バイエルンとドルトムントによる熾烈な優勝争いに注目が集まるブンデスリーガでは、先週末に行われた第28節の試合で記念すべき節目のゴールが生まれた。それではドイツサッカーの歴史に刻まれたゴールを見てみよう。
■史上54人目のヴェルナー
まずは、ライプツィヒのドイツ代表FWティモ・ヴェルナー(27歳)がブンデスリーガ通算100ゴールを達成した。ヴェルナーは15日に行われたアウクスブルク戦で2ゴール・1アシストの活躍。チームの全ゴールに絡んで3-2の勝利に貢献した。
試合序盤にMFケヴィン・カンプルの先制ゴールをお膳立てすると、前半32分から立て続けにゴールを奪った。まずは、低い弾道のクロスに合わせてネットを揺らすと、その3分後にはボックスの外から2点目をゲット。浮き球のパスを受けると、右足アウトサイドでトラップしてから体をひねって豪快なボレーシュートを叩き込んだ。これでヴェルナーはブンデスリーガ通算244試合に出場して100ゴール目。1963年に発足されたブンデスリーガの歴史において「史上54人目」の100ゴール達成となった。
ヴェルナーは、シュトゥットガルトでキャリアをスタートさせると2013年に同クラブの史上最年少となる「17歳4か月26日」でトップチームデビュー。そして2013年9月のフランクフルト戦で記念すべき初ゴールを決めた。1年目に30試合・4ゴールの数字を残した若きアタッカーは、その後もシュトゥットガルトで試合に出続けてブンデスリーガで「95試合・13ゴール」の数字を残した。そして2016年にライプツィヒに引き抜かれるとさらに飛躍する。
2016年9月には、ユリアン・ドラクスラーの記録(20歳225日)を抜いて史上最年少の「20歳203日」でブンデスリーガ通算100試合出場を達成。ちなみに、この記録は2019年にカイ・ハヴァーツ(20歳186日)に抜かれることになる。
ヴェルナーはライプツィヒでゴールを量産するようになり、2019-20シーズンには自己最多の28ゴール。FWロベルト・レヴァンドフスキ(34ゴール)に次ぐ得点ランク2位に入る活躍を見せ、移籍金5300万ユーロ(約73億円)でチェルシーに引き抜かれた。だが、イングランドでは悪夢のような2シーズンを過ごし、プレミアリーグで56試合に出場してわずか10ゴールに留まった。そして今季から古巣ライプツィヒに戻ってきたのだ。
足首の怪我で昨年のワールドカップ出場は逃したものの、今季ここまでリーグ戦22試合で9ゴール。ライプツィヒ通算「149試合・87ゴール」として、シュトゥットガルト時代を含めて「100ゴール」を達成したのだ。このゴール数はブンデスリーガ歴代53位タイ。とはいえ“現役のブンデスリーガー”に限ると、ドルトムントのマルコ・ロイス(150ゴール)とバイエルンのトーマス・ミュラー(143ゴール)に次いで3位の数字となっている。
■今後の100ゴールは?
次にブンデスリーガで「100ゴール」に期待が寄せられる選手は、ホッフェンハイムのクロアチア代表FWアンドレイ・クラマリッチ(31歳)だ。ヴェルナー同様、イングランド(レスター)で不遇の時間を過ごしたクラマリッチは、2016年1月にホッフェンハイムに加入すると、その後はクラブの記録を塗り替え続けている。
これまでホッフェンハイムでクラブ歴代最多ゴールとなる112点をマーク。ブンデスリーガに限ると218試合に出場して「97ゴール」を叩き出しており、大台まであと3ゴールに迫っている。先週末のバイエルン戦では、完璧な直接FKを沈めて王者を相手に勝ち点1を確保。リーグ戦最近4試合で4ゴールを決めており、今シーズン中に100ゴール達成が期待されている。
クラマリッチの次に100ゴールに近づいている現役選手はフライブルクのFWニルス・ペーターゼン(34歳)だ。“スーパーサブ”としての地位を確立している元ドイツ代表は、バイエルンやブレーメンを経て、2015年からフライブルクでゴールを積み重ねてきた。同クラブでは、元ドイツ代表監督のヨアヒム・レーヴ(83ゴール)を抑えて公式戦104ゴールで歴代最多ゴール記録を更新中。ブンデスリーガでは、他クラブ時代を含めて通算291試合で「88ゴール」。100ゴールまであと「12点」に迫っているが、おそらく達成するのは難しいだろう。
ブンデスリーガで歴代最多となる33点の「交代出場ゴール記録」を誇るペーターゼンだが、今季はここまで23試合に途中出場してノーゴール。さらに先月、自身のSNSにてこれまで所属した全てのクラブに感謝を述べて「今シーズンいっぱいで引退する」と発表したのだ。リーグ戦の残り6試合で12ゴールを奪うのは難しいが、“有終の美”を飾ることは可能だ。フライブルクはDFBポカールで準決勝まで勝ち上がっており、クラブ史上初の栄冠に迫っているのだ。「最も美しい形で去れるように全てを出し切る」とペーターゼンも去り際の美学を意識している。
■フライブルクの1000ゴール
そのペーターゼンのフライブルクは先週末に「1000ゴール」を達成した。12年目に突入したクリスティアン・シュトライヒ体制は、今季ここまで好調そのもの。今月16日に行われたブレーメン戦で2-1の逆転勝利を収め、勝ち点50で5位をキープしており、クラブ史上初のチャンピオンズリーグ出場権獲得(4位以内)を視界に捉えている。
そのブレーメン戦でのハンガリー代表MFシャッライ・ロランドのゴールが、フライブルクにとってブンデスリーガ通算1000ゴール目となったのだ。1993年にクラブ史上初めてブンデスリーガ1部に昇格したフライブルクは、その後も何度か1部と2部を行き来し、今季が1部リーグ在籍23シーズン目。これまで776試合を戦い、259勝203分け323敗、1001得点1223失点で、ブンデスリーガ史上21チーム目の「1000ゴール」を達成した。
1000ゴールのうち最多ゴールを決めているのは前述のペーターゼンで68ゴール。続いて今季チーム最多ゴールを決めているイタリア代表MFヴィンチェンツォ・グリフォで47ゴールとなっている。さらに、今季からフライブルクに所属する日本代表FW堂安律も4得点で「1000ゴール」に貢献している。
果たして、今後はどんな節目のゴールが生まれるのか、シーズン佳境を迎えたブンデスリーガに注目したい。
(記事/Footmedia)