにはチェルシーとマンチェスター・シティの“プレミア対決”が実現しました。

熱狂的なファンの存在とダービーマッチ

 豊富な資金力をベースにヨーロッパのクラブシーンを牽引するプレミアリーグですが、熱狂的なファンの存在も見逃せません。とりわけ盛り上がるのがダービーマッチ。マンチェスター・ユナイテッド対リヴァプールの「ノースウェスト・ダービー」。リヴァプール対エバートンの「マージーサイド・ダービー」。アーセナル対チェルシーの「ビッグロンドン・ダービー」など、各クラブのライバル関係もプレミアリーグの魅力を高める要素となっています。    

まとめ

 一時は人気、実力ともにラ・リーガやセリエAの後塵を拝していたプレミアリーグですが、今や世界で最も魅力的なリーグとなりました。かつては激しさばかりがクローズアップされていましたが、現在は選手だけではなく野心的な監督たちも次々にこのリーグに参戦。それぞれのチームにハイレベルな戦術が植え付けられ、多様性が生まれています。

 そんな最強リーグに、現在はブライトンの三笘薫(みとま・かおる)、アーセナルの冨安健洋(とみやす・たけひろ)と2人の日本人プレーヤーが身を投じています。世界のトップを相手にいかなるプレーを見せてくれるのか。そのパフォーマンスから目が離せません。

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