「とりあえず謝る人」が多くいる日本において、自分の非を認めず謝らない“謝ったら死ぬ病”と揶揄される人たちに注目が集まっている。
【映像】「私は絶対謝らない。でも相手には謝らせたい」と話す女性
ニュース番組『ABEMA Prime』では当事者に、なぜ謝ることができないのか?その心理に迫った。
”謝ったら死ぬ病”とは何か。
自称・“謝ったら死ぬ病専門家”でライターの中川淳一郎氏は「謝ったらいろんなことはすっきり終わることが多いと思う。しかし、謝る=自分の負けを認めるという価値観から素直に自分の非を認めて謝罪できない人のことをいう」と説明する。
「心からごめんなさいはない」。そう話すのは、“謝ったら死ぬ病”のユイさん(26歳・仮名)。彼女は幼少期から謝りたくないと感じていたという。ユイさんは「謝ったら、相手がマウントを取ってきそうで謝れない。“謝ったら負け”という言い方が私の中ではしっくりくる」のだという。
人間関係への悪影響については「特に困ったことはない。たぶん、お互いの性格とか人間性を理解しているからだと思う」と答えた。
同時に、ユイさんは“謝ったら死ぬ病と同時に“他人には謝らせたい病”でもあるという、これはどういうことか。
「『ごめんなさい』の言葉を聞いて相手のマウントを取りたい。謝らせるとスッキリするのが正直なところ。自分の非を認めず『お前が悪い!』と決めつけてくる人には謝らせたい」とユイさんは説明する。
経済メディア「ReHacQ」プロデューサーの高橋弘樹氏は「ユイさんはすごく素直だ。謝らせると快感、すっきりするとはその通りだ。これを面と向かって言える人はいないと思う」とフォローした。
謝罪に詳しいコミュニケーション研究家の藤田尚弓氏は「謝らない方というのは、謝らせたい欲求も非常に強く、自己肯定感が高い人が多いと感じている。『自分はこれぐらいしても当然だ』という心理があったり、正義感が強くて『間違いを正している』と思っている人が多い印象だ」と述べた。
NPO法人「あなたのいばしょ」理事長の大空幸星氏は「謝ったということが残る社会になってきていて、余計に謝れなくなっているのでは」と分析。
「社会階層の固定化が続いている世の中では一つのミスが命取り。そのため、本当はどこかで謝らなきゃいけないと分かっているし謝りたいと思っているけど結局謝れない、という個人の内的な要因プラス環境要因もあるのでは」と指摘した。
一方、「謝る行為そのものに疑問をもつ」と話すせいさん(35歳・仮名)は「世の中を見ていると何が悪いのかを分かっていないけど謝っている。自己防衛のためだけの謝罪をしてその後何もアクションを起こさない人が多いため、だんだん謝るという行為が嫌いになっていた」と話す。
体調不良で会社を休む際にも謝るのが一般的という点についても、せいさんは「誰かに迷惑をかけるのはもちろん分かるが、それを悪いことと捉えると、有給休暇が取りづらいとか、病気がちなのに無理に会社に行くような人をつくることになる」と考えを述べた。
とはいえ、謝らないことで事態がこじれることも容易に想像がつく。「謝ったほうが得をする場面が多いのでは」という問いにせいさんは「その通りだ。謝らないことで損をしていることもある。とはいえ、逆に謝らないことで得する、余計な被害を受けないこともある、損得感情で見たほうが、謝るという行為は有効に使えるのでは」と述べた。
EXITのりんたろー。は「日本人は特にみんな謝る。だから謝らないと損をする。『みんなここで謝れるのにあいつ謝らなかったんだよ』と評価を落とすじゃないか。だから謝ったほうががいい」と感想を述べた。
EXITの兼近大樹は「僕は若い時全然謝らなかった。『全部僕が正しいんだから』というタイプだった。でも年齢重ねていろんな人と会ううちに『全然違った』と素直になった。気づいてからは『超速』で謝ってます」と謝罪に対する意識の変化を明かした。
変化のきっかけを聞くと「人間関係など、当時はうまくいかないことが多かった。謝らない時は『みんなが俺のところに歩みを進めてこい』と考えていた。でも、途中から『自分から歩みを進めていく』ことにした。視野が広がると『あの人から見ると俺ってこういう面でイヤな人なんだ』ということがわかってくる。そして相手に『すごくイヤだったよね。この件に関してごめんなさい』と一つひとつできるようになった。謝罪は自分のためにやっているのかもしれない」
(『ABEMA Prime』)
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