少子高齢化が進み、経済力も衰えている日本。だからこそ「安定」がほしい、というのが人情だが、その「安定」に変化が起きている。
【映像】「デジタル人材を採りたい、でも採れない」企業はどうしたか?
今までの終身雇用=安定という神話は崩壊しているという。転職市場の現状について、転職情報サイト「doda」の副編集長・桜井貴史氏に聞いた。
「昔は大手企業に勤めて、終身雇用で頑張っていくことが安定志向だった。新しい安定志向は、自分のキャリアやスキルが上げ続けていくことで安定を得るという考え。転職に関しても新しいスキルを身に付けられるか、キャリアが上がるかが焦点でかなりイメージが変わってきている」(桜井氏、以下同)
台頭してきた自らのスキルとキャリアの上昇=安定という考え方。そこで注目されているのが「リスキリング」だ。
「転職業界でも、リスキリングは非常に大事なポイントになっている。コロナ禍以降、自ら学ぶ、あるいは会社に入ってからもスキルを磨き続ける。会社側もそれを支援するといった大きな流れが出てきている」
さらに、2023年度は雇用の傾向に変化が訪れているそうだ。
「2023年度はコロナ禍から多くの企業・業界が回復してきて、新たに事業展開を拡大しようというフェーズである」
アフターコロナで経済活動が活発に動きだしたことで求人が増え、転職者優位の状態になった。なかでも求人が多く人気の職種というのが、
「企業側はDX(デジタル トランスフォーメーション)で仕事やサービスの内容を大きく変えていくことが求められている。そこに不可欠なデジタル人材は、人気が高く採用が難しい。求人倍率も10倍を超えている状態で、多くの企業がデジタル人材を採りたいが採れない」
デジタル人材は全く足りていないため、企業側も初心者を受け入れる体制にシフトしているという。
最後に桜井氏は「転職市場は盛り上がっているが、自分自身のキャリアの見極めが重要」と注意を促す。
「提示される報酬以外にも、中期的に見て果たしてその転職が自分のキャリアや働きがい、あるいはスキル向上に本当にひもづくのか考えるべき。今いる場でもう1段頑張って、自分のキャリアアップになることや得られるやりがいもきっとあると思うので、いつの時代も慎重に転職活動をした方が長い時間で見ると納得いくキャリア・社会人人生になる」
ニュース番組『ABEMAヒルズ』に出演する、東京工業大学准教授で社会学者の西田亮介氏は、1つの会社に長く務めるインセンティブが昔よりも落ちていると話した。
「昇給カーブ上の一社に長期間働くインセンティブは労働者側から見ても低下している。昔は勤続年数が長くなったキャリアの後半にぐっと給料が上がるため、ひとつの企業に長く勤務するインセンティブになっていた」
働き方も変わりつつある今、この先どんな人材が求められるのか。
「勉強をし続けることがとても大事。息をするように勉強しましょう。目先のことだけでなくて、様々なチャレンジができる人材が求められている。日本の人口や経済力が弱まっていくなかで、3・4番手の企業でも業績が厳しくなることがあるかもしれない。その場合は、好む・好まざるでも転職市場に出ていく他なくなるかもしれないからだ」
(『ABEMAヒルズ』より)
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