ひろゆき氏「日本だけが頑張らない現状維持を続けている」給料が上がらない理由は? 菅前総理のブレーンと激論
【映像】なぜ給料は上がらない? 昇給秘策は転職? 菅前総理ブレーン×ひろゆきと議論
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 失われた30年といわれ、欧米先進国に比べて長い期間、給料が上がっていない日本。消費税率が上がり、各種税金や物価上昇と、生活が苦しい国民も少なくない。

【映像】給料交渉で“最強の武器”になる一言

 なぜ給料が上がらないのか。ニュース番組「ABEMA Prime」では、『給料の上げ方』の著者で、かつてゴールドマン・サックスで金融調査を担当していたアナリストであり、菅政権で成長戦略会議の委員を務めたデービッド・アトキンソン氏と共に考えた。

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 デービッド氏は「各国の平均年収推移を見ると、日本の順位が下がっている。これは悪くなっているのではなく、諸外国が頑張って上げているのに、日本がこの30年間ずっと横ばいで、上がってないだけだ」と指摘する。

「一人当たりGDP、要するに仕事に行って一日で実際に作った付加価値がいくらになるか。工夫し、イノベーションを起こして、毎年少しずついい商品を作って、もう少し単価が高くなれば、自分の賃金も上がる。でも、日本人は現状維持が好きだから、給料も横ばいになる。30年間あまりイノベーションを起こしてこなかったことが一番のポイントだ」

 その上で、デービッド氏は「日本人は『消費税を導入したから賃金が上がらない』と言って、全部他人任せだ。アメリカはなぜ賃金が上がるか。上げないと、みんな辞めるからだ。アメリカでは去年1年間で約5048万人が会社を辞めて、違う会社に転職した。3人に1人だ。会社からすると辞められるリスクを抱えている。賃金は、その人の市場価格がどのくらいなのか考えながら決めて、上がっていく」と説明。

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 日本に33年在住し、元ゴールドマン・サックスで“伝説のアナリスト”とも呼ばれているデービッド氏。「アメリカ・欧州の場合は80%ぐらいの人が自分の給料のほしい金額を伝えて、交渉する。給料に満足いかないと、アメリカでは32.7%が辞める」と話す。

「日本で給料交渉するのは、30%ぐらいだ。満足いかなくて辞める割合もたった5%ほどだ。会社に不満を持っていても、新橋に飲みにいって『政府が悪い』『グローバリズムがダメ』と文句ばかり言って、交渉しない。上司に言わないし、転職もしない。それでなぜ給料が上がると思っているのか。皆さんは社長をどういう存在だと思うか。『今日はどこまでお金を配ろうかな』と考えている社長は当然ながら誰一人いない」

 デービッド氏の著書『給料の上げ方』には「上げてくれないなら転職する」というプレッシャーが“最強の武器”だと書いてある。

「基本的には『上げてくれ』と言えばいい。簡単なことだ。特に日本は人口減少、人手不足だから新しい人を採用するコストがものすごく高い。それでも動かないのであれば、外国語を話せる人は海外に行けばいい」

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 ネット掲示板「2ちゃんねる」創設者のひろゆき氏は「結局、日本だけが頑張らない昔ながらのやり方を続けている話だ」と指摘する。

「日本は給料が上がらないことを個人の能力のせいにする思想が強い。先進国のアメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、オランダ、韓国は、産業別組合だ。『ストライキして給料を上げよう』となると、その産業でみんなで一斉にやる。『全部止まるからストライキ怖い』となるが、日本の場合は企業別組合だ。例えば、鉄鋼の会社が一社ストライキになっても、他の会社があるからそこが大もうけする。『ストライキしたところが負け』という構造だ。企業別組合自体が悪いと、もっと言ったほうがいいと思う」

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 その上で、ひろゆき氏は「そもそも日本は『給料を上げてくれ』と言わない人たちが労働者の多数派だ。労使交渉自体が難しい。転職活動をしてみて『これぐらいの給料がほしい』と言った時に、初めて自分の市場価値が分かる。今働いている会社で月の手取り25万円だとして、転職したら30万円になると言われたら『僕には30万円の価値がある』と分かる。そこで、初めて交渉すればいいと思う。今の会社で『無理だよ』と言われたら『じゃあ辞めます』と言って、新しい会社に行けばいい。交渉ありきは、日本人の精神性からはちょっと難しい」と述べる。

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 小西美術工藝社の社長でもあるデービッド氏は「中小企業だと転職する人が多い。『今どのくらいもらっているか?』と聞くと、そのまま素直に言う人が9割だ。正直でいいと思うが、これにはいつもびっくりする」と話す。

「外国ではみんな『今このぐらいもらっているが、このぐらいもらわないと動かない』と言う。ゴールドマン・サックスもそうだ。当然ながら転職によって人脈も失うし、新しい会社に馴染むかどうかのリスクを抱えている。前の会社と同じ給料はありえない。場合によっては給与明細を持ってきて『この金額の下は困るが、この金額でいい』と言われるが、私としては『大丈夫か?』と聞きたいぐらいだ。5%、10%くらい上乗せして言っていいと思う」

 元衆議院議員・弁護士の菅野志桜里氏が「給料が低いボリュームゾーンは、女性が多い。男性の平均給料の55%ぐらいで働いている。それなりにスキルをつけて、10年、20年働いている人は転職できると思う。しかし、短い期間で働いてきてなかなかトライできない女性はどうしたらいいのか」と投げかける。

 デービッド氏は「もっと女性にも出世の欲があっていい」と話す。

「実際、日本人女性と日本人男性の給料は、大体30歳前後ぐらいまでほぼ同じだ。ただ、女性が結婚して子どもを産んで戻ると、ものすごく低い。諸外国を見ると、ほぼずっと一緒に上がっていって、一緒に下がっていく。日本人女性は『こういう仕事をやらせてくれ』と言わないが、『私は5時にあがりたい』とよく言う。給料も『上げて仕事の負担が重くなるなら上げなくていい』と言う。男性よりも受身だ。これは悪循環だと、会社の社長としていつも思う。ゴールドマン・サックスで女性をどんどん上に上げたくても『私はいい』と言う。ゴールドマン・サックスで働いている日本人女性なので、能力は抜群に高いのに『なぜこの人たちは出世の欲がないのか』と思っていた」

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 日本企業の内部留保(出典:財務省)をみると、日本企業の内部留保は年々増加傾向にある。一方で人件費は横ばいだ。

 デービッド氏は「賃金を横ばいにした分だけ、内部留保が上がっている。要するに会社の経営者の持ち物が激増している」と指摘する。

「企業は払えない事実がないのに、給料を上げない。転職もしないし、少子化によって経済そのものも自動的に成長しない。派遣や非正規、外国人労働者もそうだ。賃金を上げなくていい構造になったところで、残されている選択肢は本人が転職しかない」

 デービッド氏の説明に、ひろゆき氏は「大きい図で描くと、払える企業もあるが払えない企業もある」とした上で「人件費を上げたら回らない会社は、僕は潰れてしまえばいいと思う。会社を潰さないで『雇用を守ろう』みたいな考え方が正義だと思う日本人が多い。それも変えていかないといけないと思う」と述べた。(「ABEMA Prime」より)

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