三笘薫は、ベイルのようだ──。元イングランド代表ティム・シャーウッド氏の日本代表・三笘薫に関する発言が注目を浴びている。
【映像】「伝説の男」ガレス・ベイルに例えられたカットインシュート
チェルシーvsブライトンの「Premier League Production」の配信において、シャーウッド氏は「三笘はガレス・ベイルのようにボールを動かす。彼は素晴らしいスピードでドリブルするし、自分が何を行っているか理解しているんだ。三笘は本当に、本当にボールをうまく扱っているよ」と近代サッカー史に残るレジェンドの姿を重ねたのだ。
シャーウッド氏は長年トッテナムで育成に携わっており、よりこのコメントに説得力を持たせている。
伝説の男、ガレス・ベイルとは?
ガレス・ベイルはトッテナム、レアル・マドリード、そして母国ウェールズのレジェンドだ。今年1月9日、肉体的にはまだまだやれたにも関わらず33歳という若さで引退したが、彼のキャリアは並はずれたものだった。
ベイルが世界的な注目を集め始めたのはキャリア初期のトッテナム時代だ。クラブ加入当初は左サイドバックを務めていたが、ポジションを上げ、三笘と同じように左ウイングでもプレーし始めるようになり、覚醒。左ウイングやトップ下を主戦場とした2012-2013シーズンには33試合で21ゴール8アシストというすさまじいスタッツを記録し、PFA年間最優秀選手賞、PFA年間最優秀若手賞、FWA年間最優秀選手賞を受賞するなど、イングランド国内の個人タイトルを総なめした。
次の移籍先レアル・マドリードでは258試合で106ゴール67アシストを記録。レアル・マドリードで誕生したベイル、ベンゼマ、ロナウドの頭文字をとった「BBC」の名で親しまれた3トップは、クラブ史上最強として語られている。
怪我によって稼働が少なかったり、クラブやサポーターの関係が悪化したりしたものの、UEFAチャンピオンズリーグ3連覇という偉業に貢献した、間違いなくレジェンドだ。
そんなベイルのプレースタイルは天賦のフィジカルと強烈な左足を持つウイングであり、ストライカーと表現できる。サッカー界でも最速クラスのスピードを活かした裏抜けと推進力あるドリブル、ピッチのどこからでもゴールを狙える破壊力抜群の左足、ボックス内での決定力を武器とした非常にパワフルなアタッカーだった。
これだけ聞くと三笘とあまり似ていないようにも思えるが、実は、2人の間にはいくつかの共通点があるのだ。
共通点はセンセーショナルなカットインシュート
まずはスピード面だ。三笘は、ベイルほどではないにせよ、プレミアリーグでも十分通用するスピードを備え、その武器を存分にピッチで活かしている。スピードある裏抜け、推進力のあるドリブルは三笘とベイルの共通点だろう。またスピードだけに頼るのではなく、ベースとして密集地隊でも切り抜ける細かなテクニックも、2人に共通する技術だと言える。
そして、シャーウッド氏が三笘とベイルを重ねたのはチェルシー戦で見せたカットインが理由だろう。この試合、三笘はスピードに乗った鋭いカットインで1枚、2枚とチェルシーDFをかわし、惜しいシュートを放っている。スピードに乗った状態からのカットインシュートはベイルも得意としており、プレミアリーグ時代はこの形から何度も印象的なゴールを決めている。今季の三笘もかつてのベイルと同じように、カットインからセンセーショナルなシュートを幾度となく放っている。この点は、シャーウッド氏の発言とかなり合致する。
プレースタイルが異なる2人だが、共通する武器を持っているのだ。ベイルと似たようなプレーを得意とする三笘がプレミアリーグで活躍するのは、もはや必然かもしれない。
全盛期のベイルは、まさに「ワールドクラス」と呼べる選手であり、今の三笘をさらに2段階くらいスケールアップした偉大な選手だ。
しかし、三笘にも全盛期のベイルを超えるようなポテンシャルはあるはずだ。タイトルや5大リーグでの通算得点数などではベイルに及ばないにしても、現在の成長速度を維持できれば、数年後にベイルのようなアイコニックな存在になってもおかしくはない。
それだけの選手になれると思わせるほど、今の三笘は異常なほどのスピードで成長している。数年後、成長を遂げた三笘のプレーを眺めながら、シャーウッド氏の発言がただのリップサービスではなかったのだと答え合わせする日が待ち遠しい。
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