悪いイメージを持たれがちな「同調圧力」。これを災害避難に活用する千葉大学の研究が注目されている。
【映像】「避難所が開設」「多くの人が既に避難完了」日本人を動かすのはどっち?
災害時のアラートやエリアメールを見ても「どうせ大したことない」と急いで避難しなかったことはないだろうか。これには「認知バイアス」が関連していると、人間心理に詳しい千葉大学大学院の一川誠教授は話す。
認知バイアスとは、直感やこれまでの経験にもとづく先入観によって非合理的になる心理現象のこと。
これにより、災害が起きても大したことないと判断して、避難しない人も出てくると言われている。一方で、認知バイアスの一つである同調圧力を利用すると、避難をする人を増やせる可能性があるというのだ。
「避難指示が出た地域で実際に避難した人は0.5〜1%と驚くほど低かった。しかし、今回の研究で『認知バイアスを活用すれば避難行動を促進できる』という結果が出た」
今回の実験では日常の風景や実際の自然災害の写真に、「避難所がすでに開設」「対象地域の方がすでに避難」「対象地域のほとんどがすでに避難」といった文章を添えた架空のシチュエーションを用意し、参加者が写真の危険度の高さと避難の必要性を判断。
その結果、「対象地域のほとんどがすでに避難」との記載で、「避難の必要性が高い」と判断する傾向にあることがわかった。
避難する人を増やしたいという思いで始めたこの研究。避難が必要な人に、必要な情報を伝えるにはエリアメールが有効として、自治体と提携し試行錯誤を繰り返している。しかし、課題もあると一川教授はいう。
「『ほとんどの人が避難してます』と自治体として嘘は言えない。オオカミ少年みたいになるのは絶対良くないので、嘘にならない伝達手段や行動を促進する文章の作り方とか、工夫の余地があると思う」
(『ABEMAヒルズ』より)
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