4月16日、プロレスリング・ノアが宮城県・ゼビオアリーナ仙台で『ABEMA presents GREEN JOUNEY 2023 in SENDAI』を開催。メインイベントで、王者ジェイク・リーが中嶋勝彦を挑戦者に迎えたGHCヘビー級王座初防衛戦が行われた。

 ジェイク・リーは、昨年まで全日本プロレスに所属し、三冠ヘビー級王座を二度獲得し、チャンピオンカーニバル、王道トーナメントに優勝するなど押しも押されもせぬトップで活躍したレスラー。今年の1.1日本武道館でノアのリングに姿を現してから本格参戦すると、身長192cmの巨体で暴れ回り、3.19横浜武道館大会で清宮海斗の持つGHCヘビー級選手権に挑戦。30分を超える激闘の末、串刺し式のフロントハイキック(ビッグブーツ)で清宮の顔面を打ち抜き、ノア参戦からわずか3カ月で至宝GHCヘビー級王座を奪取した。

 そこへ不敵な笑みをたたえながら現れたのが、ノアの強さの象徴であり、最も危険な男でもある中嶋勝彦だ。中嶋は「本物のノアを見せてやる。俺がノアだ」と。かつて潮崎豪と「アイ・アム・ノア」vs「俺がノア」抗争時に使用したキメ台詞で宣戦布告。これに対し新王者ジェイク・リーが「俺が一番闘いたかった相手だ。俺がノアの舵を取る」と挑戦を受諾。4.16仙台でGHCヘビー級王座を賭けて対戦することが決定した。

 4.8大阪でのタッグ前哨戦では、ジェイク・リーが拷問コブラツイストで中嶋にレフェリーストップ勝ちを収め先勝。しかし、中嶋もこれで引き下がるようなタマではなく、13日の大会直前記者会見では、GHCのベルトを顔面にこすりつけて挑発するジェイク・リーの顔面に、昨年の『サイバーファイトフェティバル』で業界を震撼させた張り手を叩き込み完全KO。危険な匂いを漂わせながら決戦の日を迎えた。

 試合は、中嶋勝彦の恐ろしさが存分に発揮された。緊張感ある静かな立ち上がりのあと、序盤から中嶋の強烈なミドルキックやサッカーボールキックが猛威を振るい、ジェイクは何度も悶絶。それを耐えたジェイクは体格差を利した豪快なボディスラムで反撃を始め、前哨戦でレフェリーストップに追い込んだ拷問コブラツイストで絞り上げるが、これは中嶋が脱出。

 ここからキック合戦で競り勝った中嶋がギアを上げ、さらに顔面、ボディを蹴り上げ、とどめのヴァーティカルスパイクにいくが、ジェイクはこれをなんとかD4Cで切り返す。

 なおも止まらない中嶋は、ランニングローキックからついにヴァーティカルスパイクを決めるがカウント2。エキサイトした中嶋はレフェリーの制止も振り切り、マウントポジションからのエルボーを連発してジェイクを徹底的に痛めつけ、ランニングローキック。もはや万事休すと思われたが、中嶋のハイキックをかわしたジェイクが落差の大きい高角度バックドロップで投げ捨て、さらにジャイアントキリングを決める。そして最後は狙いすました走り込んでのフロントハイキックを豪快に決めて、逆転の3カウントを奪取した。

 苦しみながらも超強敵の挑戦の退け初防衛に成功したジェイクは、マイクを握ると「『俺がノアだ』と自他共に認めた中嶋勝彦を倒したのは、この俺だ。さて、次はどうしようかな……?」と語ったところで、テーマ曲とともに丸藤正道が登場。そしてリングに上がると「ジェイク・リー、今このノアには俺より強い奴、俺よりすごい奴がたくさんいる。だが、腐っても丸藤だ。お前が舵を取っている船に乗ってたら船酔いしそうだ。俺が本当の舵の取り方を教えてやる」と、挑戦宣言。

 これに対してジェイクもGHCのベルトを高々と掲げて挑戦受諾を意思を示すと、「おい副社長、それなら船酔いに慣れてくれ。その船酔いはもっともっと気持ち悪くじゃなく、心地よくなるはずだ。なぜなら、その船酔いに人が集まって、どんな船なのかなと気になって見に来るわけだ。そしたら、あっという間に虜だ。なぜ、俺がそこまで断言できるか、それは今、俺がノアの舵を取っているからだ」と、あらためてノアの舵取りが自分であると宣言した。

 これで5.4両国国技館でジェイク・リーvs丸藤正道のGHCヘビー級タイトルマッチが行われることは決定した。ノアに参戦して3カ月で、ノアの若き王者・清宮海斗と、ノアの強さの象徴・中嶋勝彦を倒したジェイク・リーは、ノアの象徴である丸藤正道をも倒して、ノアという船を完全に乗っ取ってしまうのか。

 また、この日の第2試合終了後は、昨年9月から欠場中だった潮崎豪が登場し、5.4両国での復帰を宣言。いよいよ役者が勢揃いし、プロレスリング・ノア春の天王山を前に風雲急を告げてきた。

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